Skip to main content

ベネズエラ (ボリバル共和国)のパイナップル生産量推移(1961年~2023年)

国連食糧農業機関(FAO)が発表した2024年までの最新データによると、ベネズエラ(ボリバル共和国)のパイナップル生産量は長期的に増加してきましたが、特定の期間で変動が見られました。1961年に22,038トンだった生産量は、2023年には477,040トンを記録し、大きく成長しています。特に1980年代から2000年代初頭にかけて増加が顕著で、近年の推移では年ごとの生産量の安定化が確認されています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 477,040
0.98% ↑
2022年 472,400
-0.65% ↓
2021年 475,512
0.53% ↑
2020年 473,016
0.31% ↑
2019年 471,561
-0.3% ↓
2018年 472,984
0.18% ↑
2017年 472,113
-1.27% ↓
2016年 478,202
-0.66% ↓
2015年 481,374
4.22% ↑
2014年 461,861
0.01% ↑
2013年 461,815
10.64% ↑
2012年 417,421
4.99% ↑
2011年 397,579
-1.74% ↓
2010年 404,612
10.75% ↑
2009年 365,332
1.82% ↑
2008年 358,796
-1.18% ↓
2007年 363,075
1.74% ↑
2006年 356,879
2.2% ↑
2005年 349,182
8.18% ↑
2004年 322,768
-5.13% ↓
2003年 340,221
-2.04% ↓
2002年 347,297
15.73% ↑
2001年 300,090
-14.52% ↓
2000年 351,078
17.51% ↑
1999年 298,766
18.94% ↑
1998年 251,184
32.58% ↑
1997年 189,453
7.8% ↑
1996年 175,745
7.8% ↑
1995年 163,034
1.12% ↑
1994年 161,225
21.01% ↑
1993年 133,236
60.88% ↑
1992年 82,815
0.9% ↑
1991年 82,076
1.89% ↑
1990年 80,554
3.97% ↑
1989年 77,480
8.17% ↑
1988年 71,628
7.6% ↑
1987年 66,569
-3.21% ↓
1986年 68,780
4.19% ↑
1985年 66,015
17.74% ↑
1984年 56,067
3.37% ↑
1983年 54,241
-12.73% ↓
1982年 62,151
-21.89% ↓
1981年 79,569
2.8% ↑
1980年 77,403
-20.71% ↓
1979年 97,620
-5.08% ↓
1978年 102,849
51.24% ↑
1977年 68,006
25.69% ↑
1976年 54,105
60.97% ↑
1975年 33,612
-5.19% ↓
1974年 35,453
-7.39% ↓
1973年 38,282
-4.66% ↓
1972年 40,154
14.07% ↑
1971年 35,201
0.4% ↑
1970年 35,061
-14.38% ↓
1969年 40,950
3.88% ↑
1968年 39,419
2.41% ↑
1967年 38,490
3.19% ↑
1966年 37,301
3.19% ↑
1965年 36,147
3.19% ↑
1964年 35,030
3.19% ↑
1963年 33,948
5.74% ↑
1962年 32,105
45.68% ↑
1961年 22,038 -

ベネズエラのパイナップル生産は、1960年代初期から着実な成長傾向にあり、特に1970年代後半から1980年代前半にかけて急成長が見られました。この成長は、農業近代化の取り組みや輸送インフラの改善が要因であったと考えられます。生産量は、1978年に102,849トンと一段の成長を遂げ、その後も増加を続けて1993年には133,236トン、1998年には251,184トンと顕著な飛躍を見せました。2000年代にはさらに大きな成長が記録され、2000年には351,078トン、2013年には461,815トンに達しています。

2015年以降のデータを見ると、生産量はおおむね470,000トン前後で推移しており、2023年には477,040トンに達しました。この安定は、成熟した農業技術やパイナップル市場の需要とのバランスが一定水準にあることを反映していると言えるでしょう。しかし、ここからは新たな成長軌道に乗るための課題も見えてきます。

このような長期的な増加基調の背景には、ベネズエラ国内の肥沃な土壌や気候条件が影響しています。熱帯農業に適した自然環境によって、同国は他の果物や農産物でも一定の生産基盤を持っています。ただし、政治的・経済的な不安定性が、農業セクター全般に対するリスク要因となっています。一例として、2000年代以降の経済危機は農業コストの上昇や市場アクセスの制限を引き起こし、以降は新たな生産技術やアウトプット拡大のための投資が制限されました。

国際的な視点から見ると、パイナップル生産においてベネズエラは比較的中規模の生産国です。他国の状況と比べると、例えば世界最大の生産国であるフィリピンやコスタリカは年産1,000万トン以上であり、ベネズエラはまだその規模には及びません。加えて、日本や韓国といった消費国では輸入需要も高い中、ベネズエラが持つ輸出の伸びしろは潜在的に大きいと言えます。

次の課題として、パイナップル生産をさらに拡大するには、以下の施策が重要だと考えられます。まず、経済改革を通じて農業向けの融資や投資環境を整備し、生産コスト削減を図ることが挙げられます。また、効率的な灌漑設備や害虫管理技術などを導入することで、生産性向上が見込まれます。さらに、国際市場への輸出拡大をするためには、物流インフラの強化が不可欠です。ベネズエラの場合、港湾施設の整備や海上輸送網の拡充が取り組むべき重要な分野です。

自然災害や気候変動も無視できない要因です。これらは農作物生産全体に影響を与える可能性があり、特にエルニーニョなどの気象現象は熱帯地域の農業に大きな影響を及ぼします。したがって、持続可能な農業モデルを構築し、長期的な変化に対応できる基盤を作ることが不可欠です。この点に関しては国際機関と連携し、気候適応型の農業技術を導入することが推奨されます。

結論として、ベネズエラのパイナップル生産は自然条件を活かした持続的発展が望まれますが、そのためには経済政策や技術革新、インフラ整備といった具体的な施策が必要です。国際的なパートナーシップを活かしながら、同国がより競争力のある生産国として成長する姿勢が求められています。この取り組みは、国内の経済基盤の安定だけでなく、地域間の協力促進や世界的な農産物供給の安定にも寄与するでしょう。