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ベネズエラ (ボリバル共和国)の鶏卵生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年7月に発表した最新データによると、ベネズエラ(ボリバル共和国)の鶏卵生産量は1961年以降概ね増加傾向を示していましたが、2012年から急激な減少に転じました。その後、2019年以降は若干の回復が見られ、2023年には193,971トンに達しました。この数値は、ピークである2011年の256,054トンと比べて依然低い水準にありますが、近年の改善は注目に値します。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 193,971
9.16% ↑
2022年 177,688
8.27% ↑
2021年 164,119
-3.93% ↓
2020年 170,834
-7.25% ↓
2019年 184,182
34.11% ↑
2018年 137,340
-3.2% ↓
2017年 141,886
-5.17% ↓
2016年 149,617
-25.08% ↓
2015年 199,699
-3.72% ↓
2014年 207,408
-1.35% ↓
2013年 210,244
-5.31% ↓
2012年 222,037
-13.29% ↓
2011年 256,054
6% ↑
2010年 241,560
5.03% ↑
2009年 230,000
45.99% ↑
2008年 157,547
2.5% ↑
2007年 153,705
-9.33% ↓
2006年 169,527
-2.35% ↓
2005年 173,600
18.53% ↑
2004年 146,459
-0.34% ↓
2003年 146,954
-8.2% ↓
2002年 160,086
-14.66% ↓
2001年 187,580
7.42% ↑
2000年 174,620
3.43% ↑
1999年 168,825
5.33% ↑
1998年 160,289
-2.15% ↓
1997年 163,813
4.53% ↑
1996年 156,715
5.27% ↑
1995年 148,864
20.22% ↑
1994年 123,822
11.32% ↑
1993年 111,235
9.34% ↑
1992年 101,733
-12% ↓
1991年 115,610
8.38% ↑
1990年 106,675
-20.03% ↓
1989年 133,400
-14.36% ↓
1988年 155,774
9.64% ↑
1987年 142,078
6.04% ↑
1986年 133,983
-3.8% ↓
1985年 139,269
3.8% ↑
1984年 134,171
-2.83% ↓
1983年 138,077
-8.45% ↓
1982年 150,820
11.19% ↑
1981年 135,643
9.26% ↑
1980年 124,150
-1.81% ↓
1979年 126,443
13.59% ↑
1978年 111,315
11.83% ↑
1977年 99,543
6.37% ↑
1976年 93,583
-1.71% ↓
1975年 95,207
6.4% ↑
1974年 89,477
-2.98% ↓
1973年 92,230
9.81% ↑
1972年 83,992
3.39% ↑
1971年 81,236
5.08% ↑
1970年 77,310
10.1% ↑
1969年 70,221
10.55% ↑
1968年 63,520
8.48% ↑
1967年 58,554
3.11% ↑
1966年 56,788
10.98% ↑
1965年 51,170
11.16% ↑
1964年 46,034
25.11% ↑
1963年 36,794
-11.52% ↓
1962年 41,586
24.86% ↑
1961年 33,305 -

1961年に33,305トンで始まったベネズエラの鶏卵生産量は、1960~1980年代を通じて持続的な成長を遂げました。この時期は、国内の経済発展や都市化の進展が食料需要を高め、鶏卵生産の基盤が強化された時期と考えられます。また、世界的な農業技術の導入や、ベネズエラ国内における農業投資の推進も生産効率を高めた要因です。1970年代には77,310トンを記録し、1980年代には再び大きな成長を見せるなど、生産量の堅調な増加が注目されます。

しかし、1990年代以降になると生産量が不安定化し、特に1990年には106,675トンと急激な減少を記録しました。この背景には、経済政策の悪化やインフラの脆弱性、さらには政治的不安定さが影響を与えたと考えられます。一方で、1990年代後半には回復傾向を示し、2001年には再び上昇に転じ、187,580トンにまで達しました。

2011年に256,054トンというピークを迎えた後、鶏卵生産量は2012年以降急激に低下しました。この時期は、国内の政治的混乱や経済危機が深刻化し、インフレ率の上昇により飼料価格が高騰したため、養鶏業全体が大きな打撃を受けた時期でした。特に2016年には149,617トン、2018年には137,340トンと厳しい状況が続きました。輸入制限やエネルギー供給の不足、国民の購買力低下などが影響を及ぼし、生産の縮小を余儀なくされました。

この減少トレンドは2019年以降やや改善傾向を見せており、2023年には193,971トンに回復しています。この背景には、国内外からの援助や農業部門への再投資、農業政策の部分的な改善が関与していると考えられます。ただし、ピーク時に比べて依然として低い水準であることから、さらなる政策的支援が必要です。

ベネズエラの鶏卵生産の波動的な推移を考慮すると、いくつかの課題とその解決策が浮き彫りになります。まず、経済の安定化が最優先事項です。政治・経済の不安定さは、飼料生産や物流、生産設備の維持に悪影響を及ぼします。国内の農業セクターへの投資を促進し、インフラ整備を進めることで、供給チェーンの効率化を図る必要があります。次に、国際援助および地域間協力を通じた資源の確保も重要です。高騰する飼料価格に対する対策や、国内での飼料生産能力の増強が求められます。また、農業従事者への技術支援を強化し、近代的な養鶏技術を普及させることも有効です。

さらに、地政学的背景を踏まえると、近隣諸国や国際的な市場へのアクセス改善が鶏卵生産の回復を促す役割を果たす可能性があります。国際市場での競争力を強化するため、品質向上につながる基準の策定や、輸出インフラの整備も課題の一つです。

結論として、ベネズエラの鶏卵生産量は複数の要因により大きな変動を見せてきましたが、政治経済の安定化、農業セクターの振興、国際協調の強化をポイントとして将来的な改善が期待できます。国連、地域機関、非政府組織などと連携し、継続的な政策支援を行うことで、再びピーク時の水準回復が現実的な目標となるでしょう。