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ベネズエラ (ボリバル共和国)のジャガイモ生産量推移(1961-2022)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)による最新データによると、ベネズエラ (ボリバル共和国)のジャガイモ生産量は1960年代から2022年までの間に大きな変動を示しており、特に2000年代に急激な増加をみせつつ、その後の一時的な減少を経て回復傾向に転じています。2022年には476,796トンを記録し、前年と比較して小幅な増加を示しました。ただし、長期的な視点では、生産量の変動が頻繁であり、農業における安定性の課題が浮き彫りとなっています。

年度 生産量(トン)
2022年 476,796
2021年 473,517
2020年 451,334
2019年 427,319
2018年 379,472
2017年 421,006
2016年 452,673
2015年 523,800
2014年 503,733
2013年 420,319
2012年 349,029
2011年 554,852
2010年 512,544
2009年 499,179
2008年 421,016
2007年 456,661
2006年 454,142
2005年 443,106
2004年 350,063
2003年 321,599
2002年 350,626
2001年 329,214
2000年 341,662
1999年 384,050
1998年 390,232
1997年 322,141
1996年 320,708
1995年 294,800
1994年 231,772
1993年 213,278
1992年 238,145
1991年 215,367
1990年 200,449
1989年 225,775
1988年 221,236
1987年 215,849
1986年 196,349
1985年 191,177
1984年 244,740
1983年 225,373
1982年 216,567
1981年 171,330
1980年 198,672
1979年 190,964
1978年 170,524
1977年 178,633
1976年 132,154
1975年 151,647
1974年 152,331
1973年 123,638
1972年 109,397
1971年 115,178
1970年 125,042
1969年 123,762
1968年 142,507
1967年 132,621
1966年 126,123
1965年 135,890
1964年 123,536
1963年 110,919
1962年 121,203
1961年 73,977

1961年以降、ベネズエラのジャガイモ生産量は着実に増えており、1980年代以降には20万トンを超える時期が一般的になりました。1990年代半ばには30万トンを超える水準に達し、1998年には過去最高となる390,232トンに到達しました。その後も上昇傾向が続き、2010年代前半には50万トンを超える生産量に到達しましたが、2012年以降、生産量は一時的に大きく減少しました。近年、2020年以降は安定した増加基調を示しており、2022年にはおよそ47.6万トンに達しました。

このような長期にわたるデータを見ると、天候の変動、経済の変化、農業政策、地政学的背景などが生産量に大きく影響を与えていることがわかります。たとえば、2012年から2018年にかけての生産減少には、経済の不安定さや輸入資材の不足といった要因が関係していると考えられます。ベネズエラの経済は、長く石油依存型の構造を持つことで知られており、石油価格の変動や国家的な財政状況が農業分野にも影響を及ぼしてきました。

また、近年の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響についても考慮が必要です。パンデミック初期の2020年には、生産量が増加し過去の数値に戻る兆しを見せる一方、生産に必要な化学肥料や農業機械の輸入が制限されたことが、一部の生産者にとって障害となりました。それでも、2021年以降は回復が見られ、476,796トンという新たな水準に達したことは注目に値します。

国際的な比較の視点で見ると、ベネズエラの生産規模は中規模に位置します。例えば、世界最大のジャガイモ生産国である中国は年間6,000万トン以上を誇り、インド、ロシア、アメリカも年間2,000万トン以上の生産量を示しています。それと比べればベネズエラの生産量は控えめですが、国内需要を満たすためには十分な量とみなされています。一方で、近隣国のペルーやコロンビアは多様な品種の栽培や輸出も行っており、ベネズエラのジャガイモ生産の多角化が課題として注目されています。

将来的な課題としては、農業技術の改善、気候変動への適応策、農業資材の安定供給が挙げられます。特に、土壌の改良や灌漑設備の整備が生産量の安定化に重要な役割を果たすと考えられます。同時に、作物の多様化やジャガイモの加工品産業の育成が、農業の経済基盤強化には大きな可能性を持っています。

さらに、地政学的な背景を考慮すると、ベネズエラは経済制裁や地域紛争の影響を受けやすい環境にあります。これにより、輸出や輸入バランスが揺らぐことも十分考えられます。その対策としては、近隣諸国との農業協力枠組みを構築し、農業分野での地域間連携を進めることが推奨されます。

結論として、ベネズエラのジャガイモ生産は長期的に見ると増加傾向にありますが、経済的・社会的安定性の確保や、技術投資による持続可能な農業基盤の構築が欠かせません。国際機関との連携や技術協力、地域間パートナーシップの強化によって、今後も安定した生産と経済的な成長を目指すことが重要です。