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ニュージーランドの大豆生産量の推移【1961年~2023年】世界ランキング・統計データ

国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年7月に更新した最新データによると、ニュージーランドの1974年から1986年までの大豆生産量は非常に低い水準で推移しており、特に1974年の生産量1,048トンをピークに、以降は大幅な減少が見られます。1980年代には生産量が100トンから300トン未満に留まり、安定的な生産への課題が浮き彫りとなっています。

年度 生産量(トン) 増減率
1986年 70 -
1985年 70
-50% ↓
1984年 140
-22.22% ↓
1983年 180
12.5% ↑
1982年 160
-46.67% ↓
1981年 300
100% ↑
1980年 150 -
1979年 150
150% ↑
1978年 60
-60% ↓
1977年 150 -
1976年 150
-58.33% ↓
1975年 360
-65.65% ↓
1974年 1,048 -
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ニュージーランドにおける大豆生産量の推移データを分析すると、1974年に記録された1,048トンという生産量を頂点に、翌年以降は急激な減少が起こり、1980年代にはごくわずかな生産量で推移したことが明らかです。例えば、1975年には360トン、1978年にはわずか60トンと、ピークからは著しい低下が観察されます。生産量の減少とその後の停滞した状況は、農業政策、気候条件、経済的な要因、さらには競合作物の存在が複合的に影響していると考えられます。

ニュージーランドは温帯海洋性気候に属し、牧草地や乳製品生産に適した土地が広がりますが、大豆の栽培に必要な条件、特に土壌や気温の面では他の作物と比較して適性が低いといえます。また、この時期は国際市場における大豆の供給がアメリカ、ブラジル、中国といった大規模生産国に依存しており、輸入大豆が安価で入手可能だったことも国内生産の抑制要因の一つと考えられます。

地政学的な背景を考慮すると、ニュージーランドにおける穀物全般、特に大豆の生産は国の自給に直接影響を及ぼす分野ではありません。同国は畜産業を主力とし、輸出志向の農業が経済の基盤を形成しています。このため、大豆や他の穀物生産については国の食糧安全保障の主要分野として扱われず、優先順位が低かったのではないでしょうか。この方針は競争力のある農作物への資源集中を可能にし、特定分野の優位性を確立する一方、大豆生産のような多様性確保の面では課題が残されました。

世界的に見ても、アメリカやブラジルが世界の大豆生産量の75%を占める状況で、大規模な生産国以外が大豆市場で競争力を持つことが困难であるのは明白です。ニュージーランドの状況にもこれが当てはまり、市場環境が中小規模の生産には厳しかったと言えます。

将来的な課題として、気候変動による影響と市場依存のリスクが挙げられます。特に輸入に依存した体制は、物流が不安定になるコロナウイルス感染症のパンデミックや、地政学的リスク(例えば主要供給国での作物不作や貿易摩擦)に対する脆弱性を高めます。ニュージーランドが自国の食料安全保障を強化するためには、輸入依存のリスクを低減し、国内の需要を部分的にでも満たせるような生産体制を模索する必要があります。

具体的な対策として、まずは温暖化に対応した耐寒性や耐乾性の高い大豆品種の研究と導入を検討するべきです。また、小規模農家が参加できる形での地域間での協力体制を構築し、契約栽培や収入保障などのインセンティブを提供することも有効です。さらに、海外からの輸入主体とはいえ、国際取引の安定を確保するために政府が戦略備蓄や輸入先多様化の方策を進めることも重要です。

結論として、ニュージーランドが大豆生産を持続可能なレベルに引き上げ、食料政策の柔軟性を保つことは決して容易ではありません。しかし、気候変動や地政学的リスクが顕在化する中で長期的な視野を持った対応が求められています。この視点から、政府、農業関係者、研究機関の協力が将来の課題解決の鍵を握るでしょう。

ニュージーランドの統計データ
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