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ベネズエラ (ボリバル共和国)のオレンジ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が提供するデータによると、ベネズエラ(ボリバル共和国)におけるオレンジの生産量は1961年の約11万トンから1980年代後半にかけて大幅に増加し、一時的には年間50万トンを超える水準に達しました。しかし、1990年代中盤以降は増減を繰り返しつつも長期的に低下傾向を示し、特に2018年には27万トン台にまで減少しました。2022年には約36万トンとやや回復の兆しを見せたものの、過去最高の生産量には及ばない状況が続いています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 352,565
-3.48% ↓
2022年 365,286
6.71% ↑
2021年 342,331
5.52% ↑
2020年 324,436
-11.12% ↓
2019年 365,009
33.47% ↑
2018年 273,476
-26.95% ↓
2017年 374,378
-4.75% ↓
2016年 393,042
-3.58% ↓
2015年 407,617
-5.88% ↓
2014年 433,092
14.45% ↑
2013年 378,421
0.29% ↑
2012年 377,323
-20.6% ↓
2011年 475,236
18.88% ↑
2010年 399,748
3.98% ↑
2009年 384,445
0.49% ↑
2008年 382,561
-1.87% ↓
2007年 389,842
3.17% ↑
2006年 377,881
0.93% ↑
2005年 374,417 -
2004年 374,419
12.35% ↑
2003年 333,272
-2.45% ↓
2002年 341,645
-25.16% ↓
2001年 456,495
-8.11% ↓
2000年 496,768
7.39% ↑
1999年 462,579
-2.62% ↓
1998年 475,023
-7.53% ↓
1997年 513,709
-5.38% ↓
1996年 542,936
-8.52% ↓
1995年 593,497
18.75% ↑
1994年 499,804
21.69% ↑
1993年 410,718
-7.62% ↓
1992年 444,580
1.46% ↑
1991年 438,169
1.18% ↑
1990年 433,056
1.7% ↑
1989年 425,817
0.48% ↑
1988年 423,803
9.1% ↑
1987年 388,454
1.1% ↑
1986年 384,217
3.79% ↑
1985年 370,173
2.13% ↑
1984年 362,453
-5.67% ↓
1983年 384,239
3.2% ↑
1982年 372,325
1.14% ↑
1981年 368,128
11.18% ↑
1980年 331,111
0.4% ↑
1979年 329,787
5.15% ↑
1978年 313,626
-1.98% ↓
1977年 319,969
27.83% ↑
1976年 250,314
-5.79% ↓
1975年 265,684
5.76% ↑
1974年 251,214
3.19% ↑
1973年 243,439
4.44% ↑
1972年 233,100
6.23% ↑
1971年 219,428
7.04% ↑
1970年 205,000
6.9% ↑
1969年 191,767
6.9% ↑
1968年 179,389
6.9% ↑
1967年 167,810
6.9% ↑
1966年 156,979
13.83% ↑
1965年 137,908
5.31% ↑
1964年 130,958
5.26% ↑
1963年 124,416
5.21% ↑
1962年 118,254
5.16% ↑
1961年 112,448 -

ベネズエラ(ボリバル共和国)はかつて、オレンジ生産が右肩上がりに成長していた国の一つです。1960年代には農業や農村インフラの発展が進み、オレンジ栽培が農業セクターにおいて重要な役割を果たすようになりました。生産量は1970年代〜1980年代にかけて堅調に伸び、1989年には42.5万トンを超える規模に達しました。その後、1995年には約59.3万トンと歴史的な最高記録を達成しています。この成長は、当時の国内経済の安定や農業技術の発展、輸出市場の堅調な需要によるものでした。

しかし1990年代後半以降、ベネズエラのオレンジ生産量には不安定な動向が見られるようになりました。主な背景には政治的不安定性や経済危機が挙げられ、それが農業分野にも悪影響を及ぼしました。また、インフラの老朽化や農業への投資不足が深刻化し、生産拡大への支障となりました。2002年には生産量が34万トン台にまで減少し、以降も過去の高水準まで回復することはありませんでした。

2018年には、これまでの最低記録となる27万トン台まで落ち込み、この背景には経済危機、インフレ、そして農産業従事者の減少が挙げられます。また、この時期は地政学的なリスクが増大しており、オレンジ生産にとっても輸出用の輸送網の遅延や国外取引の停滞が大きな影響を及ぼしました。さらに、気候変動や農業技術投入の停滞などの長期的な課題も無視できません。

2020年以降のデータは、生産回復の傾向を示しています。2022年には約36.5万トンまで持ち直しましたが、持続的改善には依然として課題が山積しています。これは、長期的な農業政策の欠如や、国内外市場との連携の弱化が原因と考えられます。

将来を見据えると、まず必要なのは農業インフラの再構築と技術の導入です。例えば、水管理のために灌漑設備を整備し、効率的な農薬や肥料の使用を促進することで、質と量の両方の向上が期待されます。また、政府支援だけでなく、民間資本を呼び込むための安定した投資環境の確保が欠かせません。さらに、輸出向けの市場開拓や地域間協力を強化し、ベネズエラ産オレンジの国際競争力を高めるべきです。

地政学的な背景にも留意する必要があり、特にベネズエラ周辺国との協力を通じた地域的安定化が重要です。地理的に重要な位置にあるベネズエラは、農産物の輸送拠点としての潜在力を秘めています。また、気候変動に対応するための持続可能な農業手法を取り入れることで、自然災害時の影響を緩和し、災害時にもオレンジの生産基盤を確立することが求められます。

結論として、ベネズエラのオレンジ生産量は過去の強い成長基調を取り戻すに至っていませんが、近年みられる回復の動きは明るい兆しと言えます。今後、政治・経済の安定化と農業分野への継続的な投資、技術革新を進めることで、持続可能な生産量の増加が期待されます。国際的な協力や支援を積極的に活用しつつ、ベネズエラの農業再生を目指すべきと考えられます。