国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、ベネズエラ (ボリバル共和国)のヤギ肉生産量は1960年代から2023年まで増減を繰り返してきました。1961年の生産量は3,816トンで、その後1970年代には着実に増加して最大8,744トン(1977年)を記録しましたが、それ以降は急激な減少や回復の波を繰り返し、2023年には5,266トンに落ち着いています。この長期的な変動には経済状況や社会情勢、生態的要因が影響しているとみられます。
ベネズエラ (ボリバル共和国)のヤギ肉生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 5,266 |
-10.07% ↓
|
2022年 | 5,856 |
-8.98% ↓
|
2021年 | 6,434 |
-1.35% ↓
|
2020年 | 6,522 |
-4.57% ↓
|
2019年 | 6,834 |
19.33% ↑
|
2018年 | 5,727 |
-10.07% ↓
|
2017年 | 6,368 |
0.28% ↑
|
2016年 | 6,350 |
8.21% ↑
|
2015年 | 5,868 |
-7.43% ↓
|
2014年 | 6,339 |
3.27% ↑
|
2013年 | 6,138 |
9.61% ↑
|
2012年 | 5,600 |
-22.92% ↓
|
2011年 | 7,265 |
7.04% ↑
|
2010年 | 6,787 |
8.42% ↑
|
2009年 | 6,260 |
6.64% ↑
|
2008年 | 5,870 |
1.7% ↑
|
2007年 | 5,772 |
1.33% ↑
|
2006年 | 5,696 |
2.69% ↑
|
2005年 | 5,547 |
4.29% ↑
|
2004年 | 5,319 |
1.33% ↑
|
2003年 | 5,249 |
2.58% ↑
|
2002年 | 5,117 |
19.84% ↑
|
2001年 | 4,270 |
-39.44% ↓
|
2000年 | 7,051 |
31.01% ↑
|
1999年 | 5,382 |
-20.16% ↓
|
1998年 | 6,741 |
-3.16% ↓
|
1997年 | 6,961 |
49.73% ↑
|
1996年 | 4,649 |
-3.23% ↓
|
1995年 | 4,804 |
-18.38% ↓
|
1994年 | 5,886 |
-21.78% ↓
|
1993年 | 7,525 |
11.8% ↑
|
1992年 | 6,731 |
-7.81% ↓
|
1991年 | 7,301 |
42.63% ↑
|
1990年 | 5,119 |
-29.27% ↓
|
1989年 | 7,237 |
5.67% ↑
|
1988年 | 6,849 |
3.44% ↑
|
1987年 | 6,621 |
8.43% ↑
|
1986年 | 6,106 |
2.14% ↑
|
1985年 | 5,978 |
5.73% ↑
|
1984年 | 5,654 |
0.48% ↑
|
1983年 | 5,627 |
-4.07% ↓
|
1982年 | 5,866 |
4.96% ↑
|
1981年 | 5,589 |
2.42% ↑
|
1980年 | 5,457 |
-27.24% ↓
|
1979年 | 7,500 |
-11.76% ↓
|
1978年 | 8,500 |
-2.79% ↓
|
1977年 | 8,744 |
12.51% ↑
|
1976年 | 7,772 |
-8.35% ↓
|
1975年 | 8,480 |
4.18% ↑
|
1974年 | 8,140 |
5.5% ↑
|
1973年 | 7,716 |
14.62% ↑
|
1972年 | 6,732 |
0.39% ↑
|
1971年 | 6,706 |
5.96% ↑
|
1970年 | 6,329 |
6.19% ↑
|
1969年 | 5,960 |
17.6% ↑
|
1968年 | 5,068 |
-6.22% ↓
|
1967年 | 5,404 |
1.07% ↑
|
1966年 | 5,347 |
13.81% ↑
|
1965年 | 4,698 |
20.4% ↑
|
1964年 | 3,902 |
-0.81% ↓
|
1963年 | 3,934 |
-33.9% ↓
|
1962年 | 5,952 |
55.97% ↑
|
1961年 | 3,816 | - |
ベネズエラのヤギ肉生産量の推移を詳しく見ると、いくつかの明確なトレンドが見えてきます。まず、1960年代から1970年代にかけて、ヤギ肉生産は顕著な増加傾向を示しました。特に1977年には生産量が8,744トンに達し、これはこの期間内のピークとなっています。この時期の生産増加は、農業政策の振興や国内需要の拡大、輸出を考慮した畜産業の発展が背景にあると考えられます。
一方、1980年代以降には明らかな減少の兆候が見られ、1980年には5,457トンとピークより著しく低下しました。この要因については、同時期に見られた経済危機やインフラ整備の停滞、そして他の代替肉類の消費増加が影響している可能性が高いです。その後も生産量は上下動を続け、1990年代半ばから2010年代の一部期間にかけておおむね安定する一方、一部年度では6,000トン台を超える年も散見されました。
さらに2020年代に入ると、コロナウイルスの世界的流行や国内情勢の不安定さが影響を及ぼした結果、生産量が再び顕著に低下しています。具体的には、2023年の生産量は5,266トンとなり、2010年代の平均より約1,000~1,500トン減少しました。この数字は、生産過程における物流の混乱や人員の不足、さらには飼料価格の高騰が関連していると考えられます。
ベネズエラのヤギ肉生産に特有の課題として、気候変動の影響も挙げられます。同国の一部地域は半乾燥地域に分類されるため、干ばつや水資源の不足がヤギの飼育に直接影響を及ぼします。また、ヤギの生産は主として国内の小規模農家に依存しており、その農家が持つ資源や技術の制約が大規模な生産向上を妨げていると言えます。
国際的な比較の視点から見ると、最近の生産量ではインドや中国といった農業先進国が突出した生産力を持っており、例えばインドでは人口の多さや気候条件によりヤギ肉生産量が年間20万トン以上に及んでいます。一方で、南米の他国と比較すると、ベネズエラはアルゼンチンやブラジルなどに対して依然として生産規模が劣っており、食糧安全保障の観点でも自己十分性の課題が指摘されています。
これらを踏まえた今後の対応としては、輸出依存型の政策転換や国内市場の安定化を目指すことが急務です。また、生産効率を向上させるための具体的な支援策、例えばヤギ飼育に適した地域へのインフラ整備、飼料価格の補助金支給などが役に立つでしょう。さらに、品種改良や技術共有を国際機関と連携して進めることも重要です。
地政学的観点では、隣国との協力強化や、輸送ルートの確保を行うことでヤギ肉生産の基盤を広げられる可能性があります。特に、持続可能な農業の枠組み作りや異常気象への対策を進めることで、中長期的に安定した生産体制を構築することが可能となるでしょう。
以上の点を総合すると、ベネズエラのヤギ肉生産量の現状は、政治的・経済的なリスクの影響を強く受けているものの、地域ごとの特性を活かした生産制度の強化や外部支援を活用することで改善の余地があります。この実現には、国と国際社会の根気強い協力が必要です。