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ベネズエラ (ボリバル共和国)のトウモロコシ生産量推移(1961-2022)

国際連合食糧農業機関(FAO)が更新した2024年の最新データによると、ベネズエラ(ボリバル共和国)のトウモロコシ生産量は1960年代以降、長期的には増加傾向にありましたが、近年では減少傾向にあります。1961年の生産量は約42万トンと控えめな数字でしたが、2007年に過去最高の約257万トンに達しました。その後、経済や社会の不安定化が進む中で次第に減少し、直近の2022年には約135万トンとなり、2000年代のピーク時と比べると著しい落ち込みが見られます。

年度 生産量(トン)
2022年 1,352,568
2021年 1,511,389
2020年 1,636,271
2019年 1,023,089
2018年 1,091,345
2017年 1,282,179
2016年 1,543,365
2015年 1,439,875
2014年 2,306,741
2013年 2,457,263
2012年 2,107,861
2011年 2,033,934
2010年 2,372,452
2009年 2,183,345
2008年 2,638,010
2007年 2,570,869
2006年 2,336,834
2005年 2,193,460
2004年 2,126,256
2003年 1,823,237
2002年 1,392,029
2001年 1,801,061
2000年 1,689,551
1999年 1,149,450
1998年 983,121
1997年 1,199,219
1996年 1,033,292
1995年 1,166,732
1994年 1,094,495
1993年 987,784
1992年 844,301
1991年 1,024,589
1990年 1,002,485
1989年 921,196
1988年 1,281,370
1987年 1,267,305
1986年 1,172,772
1985年 868,431
1984年 547,072
1983年 487,838
1982年 500,966
1981年 452,220
1980年 575,400
1979年 612,473
1978年 591,364
1977年 774,419
1976年 417,424
1975年 653,412
1974年 553,761
1973年 454,423
1972年 506,316
1971年 713,486
1970年 709,915
1969年 670,304
1968年 660,786
1967年 633,372
1966年 557,470
1965年 521,000
1964年 475,000
1963年 430,163
1962年 540,475
1961年 419,508

ベネズエラのトウモロコシ生産量は、食糧事情を知る上で重要な指標のひとつです。トウモロコシは国内の主要な作物であり、主に食料や飼料の原料として活用されています。FAOのデータから、同国の農業生産力は、多くの点で政治的、経済的、そして地政学的な影響を受けやすいことが示されています。

過去数十年にわたる動向を見ると、1960年代から1980年代にかけての生産量の増加は、主に農業技術の向上や農業政策の強化によるものでした。特に1986年から1988年にかけて、年平均約120万トン以上の生産量を記録し、過去10年間に比べて大幅な成長を遂げました。その後、2000年代に入るとさらに顕著な増加が見られ、2007年には約257万トンのピークを迎えます。この成果は、農業インフラの拡充や、政府による農業支援策の強化などの影響が大きいと考えられます。

しかし、2015年以降、生産量は顕著に減少しています。その背景には、国内の政治的混乱と経済制裁が農業部門に与えた影響が大きく関与していると見られます。例えば、燃料や肥料などの農業資材の供給不足は、作物の栽培や収穫に直接的な悪影響を与えました。また、インフレの進行が生産コストを押し上げ、小規模農家を中心に生産継続が難しくなった例も散見されます。同時に、トウモロコシは収穫後の保存や輸送にもコストとインフラを要し、この面での課題が収量の制約要因となっています。

さらに、近年の気候変動は、ベネズエラ全体の農業生態系に大きな影響を及ぼしています。洪水や干ばつなどの極端な気象現象が頻発しており、それによって栽培面積の減少や収穫失敗が見られるケースも増加傾向にあります。例えば2017年以降の生産量の落ち込みには、これらの自然環境要因も無視できない要因として指摘されています。

この状況に対処するためには、短期的および長期的な対策の両面で具体的な取り組みが必要です。例えば、国が主導して農業部門への資源配分を優先することは不可欠です。肥料や種子などの農業資材への補助金の提供や、劣化した農業インフラの修復・拡張事業への投資は、その一助となるでしょう。また、自然災害対策として、灌漑システムの強化や気候リスク管理のための早期警戒システムの導入も効果的です。

また、国際的なパートナーシップを強化し、技術支援を受けることも重要です。同様の課題に取り組む他国、例えば気候変動に対応した農業生産を進めるブラジルのような国と連携を図り、成功事例を自国に適用することが生産量増加の一助になるでしょう。

結論として、ベネズエラにおけるトウモロコシ生産量の減少は単なる農業技術の問題にとどまらず、政治・経済の不安定さや自然環境の変化に深く関与しています。これらの課題に対応するためには、国際的な協力と地域的な努力を統合した包括的な施策が不可欠です。国内の農業部門を強化し、長期的に安定した作物生産を可能にする基盤を整えることが、同国の食糧安全保障の実現に寄与するでしょう。