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ベネズエラ (ボリバル共和国)のイチゴ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新のデータによると、ベネズエラ(ボリバル共和国)のイチゴ生産量は、1961年の120トンから緩やかに増加し、1970年代以降急速な成長を見せました。近年では、2013年に52,051トンという最高値を記録した後、大幅な減少が見られましたが、2022年は43,363トンまで回復しています。この生産動向は国内外の食糧事情や地政学的要因の影響を強く受けており、その裏には多くの課題と可能性が隠されています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 22,908
-47.17% ↓
2022年 43,363
71.92% ↑
2021年 25,223
95.57% ↑
2020年 12,897
3.48% ↑
2019年 12,463
-12.1% ↓
2018年 14,179
-67% ↓
2017年 42,966
-8.69% ↓
2016年 47,053
-11.84% ↓
2015年 53,371
11.23% ↑
2014年 47,984
-7.81% ↓
2013年 52,051
29.02% ↑
2012年 40,342
8.86% ↑
2011年 37,058
48.54% ↑
2010年 24,949
66.33% ↑
2009年 15,000
-8.5% ↓
2008年 16,393
19.67% ↑
2007年 13,699
14.22% ↑
2006年 11,993
-0.98% ↓
2005年 12,112
11.9% ↑
2004年 10,824
-11.37% ↓
2003年 12,212
33.39% ↑
2002年 9,155
6.31% ↑
2001年 8,612
18.7% ↑
2000年 7,255
-8.02% ↓
1999年 7,888
30.86% ↑
1998年 6,028
120.97% ↑
1997年 2,728
-39.38% ↓
1996年 4,500
25.54% ↑
1995年 3,584
6.97% ↑
1994年 3,351
-4.95% ↓
1993年 3,526
-0.06% ↓
1992年 3,528
-10.31% ↓
1991年 3,933
-4.53% ↓
1990年 4,120
3% ↑
1989年 4,000 -
1988年 4,000
-11.11% ↓
1987年 4,500
-11.94% ↓
1986年 5,110
4.24% ↑
1985年 4,902
3.55% ↑
1984年 4,734
3.11% ↑
1983年 4,591
9.31% ↑
1982年 4,200
9.32% ↑
1981年 3,842
9.27% ↑
1980年 3,516
6.74% ↑
1979年 3,294
7.26% ↑
1978年 3,071
3.23% ↑
1977年 2,975
15.94% ↑
1976年 2,566
8.73% ↑
1975年 2,360
9.97% ↑
1974年 2,146
12.18% ↑
1973年 1,913
8.69% ↑
1972年 1,760
11.32% ↑
1971年 1,581
204.04% ↑
1970年 520
10.64% ↑
1969年 470
18.69% ↑
1968年 396
18.92% ↑
1967年 333
18.51% ↑
1966年 281
18.57% ↑
1965年 237
18.5% ↑
1964年 200
18.34% ↑
1963年 169
19.01% ↑
1962年 142
18.33% ↑
1961年 120 -

ベネズエラのイチゴ生産量は、1960年代から1970年代にかけての緩やかな増加の後、1980年代初頭には年間4,000トンを超える状況に達しました。それ以降の1980年代後半から1990年代半ばにかけては、生産量の停滞や減少が見られました。この減少は、地政学的リスクや経済政策の不安定性、さらに貧弱な農業技術基盤が主因と考えられます。

1998年以降、特に2000年代に入るとイチゴ生産量は急激に増加しました。この成長は農業政策の見直しや一部地域での生産技術の向上、さらには国際市場への輸出強化に伴う需要の拡大が影響した可能性があります。その結果、2013年には52,051トンという最高記録を達成しました。この規模感は、国の農産物の自給率向上と農業部門の貢献を示すものであり、国内の経済成長に大きく寄与しました。

しかし、2014年以降の経済危機が農業部門に大きな打撃を与え、イチゴ生産量も急減しました。特に2018年には14,179トンという低水準に落ち込みました。この時期は政情不安や物資不足が深刻化した時期でもあり、農業資材や労働力の供給が大きく制限されていたと推察されます。加えて、悪化した気候条件や土地利用の効率低下も生産量の減少に寄与した要因と考えられます。

その後、2021年から2022年にかけては、政府の農業支援政策の強化や輸出市場の再拡充に伴い、生産量が回復しています。2022年には43,363トンの生産が確認され、これは依然としてかつての最高値には届かないものの、復調の兆しを示す重要な指標といえます。

将来の課題としては、依然として脆弱な農業インフラや、肥料や機械といった農業資材の不十分な供給が挙げられます。また、政情不安に起因する輸送ネットワークの不備や労働力不足も重要な問題です。これに加え、気候変動により作物の収穫高が不安定化するリスクも存在しています。たとえば、洪水や干ばつなどの自然災害の頻発で、農業生産が増減を繰り返す可能性があります。

これらの課題に対処するためには、国内の農業技術の基盤強化を中心に据えた総合的な政策が必要です。特に、持続可能な農業の普及に向けて地域間での技術移転を促進することが重要です。また、輸出市場だけでなく国内需要を安定化させるため、市場の多様化を追求する必要があります。一方で、長期的な視点において、気候変動への対応策と食料安全保障政策の両面で持続的な投資を行うことも欠かせません。

国際的な視点から見ると、ベネズエラのイチゴ生産量は、中国やアメリカのような大規模生産国には及ばないものの、成長のポテンシャルを秘めています。特に中南米地域でのエクアドルやコロンビアといった競合国との連携を強化し、地域全体での輸出市場形成と技術協力体制を進める余地があります。

結論として、ベネズエラのイチゴ生産は一時的な低迷を経験しましたが、持続的発展に向けた兆しが見られます。これを維持し拡大するためには、国内外の投資と農業政策、地域協力の強化が鍵となります。FAOや世界銀行などの国際機関も、こうした農業復興プログラムにさらなる支援を提供することで、ベネズエラのみならず中南米全体にわたる持続可能な農業発展に寄与できるでしょう。