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ベネズエラ (ボリバル共和国)のサトウキビ生産量推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が発表したデータによると、ベネズエラのサトウキビ生産量は、1960年代から2000年代前半まで大きく拡大したものの、その後減少傾向が続いています。特に2020年代に入ってから急激な落ち込みが見られ、2023年には1,595,171トンと記録的な低水準となっています。このデータは、土壌の利用状況、気候変動、社会的・経済的な問題の影響を敏感に反映しており、農業全体の課題を示すものと考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 1,595,171
-23.02% ↓
2022年 2,072,189
-35.57% ↓
2021年 3,216,146
-3.57% ↓
2020年 3,335,090
7.44% ↑
2019年 3,104,097
-3.19% ↓
2018年 3,206,225
-19.3% ↓
2017年 3,973,251
8.15% ↑
2016年 3,673,714
-34.04% ↓
2015年 5,569,497
-14.1% ↓
2014年 6,483,755
-8.1% ↓
2013年 7,055,102
-3.38% ↓
2012年 7,301,702
8.71% ↑
2011年 6,716,379
-1.84% ↓
2010年 6,842,180
-15.88% ↓
2009年 8,134,111
-6.52% ↓
2008年 8,701,047
-10.21% ↓
2007年 9,690,791
3.95% ↑
2006年 9,322,937
-3.43% ↓
2005年 9,654,393
9.53% ↑
2004年 8,814,248
-11.42% ↓
2003年 9,950,078
16.71% ↑
2002年 8,525,815
-3.8% ↓
2001年 8,862,621
0.35% ↑
2000年 8,831,523
3.89% ↑
1999年 8,501,109
4.81% ↑
1998年 8,111,023
26.16% ↑
1997年 6,428,958
0.07% ↑
1996年 6,424,319
4.49% ↑
1995年 6,148,412
-5.73% ↓
1994年 6,521,848
-9.43% ↓
1993年 7,200,651
-2.03% ↓
1992年 7,349,498
6.34% ↑
1991年 6,911,280
4.42% ↑
1990年 6,618,905
-15.24% ↓
1989年 7,808,761
-6.29% ↓
1988年 8,332,537
3.69% ↑
1987年 8,035,972
9.17% ↑
1986年 7,361,059
29.75% ↑
1985年 5,673,165
19.25% ↑
1984年 4,757,379
-1.21% ↓
1983年 4,815,887
-10.35% ↓
1982年 5,371,624
18.54% ↑
1981年 4,531,369
-9.13% ↓
1980年 4,986,518
4.55% ↑
1979年 4,769,354
-1.22% ↓
1978年 4,828,402
-9.86% ↓
1977年 5,356,457
-10.73% ↓
1976年 6,000,599
9.38% ↑
1975年 5,486,162
-6.32% ↓
1974年 5,856,497
11.75% ↑
1973年 5,240,675
-8.64% ↓
1972年 5,736,436
11.34% ↑
1971年 5,152,106
4.96% ↑
1970年 4,908,737
15.45% ↑
1969年 4,251,695
14.06% ↑
1968年 3,727,572
-10.95% ↓
1967年 4,185,940
3.76% ↑
1966年 4,034,353
8.91% ↑
1965年 3,704,424
14.78% ↑
1964年 3,227,409
14.72% ↑
1963年 2,813,223
6.87% ↑
1962年 2,632,476
4.5% ↑
1961年 2,519,028 -

ベネズエラにおけるサトウキビの生産量は、1961年には2,519,028トンでしたが、1970年代から1990年代にかけて急成長し、2003年には9,950,078トンというピークに到達しました。これは、農業技術の進歩と土地利用の拡大、そして政府支援策や市場需要の増加に起因していると分析されます。しかし、その後は著しい低下が見られ、2023年にはピーク時の約16%に過ぎない1,595,171トンとなりました。この減少には複数の要因が影響を及ぼしていると考えられます。

まず、ベネズエラの政情不安がここ数十年続いており、それが農業全体に及ぼす影響は非常に大きいといえます。土地の管理やインフラ整備、農業資材供給の停滞は、生産効率を大きく損ねる要因となりました。また、国際経済制裁も資金調達や輸入品の供給に影響を与え、農業生産に必要な機械や化学肥料の使用が十分に行えなくなりました。

次に、気候変動も重要な要因の1つです。サトウキビは高温多湿の条件を必要とするため、最近の異常気象や降水量の減少が直接的な影響を与えています。他国と比較すると、ブラジルやインドのようなサトウキビの主要生産国は、農業用水の管理や灌漑技術の導入により、環境の変化に適応していますが、ベネズエラではこれらへの対応が遅れていると考えられます。

また、国内市場の縮小や輸出市場での競争力低下も生産減少の理由です。近年、多くの農民が経済の不確実性から農作物生産から離れてしまい、他産業への移行や国外移住を選択している状況も影響しています。さらに、新型コロナウイルス感染症の流行による社会的混乱が、生産、輸送、取引をさらに停滞させる原因となりました。

急激な生産量の減少は、農業従事者および関連産業への経済的打撃だけでなく、食糧安全保障にも影響を及ぼします。加えて、地域社会における失業の増加や貧困の悪化といった社会問題を深刻化させています。この状況は、国民生活や経済基盤全体に対して大きな課題を突きつけています。

今後の対策として、まず、基礎インフラの整備を進めることが重要です。農業機器や灌漑システムの整備、科学的な農業技術の普及を通じて生産効率を改善する必要があります。また、政府が国際機関や他国と協力して制裁を緩和し、農業資材の輸入を促進することも考えられます。さらに、農業従事者への支援として、補助金の提供や教育プログラムの実施が有効です。

地政学的に見ると、サトウキビ生産の低迷は、ベネズエラが原材料や食品の自給率を低下させる懸念を増幅させています。このため、隣国との協力関係を強化し、例えばブラジルやコロンビアから農業技術や専門知識を導入することが考えられます。また、サトウキビはバイオエネルギーの供給源としての役割も果たしますので、この分野での持続可能な活用を目指すことも重要な視点となります。

結論として、ベネズエラのサトウキビ生産量の推移は、単なる農業データにとどまらず、同国が抱える社会的および経済的課題を象徴しています。これを克服するには、国内外の協力体制を強化し、現代的な農業技術を導入するなどの包括的な対策が求められます。このような取り組みを実現することで、サトウキビ生産量を回復させつつ、農業全体の発展が期待されます。