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ベネズエラ (ボリバル共和国)のカカオ豆生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、ベネズエラ(ボリバル共和国)のカカオ豆生産量は、20世紀半ばから21世紀にかけて大きな変動を見せています。1961年の生産量は16,901トンだったのに対し、2022年には29,325トンと、長期的に見ると上昇傾向が見られます。ただし、この間には数多くの減少期も存在し、経済的、社会的、地政学的要因がその背景に影響を及ぼしたと考えられます。特に2000年代以降、生産量は増加傾向が顕著となり、2012年には3万トンを超えました。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 29,359
0.12% ↑
2022年 29,325
4.2% ↑
2021年 28,144
1.14% ↑
2020年 27,827
-3.21% ↓
2019年 28,749
6.96% ↑
2018年 26,879
-2.14% ↓
2017年 27,466
10.48% ↑
2016年 24,860
2.92% ↑
2015年 24,156
5.7% ↑
2014年 22,854
-23.15% ↓
2013年 29,740
-7.04% ↓
2012年 31,993
39.98% ↑
2011年 22,856
9.07% ↑
2010年 20,955
0.17% ↑
2009年 20,920
2.26% ↑
2008年 20,457
8.18% ↑
2007年 18,911
10.26% ↑
2006年 17,151
1.21% ↑
2005年 16,946
-3.25% ↓
2004年 17,515
13.91% ↑
2003年 15,376
-4.88% ↓
2002年 16,164
2.08% ↑
2001年 15,834
-1.81% ↓
2000年 16,126
15.86% ↑
1999年 13,918
-22.53% ↓
1998年 17,965
-3.04% ↓
1997年 18,529
8.2% ↑
1996年 17,124
0.86% ↑
1995年 16,978
1.9% ↑
1994年 16,661
3.61% ↑
1993年 16,080
-5.96% ↓
1992年 17,100
2.63% ↑
1991年 16,661
7.3% ↑
1990年 15,527
11.08% ↑
1989年 13,978
2.51% ↑
1988年 13,636
8.1% ↑
1987年 12,614
5.51% ↑
1986年 11,955
9.3% ↑
1985年 10,938
3.34% ↑
1984年 10,584
-24.18% ↓
1983年 13,960
5.3% ↑
1982年 13,257
-10.67% ↓
1981年 14,840
-0.76% ↓
1980年 14,953
-14.99% ↓
1979年 17,590
5.9% ↑
1978年 16,610
1.35% ↑
1977年 16,389
8.6% ↑
1976年 15,091
-24.37% ↓
1975年 19,953
11.3% ↑
1974年 17,928
-6.04% ↓
1973年 19,081
14.13% ↑
1972年 16,718
-13.88% ↓
1971年 19,413
2.8% ↑
1970年 18,884
3.32% ↑
1969年 18,278
-5.45% ↓
1968年 19,332
-6.42% ↓
1967年 20,659
3.91% ↑
1966年 19,881
-1.45% ↓
1965年 20,173
-1.45% ↓
1964年 20,469
-1.45% ↓
1963年 20,771
9.84% ↑
1962年 18,910
11.89% ↑
1961年 16,901 -

ベネズエラのカカオ豆生産量の推移データを詳しく分析すると、いくつかの重要な傾向と課題が明らかになります。まず、1960年代から1980年代にかけては、おおむね1万トン台から2万トン程度で大きな変動が見られる時期が続いていました。この時期は、国際市場における需給の変化やベネズエラ国内の農業生産体制の未発達が要因として考えられます。特に1976年から1980年代中頃までの期間では、1万トン台前半とこれまで以上に低い水準を記録しており、この時期は国内経済の不安定性やインフラの制約が影響したとも推測されます。

しかし、1990年代後半から2000年代にかけて、生産量は少しずつ増加する傾向が見られ、2008年以降は2万トン台後半から3万トン近くまで成長しました。この背後には、ベネズエラ特有の高品質なカカオ(クリオロ種やトリニタリオ種など)が国際市場で評価され、生産拡大の促進要因となったことが挙げられます。加えて、国内外の投資や技術革新によって農業セクター全般が強化された可能性もあります。ただし、2013年以降の一時的な減少は、経済危機や政治的混乱、そして気候変動による影響が重なった結果だと考えられます。

2020年代に至っては、生産量は再び増加傾向を示し、2022年には29,325トンに到達しました。これは、過去60年以上で最高水準に近いデータとなります。しかし、この安定した増加が持続可能かどうかには注意が必要です。特に、カカオ栽培に関する地政学的リスクが潜在的に存在します。ベネズエラは政治的な不安定性や経済制裁の影響を受けやすく、さらに気候変動に伴う干ばつや異常気象がカカオ農家に深刻な影響を与える可能性もあります。

未来への課題として挙げられるのは、まず第一に、カカオ生産の持続可能性を確保するために小規模農家への支援や、農業分野へのさらなる投資を推進する必要があります。これは、栽培技術の向上やインフラ整備、気候変動への適応を含むものであるべきです。また、国際市場におけるベネズエラ産カカオの競争力を高めるための輸出ルートの多様化や品質保証の整備も重要です。

さらに、地域課題として、農村地域の雇用創出に焦点を当てる必要があります。カカオ生産が一部地域の主要産業であることを考えると、所得向上や若年層への雇用確保に繋がるような取り組みが必要です。また、グローバルな視点でも、紛争や経済的制裁が与える影響を最小限に抑えるために国際的な協力関係の強化が求められます。

結論として、ベネズエラのカカオ豆生産における長期的な成長には、国内の生産体制や国際的な市場環境の整備が不可欠であるといえます。国や国際機関が果たすべき役割としては、農村支援、気候変動対策、およびサプライチェーンの強靭性向上のための政策的取組みが重要となります。これらを着実に実施することで、ベネズエラは世界有数の高品質カカオ生産国としての地位をさらに強化できるでしょう。