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ベネズエラ (ボリバル共和国)のコーヒー豆生産量推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)の2024年7月に更新したデータによると、ベネズエラのコーヒー豆生産量は、1961年の57,050トンから始まり、1999年に79,854トンまでの最高値を記録しました。しかし、2000年代以降は減少が目立ち、2014年以降は50,000トン台を中心とした低迷が続いています。2022年の生産量は57,177トンであり、過去数十年の動向から見ると、全体的に変動しながらも減少傾向にあることが分かります。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 56,381
-1.39% ↓
2022年 57,177
2.56% ↑
2021年 55,747
2.78% ↑
2020年 54,242
-4.86% ↓
2019年 57,015
-2.02% ↓
2018年 58,188
2.75% ↑
2017年 56,630
11.15% ↑
2016年 50,948
1.92% ↑
2015年 49,987
-5.12% ↓
2014年 52,683
-15.12% ↓
2013年 62,069
1.89% ↑
2012年 60,917
-15.52% ↓
2011年 72,109
0.59% ↑
2010年 71,687
13.44% ↑
2009年 63,193
-12.23% ↓
2008年 72,000
2.4% ↑
2007年 70,311
-5.41% ↓
2006年 74,332
15.27% ↑
2005年 64,484
-9.82% ↓
2004年 71,503
11.26% ↑
2003年 64,265
-23.92% ↓
2002年 84,470
-8.06% ↓
2001年 91,877
17.13% ↑
2000年 78,440
-1.77% ↓
1999年 79,854
19.47% ↑
1998年 66,840
6.1% ↑
1997年 63,000
-13.73% ↓
1996年 73,026
12.2% ↑
1995年 65,088
-4.85% ↓
1994年 68,404
2.9% ↑
1993年 66,476
-4.13% ↓
1992年 69,340
1.37% ↑
1991年 68,404
-10.48% ↓
1990年 76,412
5.26% ↑
1989年 72,594
2.19% ↑
1988年 71,040
1.21% ↑
1987年 70,188
5.97% ↑
1986年 66,232
2.89% ↑
1985年 64,370
5.77% ↑
1984年 60,861
3.42% ↑
1983年 58,848
1.4% ↑
1982年 58,037
-2.57% ↓
1981年 59,566
2.39% ↑
1980年 58,173
7.86% ↑
1979年 53,935
-8.55% ↓
1978年 58,977
2.25% ↑
1977年 57,682
42.95% ↑
1976年 40,350
-37.55% ↓
1975年 64,611
40.83% ↑
1974年 45,878
-30.41% ↓
1973年 65,926
63.16% ↑
1972年 40,406
-30.79% ↓
1971年 58,385
-3.63% ↓
1970年 60,586
-0.13% ↓
1969年 60,665
32.21% ↑
1968年 45,886
-25.78% ↓
1967年 61,824
1.35% ↑
1966年 61,000
12.16% ↑
1965年 54,387
-3.12% ↓
1964年 56,141
-7.48% ↓
1963年 60,678
11.89% ↑
1962年 54,228
-4.95% ↓
1961年 57,050 -

ベネズエラのコーヒー豆生産量推移は、農業政策、国内経済、国際市場の動向、また地政学的要素の影響を強く受けています。1960年代から1980年代にかけての生産量はおおむね安定しており、およそ50,000トン台から60,000トン台の範囲で推移していましたが、1980年代後半から1990年代にかけては増加の兆しが見られ、1999年には79,854トンという最高値を記録しました。この生産量上昇の背景には、政府の農業支援政策や取引条件の良化、国際市場での輸出需要の増加があったと考えられます。

しかし、2000年代に入ると状況が変化しました。2001年には91,877トンという高水準に達しましたが、その後、政治的不安定や経済制裁、インフラの老朽化、農業の近代化の遅れが相まって、生産量は減少に転じました。特に2014年以降、生産量は50,000トン台に低迷しています。この時期の減少は、経済危機や労働力不足、気候変動の影響を受けたと考えられます。

さらに、地域課題として、ベネズエラは多くの農業従事者がコーヒーから他の収益性の高い作物へ転換したこと、または農業そのものから撤退したことが指摘されています。国際市場では、コロンビアやブラジルといった近隣諸国が高品質コーヒー豆の主要供給国としての地位を確立しており、ベネズエラはそれらの国々との競争にも苦戦している状況です。

地政学的背景も見逃せません。経済制裁や外国からの投資減少はインフラ整備にとって深刻な妨げとなっており、これが生産効率の停滞や輸出能力の低下につながっています。また、気候変動の影響で気温や降水の変動がコーヒー農家に直接的な影響を与えており、収穫量の変動要因になっています。

これらの現状を踏まえ、ベネズエラが将来に向けてコーヒー豆の生産量を安定させ、さらなる拡大を目指すには、いくつかの課題解決が必要です。一つは農業インフラの整備で、乾燥施設や輸送設備の近代化を進めることで、効率的な生産と流通を目指すべきです。次に、農業従事者の育成と支援を強化し、特に若年層を農業に引き戻す政策を打ち出すべきです。また、気候変動に対応するための研究への投資や、耐害性のあるコーヒー品種の開発も重要です。

さらに、国際的な協力を通じた輸出市場の再構築も必要です。近隣諸国と協力し、国際市場での競争力を取り戻すための共同プロモーションや品質基準の策定を行うべきです。国際機関や世界銀行などに助言を仰ぎ、農業技術の導入や資金調達を支援してもらうのも効果的でしょう。

結論として、ベネズエラのコーヒー豆生産量は、過去数十年の間に大きな変動を経験しましたが、近年の停滞傾向を解消するには、経済および地政学的なリスクを克服し、農業セクターに対する投資と政策的な支援を強化する必要があります。これにより、国内外の需要に応えられる、生産性の高い持続可能なコーヒー産業を再構築することが期待されます。