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ベネズエラ (ボリバル共和国)の牛乳生産量推移(1961年~2022年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が公表した最新データによると、ベネズエラの牛乳生産量は1961年の約458,000トンから2022年の約2,524,000トンまで全体的に増加しました。ただし、一部の年度で減少や停滞が見られるなど、長期的には変動が生じています。特に2000年代後半から急激に生産量が増加した一方で、2013年以降は若干の不安定さも観察されます。

年度 生産量(トン) 増減率
2022年 2,524,250
3.28% ↑
2021年 2,444,177
-11.51% ↓
2020年 2,762,114
16.72% ↑
2019年 2,366,459
7.37% ↑
2018年 2,203,957
-1.8% ↓
2017年 2,244,347
2.99% ↑
2016年 2,179,128
-4.91% ↓
2015年 2,291,639
10.55% ↑
2014年 2,072,902
5.76% ↑
2013年 1,959,987
-13.92% ↓
2012年 2,276,931
-8.03% ↓
2011年 2,475,789
1.63% ↑
2010年 2,436,022
11.51% ↑
2009年 2,184,574
-1.6% ↓
2008年 2,220,178
24.88% ↑
2007年 1,777,819
24.22% ↑
2006年 1,431,152
6.2% ↑
2005年 1,347,662
8.94% ↑
2004年 1,237,107
-0.11% ↓
2003年 1,238,470
-10.85% ↓
2002年 1,389,250
-0.8% ↓
2001年 1,400,460
-1% ↓
2000年 1,414,605
4.64% ↑
1999年 1,351,851
-8.96% ↓
1998年 1,484,877
0.64% ↑
1997年 1,475,435
1.84% ↑
1996年 1,448,766
2.5% ↑
1995年 1,413,429
2% ↑
1994年 1,385,720
-19.13% ↓
1993年 1,713,440
6.9% ↑
1992年 1,602,840
6.38% ↑
1991年 1,506,730
0.63% ↑
1990年 1,497,246
-11.38% ↓
1989年 1,689,520
-4.47% ↓
1988年 1,768,605
7.33% ↑
1987年 1,647,833
1.18% ↑
1986年 1,628,559
3.1% ↑
1985年 1,579,643
5.53% ↑
1984年 1,496,880
-0.85% ↓
1983年 1,509,713
2.65% ↑
1982年 1,470,706
2.27% ↑
1981年 1,438,057
6.43% ↑
1980年 1,351,138
5.63% ↑
1979年 1,279,172
3.23% ↑
1978年 1,239,187
0.27% ↑
1977年 1,235,840
3.14% ↑
1976年 1,198,218
-2.08% ↓
1975年 1,223,633
7.94% ↑
1974年 1,133,667
7.46% ↑
1973年 1,054,919
-2.42% ↓
1972年 1,081,077
8.11% ↑
1971年 999,992
5.02% ↑
1970年 952,175
7.05% ↑
1969年 889,482
15.33% ↑
1968年 771,252
7.53% ↑
1967年 717,252
4.99% ↑
1966年 683,134
5.83% ↑
1965年 645,486
6.92% ↑
1964年 603,695
12.29% ↑
1963年 537,636
8.31% ↑
1962年 496,380
8.32% ↑
1961年 458,236 -

ベネズエラの牛乳生産量推移を分析すると、1961年から2022年までの約60年間で、生産量が約5.5倍に成長していることがわかります。この成長は、乳業の技術革新、飼料の改良、牧畜業を支える政策の強化など、多様な要因が絡み合った結果と考えられます。しかし、すべての期間が順調であったわけではなく、いくつかの課題や不安定要因が付随しています。

1960年代から1980年代にかけて、牛乳生産量は安定した増加傾向を見せており、特に1970年代には年間100万トンを超える節目を達成しました。この時期は農地の拡大や牧畜技術の進歩により、国全体で生産効率が向上したと推測されます。しかし、1990年代に入ると、経済の混乱や政情不安が影響し、生産量の伸びが鈍化あるいは減少する局面が見られました。例えば、1994年には約1,386,000トンと大幅に減少し、この背景には、ハイパーインフレや政府の政策転換などがあると考えられます。

その後、2000年代後半になると、再び生産量が上昇し、2008年には初めて200万トンを突破しました。この急激な成長期には、農業セクターへの重点的な投資やインフラ整備が寄与した可能性があります。また、この時期には石油収入が豊富だったため、農業を含む多くの分野で経済活動が活発化していました。ただし、2013年以降、農業セクターの低迷が段々と影響を与え、2013年には200万トンを切る年もあり、これが後続する不安定な推移の始まりとなりました。

2020年代に入った現在、2020年の約2,762,000トンを記録するピークを経て、やや生産量は減少していますが、2022年には約2,524,000トンと安定した数値を見せています。この背景には、2020年前後に起こった新型コロナウイルス感染症の世界的な影響が考えられるほか、経済制裁に伴うインフラや物流の問題なども指摘できます。これら要因は一部改善されつつありますが、依然として市場の逼迫や供給の不安定さを残しています。

周辺国との比較をすると、例えばブラジルやアルゼンチンのような農業大国が年間約34,000,000トン(ブラジル、2019年FAO)といった非常に高い生産量を維持していることを考えると、ベネズエラの生産量は南米全体の中で中規模と言える位置づけです。さらに、特に近年では生産の効率性や品質の競争力が課題となっています。日本や韓国のように、国内需要を輸入で補うモデルとは異なり、ベネズエラでは自国の生産が直接国内供給を担う構造が維持されているため、生産量の安定性は国民の食生活にとって直接的な影響を及ぼします。

将来的には、国内の牧畜業の基盤を強化するための政策実施が重要です。具体的には、牧草地の管理技術向上や家畜用飼料の質の改善、さらに気候変動に対応した耐性牧畜の導入が求められます。また、物流の効率化や国際市場へのアクセス改善、国内外の投資誘致なども検討すべきです。地政学的には、農業生産に対する経済制裁や貿易規制の緩和が、持続可能な発展のカギを握るため、国際的な協調や貿易政策の見直しが必要とされるでしょう。

総じて、ベネズエラの牛乳生産は過去数十年で劇的な変化を遂げており、現在も成長と課題が混在する状況にあります。持続可能な生産基盤を築くためには、技術革新と政策支援の両面での強化が急務です。特に気候変動や経済的な困難が今後も生乳生産システムに影響を及ぼす可能性があるため、国際機関との協働や域内での資源共有がより重要となるでしょう。