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ニュージーランドのトウモロコシ生産量推移(1961-2022)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した2024年のデータを基に、ニュージーランドのトウモロコシ生産量推移を分析しました。データは1961年から2022年にわたり、当初は10,000トン程度であった生産量が1970年代半ばに一気に拡大し、以降、20万トン前後の範囲で推移しています。2000年代では特に安定的に20万トン前後を維持していますが、2017年以降はわずかな減少傾向が見られます。

年度 生産量(トン)
2022年 188,249
2021年 209,281
2020年 190,098
2019年 195,955
2018年 191,993
2017年 175,586
2016年 210,325
2015年 226,278
2014年 237,165
2013年 201,659
2012年 211,231
2011年 210,175
2010年 188,812
2009年 237,844
2008年 205,557
2007年 185,627
2006年 215,649
2005年 210,253
2004年 234,248
2003年 211,685
2002年 148,847
2001年 176,800
2000年 181,000
1999年 197,000
1998年 176,000
1997年 194,000
1996年 209,710
1995年 160,797
1994年 142,768
1993年 133,069
1992年 163,842
1991年 183,388
1990年 161,651
1989年 138,694
1988年 136,944
1987年 176,134
1986年 187,700
1985年 174,604
1984年 154,324
1983年 142,768
1982年 170,071
1981年 152,080
1980年 156,461
1979年 178,998
1978年 174,536
1977年 210,419
1976年 184,469
1975年 157,599
1974年 88,304
1973年 117,507
1972年 116,226
1971年 101,178
1970年 58,624
1969年 51,158
1968年 35,892
1967年 18,492
1966年 19,356
1965年 23,546
1964年 18,898
1963年 15,470
1962年 13,843
1961年 10,262

ニュージーランドのトウモロコシ生産量データは、過去60年以上にわたる国内の農業振興と経済の変動を反映しています。1960年代における生産量は1万トン台でしたが、1968年に3万トンを超え、その後1970年代にかけて急速に増加しました。この急激な増産は、農業技術の進歩や機械化の普及、ならびに市場需要の高まりによるものとされています。1975年以降、毎年10万トンから20万トン台で推移しており、1986年には18万トン、2000年代には再び増加基調に入りました。2009年には23万トン以上に達しています。

近年の生産量は、2000年代後半から2020年代初頭にかけて約20万トンを維持しているものの、2017年からわずかに下降傾向が見られます。この理由には、気候変動の影響や市場価格の変動、そして農業従事者の減少が含まれる可能性があります。2022年の生産量は188,249トンと、直近数年の平均値よりやや低くなっています。

ニュージーランドが国際市場で果たす役割は限られていますが、国内でのトウモロコシ需要を満たすためには、この程度の生産量でも十分と考えられています。ただし、気候変動の進展に伴い、異常気象が頻発する近年では収穫量が安定しないリスクが高まっています。特に干ばつや洪水といった極端な現象は農業生産に大きな影響を与えます。

また、国際的な動向に目を向けると、ニュージーランドのトウモロコシ生産量は、主要な生産国であるアメリカや中国と比較すると非常に小規模です。2022年時点でアメリカのトウモロコシ生産量は約3億5,000万トン、中国は約2億7,000万トンとされており、ニュージーランドの生産量はこれらの国々と比較すると微々たるものです。ただし、ニュージーランドの場合、国内消費や特定の輸出マーケットに焦点を当てた持続可能な農業モデルを展開している点が特徴的です。

今後の課題として、まず挙げられるのは気候変動リスクへの対応です。これには、乾燥耐性や病害虫への耐性を持つ新しい品種の導入が考えられます。また、農業従事者の高齢化や農業人口の低下への対策も不可欠です。たとえば、若者の農業参入を促すためのインセンティブ政策や教育プログラムの拡充が求められます。さらに、農業における技術革新を促進し、ドローンやAIを活用した効率的な栽培管理を導入することで、生産効率を上げることも可能です。

また、国際的な観点からは、ニュージーランドが独自の強みを活かして高付加価値の農産物としてトウモロコシを輸出拡大する余地もあります。たとえば、オーガニック栽培や地域性をアピールしたブランディングで競争力を高めることにより、国際的な市場での地位を確立できるかもしれません。

結論として、ニュージーランドのトウモロコシ生産は、規模こそ小さいものの環境や技術革新に立脚した安定的な農業モデルが発展してきたことが見て取れます。今後は、この安定性を維持しつつ市場ニーズに応じた柔軟な農業政策が必要です。国や地方自治体、さらには農業関連産業が一体となって、現代の課題に対応し、持続可能な農業を推進していくべきです。