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ニュージーランドのカボチャ・スクワッシュ・ヒョウタン生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによれば、ニュージーランドにおけるカボチャ・スクワッシュ・ヒョウタンの生産量は、1960年代の平均約16,000トンから1990年代には急激な増加を見せ、1993年には150,800トン、さらに1994年には189,500トンに達しました。しかし、その後は変動を伴いながら減少傾向を示し、2022年には116,004トン、2023年には92,908トンと大幅に減少しました。このデータは農業政策や国際的な需要、生産効率などの要因が絡み合った結果と解釈できます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 92,908
-19.91% ↓
2022年 116,004
-14.72% ↓
2021年 136,025
-0.08% ↓
2020年 136,128
4.76% ↑
2019年 129,946
-5.15% ↓
2018年 137,000
-2.84% ↓
2017年 141,000
-11.88% ↓
2016年 160,000
0.63% ↑
2015年 159,000
3.25% ↑
2014年 154,000
11.91% ↑
2013年 137,616
-1.91% ↓
2012年 140,297
2.46% ↑
2011年 136,931
-6.24% ↓
2010年 146,042
-8.72% ↓
2009年 160,000
-8.57% ↓
2008年 175,000
-5.41% ↓
2007年 185,000
20.13% ↑
2006年 154,000
24.19% ↑
2005年 124,000
14.81% ↑
2004年 108,000
-14.29% ↓
2003年 126,000
-19.23% ↓
2002年 156,000
-2.03% ↓
2001年 159,237
2.73% ↑
2000年 155,000 -
1999年 155,000
4.73% ↑
1998年 148,000
-4.52% ↓
1997年 155,000
-8.77% ↓
1996年 169,900
-7.26% ↓
1995年 183,200
-3.32% ↓
1994年 189,500
25.66% ↑
1993年 150,800
39.5% ↑
1992年 108,100
20.11% ↑
1991年 90,000
20% ↑
1990年 75,000
15.38% ↑
1989年 65,000
8.33% ↑
1988年 60,000
9.09% ↑
1987年 55,000
10% ↑
1986年 50,000
-9.09% ↓
1985年 55,000
10% ↑
1984年 50,000
11.11% ↑
1983年 45,000
22.41% ↑
1982年 36,761
20.28% ↑
1981年 30,562
42.26% ↑
1980年 21,483
16.93% ↑
1979年 18,372
3.43% ↑
1978年 17,763
13.14% ↑
1977年 15,700
-3.68% ↓
1976年 16,300 -
1975年 16,300 -
1974年 16,300
1.24% ↑
1973年 16,100
-14.81% ↓
1972年 18,900
18.13% ↑
1971年 16,000 -
1970年 16,000 -
1969年 16,000
-2.44% ↓
1968年 16,400 -
1967年 16,400
1.86% ↑
1966年 16,100
-6.94% ↓
1965年 17,300
8.13% ↑
1964年 16,000
-14.89% ↓
1963年 18,800
8.67% ↑
1962年 17,300
13.07% ↑
1961年 15,300 -

ニュージーランドは、農産品輸出国として国際市場に重要な位置を占める国ですが、その中でもカボチャ・スクワッシュ・ヒョウタンの生産は、国内消費と輸出市場の双方において特色ある産業の一つとなっています。1960年代には、年間生産量は一貫して16,000トン前後で推移しましたが、1980年代以降、機械化や農業技術の向上、市場の拡大により急激な成長を見せます。特に1983年から1994年にかけては、10年間で生産量が約4倍にまで拡大しました。この飛躍的な成長には、日本を始めとするアジア市場での需要増加が大きな役割を果たしました。

1990年代半ば以降は、やや成長にブレーキがかかり、1997年以降は一部の年を除き穏やかな減少傾向が確認できます。この要因として、国内外の農業における競合、ニュージーランドでの労働力不足や費用増加、農地利用の変化、さらには世界的な気候変動が影響を与えた可能性があります。

注目すべきは、2022年から2023年にかけての急激な生産量の減少です。この期間で約20%以上の減少を記録しており、過去10年間と比較しても異例の落ち込みと言えます。この背景には、新型コロナウイルスによる労働力不足・物流システムの混乱、さらに最近の気候異常が影響している可能性が考えられます。このような要因は、新興国の農業市場との競争激化と相まって、ニュージーランド農業の脆弱性を浮き彫りにしました。

他国と比較すると、中国やインドといった多様な農産物供給国は、大規模な生産力に加え、低コストでの生産が可能であり、国際市場で優位性を持ちます。一方、日本のような農地やリソースの制約が厳しい国々では、ニュージーランド産の品質の高さが受け入れられやすい特徴があります。しかし、ニュージーランドではこれらの国際的な競争に対応するための戦略的な輸出政策や市場開拓が不足しています。

地政学的背景もまた見逃せません。ニュージーランドは地理的に孤立しているため、輸送コストが高額になりがちであり、特に燃料価格の高騰や物流の混乱は生産量に直接影響を与えます。このような背景では、効率的な輸送手段の開発や、地元市場の強化が課題として浮かび上がります。

今後の課題としては、気候変動に対応した農作物の改良や、農業技術の更なる効率化が求められます。具体的には、耐乾性や病害虫への耐性を高めた品種の導入や、AI技術を活用した作付け管理システムの採用が挙げられます。また、国際市場での競争力を維持・強化するためには、付加価値を重視した高品質品種の生産へのシフトも検討すべきです。

さらに、中・長期的には、気候変動に合わせた農地の適応や、EUなど市場の多角化を進める必要があります。例えば、輸送手段の効率化だけでなく、貯蔵技術や加工食品への転換も検討する価値があります。そして、労働力不足への対応策として、移民政策の改革や農業分野での技能実習制度を拡充することで、人材の安定供給を図ることが効果的となるでしょう。

最後に、ニュージーランドが再び安定的かつ持続可能な生産体制を築くためには、国内外の環境の変化への柔軟な対応と事前の準備が不可欠です。国家レベルでは、農業支援政策の見直しや、環境保護と生産効率の両立を目指した包括的な計画を立案する必要があります。また、国連や国際貿易機関との連携を深め、ニュージーランド産の農作物が国際市場での認知度を高める努力が今後さらに重要となるでしょう。このような対策が実現されれば、生産量回復への道が開けることが期待されます。