Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が発表した2024年7月時点の最新データによると、ベネズエラ (ボリバル共和国)のブドウ生産量は、一貫した成長を見せた初期段階から、変動を伴いながらもおおむね高い水準を維持してきたことが示されています。特に1970年代には急激な成長が見られましたが、その後は経済環境や国内外の影響に左右される形で山谷のある推移となっています。直近では2023年の生産量が21,068トンと、過去数年の平均をわずかに上回る水準となっています。
ベネズエラ (ボリバル共和国)のブドウ生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 21,068 |
-0.26% ↓
|
2022年 | 21,123 |
5.97% ↑
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2021年 | 19,933 |
2.75% ↑
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2020年 | 19,398 |
-4.91% ↓
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2019年 | 20,400 |
3.3% ↑
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2018年 | 19,749 |
-1.57% ↓
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2017年 | 20,065 |
5.85% ↑
|
2016年 | 18,955 |
0.16% ↑
|
2015年 | 18,925 |
-1.89% ↓
|
2014年 | 19,290 |
0.28% ↑
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2013年 | 19,237 |
22.37% ↑
|
2012年 | 15,720 |
-37.57% ↓
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2011年 | 25,181 |
13.41% ↑
|
2010年 | 22,203 |
66.7% ↑
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2009年 | 13,319 |
-21.65% ↓
|
2008年 | 17,000 |
0.97% ↑
|
2007年 | 16,836 |
28.16% ↑
|
2006年 | 13,137 |
-9.87% ↓
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2005年 | 14,575 |
7.96% ↑
|
2004年 | 13,500 |
-1% ↓
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2003年 | 13,636 |
5.7% ↑
|
2002年 | 12,901 |
13.89% ↑
|
2001年 | 11,328 |
-12.59% ↓
|
2000年 | 12,960 |
10.72% ↑
|
1999年 | 11,705 |
11.18% ↑
|
1998年 | 10,528 |
-4.59% ↓
|
1997年 | 11,034 |
-6.95% ↓
|
1996年 | 11,858 |
1.08% ↑
|
1995年 | 11,731 |
-5.82% ↓
|
1994年 | 12,456 |
4.77% ↑
|
1993年 | 11,889 |
-8.79% ↓
|
1992年 | 13,035 |
0.3% ↑
|
1991年 | 12,996 |
4.18% ↑
|
1990年 | 12,475 |
11.29% ↑
|
1989年 | 11,209 |
2.2% ↑
|
1988年 | 10,968 |
5.2% ↑
|
1987年 | 10,426 |
6.58% ↑
|
1986年 | 9,782 |
4.74% ↑
|
1985年 | 9,339 |
5.06% ↑
|
1984年 | 8,889 |
19.36% ↑
|
1983年 | 7,447 |
2.86% ↑
|
1982年 | 7,240 |
20.05% ↑
|
1981年 | 6,031 |
10.12% ↑
|
1980年 | 5,477 |
5.9% ↑
|
1979年 | 5,172 |
15.63% ↑
|
1978年 | 4,473 |
2.62% ↑
|
1977年 | 4,359 |
51.35% ↑
|
1976年 | 2,880 |
38.66% ↑
|
1975年 | 2,077 |
42.55% ↑
|
1974年 | 1,457 |
26.15% ↑
|
1973年 | 1,155 |
35.25% ↑
|
1972年 | 854 |
8.38% ↑
|
1971年 | 788 |
15.04% ↑
|
1970年 | 685 |
-7.56% ↓
|
1969年 | 741 |
20.68% ↑
|
1968年 | 614 |
25.05% ↑
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1967年 | 491 |
24.94% ↑
|
1966年 | 393 | - |
ベネズエラ (ボリバル共和国)のブドウ生産量は、1966年の393トンから2023年の21,068トンへと、大きく増加してきました。特に1960年代から1980年代にかけて、生産量は飛躍的に伸びており、1970年代後半から1980年代前半にかけては、毎年約10%の成長率を記録していました。この時期の急激な成長には、農業技術の向上や公共政策としての農業支援、ならびに新たな栽培地の開拓が寄与していると考えられます。また、1970年代後半には石油産業の発展による国家全体の経済成長が、農業セクターへの投資を促した背景もあります。
1990年代に入ると、生産量は横ばいに転じ、1993年以降は一時的に減少傾向が見られました。この動きは、国内経済の不安定化やインフラ整備の停滞と一致します。また、2000年代に再び回復したものの、2009年や2012年などには一時的な落ち込みが目立ちます。これらの停滞は、国内の社会経済的混乱や自然災害、さらには輸送網や貯蔵施設の不足に起因するものと推察されます。一方で、2010年の22,203トンや2011年の25,181トンのように、生産量が一時的に跳ね上がった年もありました。これは、特定の地域での好天候や政府による一時的な農業政策の強化が影響した可能性があります。
近年では、生産量は20,000トン前後で安定しており、2022年の21,123トンや2023年の21,068トンという推移から、一定の均衡状態にあることが見受けられます。しかしこの安定は、持続可能な生産基盤というよりは、需要と供給の脆弱なバランスによって成り立っているとも考えられます。国内外の需要は潜在的に存在しているものの、気候変動による降水量の不安定化や、国際市場での競争力の低下が課題として浮上しています。
地政学的背景として、ベネズエラは長年にわたり政治的、経済的な混乱に直面してきました。これにより、主要農業分野への十分な投資が妨げられ、農業セクター全体の成長が鈍化しています。特に、ブドウのような需要の高い果物の生産において、輸送インフラの遅滞や農地の管理不全が克服すべき課題となっています。また、新型コロナウイルス感染症の影響で一時的に輸出が停滞し、国内消費に与える影響も一定の影響を与えました。
今後の課題として、まず第一に気候変動に対応する栽培技術の導入が挙げられます。特に持続可能な農業手法や効率的な灌漑システムの導入は、生産量の安定に不可欠です。さらに、国際市場での競争力を高めるために品質向上とブランディングが求められます。そのためには、政府と民間セクターが連携し、農業研究開発を推進する必要があります。また、国内の経済基盤を強化し、インフラ整備や輸送体制の改善に注力することで、物流上の障害を解消することが重要となります。
最後に、政策の具体例としては、地域間協力の枠組みを利用した農業教育の促進や、国際的な農業技術支援の取り込みが効果的と考えられます。特に、他の輸出国で成功している韓国や中国の技術的支援を参考にすることで、生産効率が向上し、国際市場での競争力も高まるでしょう。ベネズエラのブドウ産業は、これらの対策をもとに成長軌道を維持し、さらなる発展の可能性を切り開くことが期待されます。