国際連合食糧農業機関(FAO)が発表したデータから、ベネズエラ(ボリバル共和国)のレモン・ライム生産量は、1977年以降、長期的には徐々に増加傾向にあります。特に1990年代後半には急激な生産量の伸びが見られ、1999年にはピークとなる98,022トンを記録しました。その後、一時的な減少と回復を繰り返し、2023年には90,952トンと安定した水準に達しています。
ベネズエラ (ボリバル共和国)のレモン・ライム生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 90,952 |
2.61% ↑
|
2022年 | 88,639 |
3.58% ↑
|
2021年 | 85,571 |
3.2% ↑
|
2020年 | 82,914 |
-0.15% ↓
|
2019年 | 83,041 |
7.88% ↑
|
2018年 | 76,975 |
-14.6% ↓
|
2017年 | 90,138 |
5.76% ↑
|
2016年 | 85,226 |
16.75% ↑
|
2015年 | 72,997 |
0.59% ↑
|
2014年 | 72,566 |
4.82% ↑
|
2013年 | 69,226 |
2.15% ↑
|
2012年 | 67,771 |
15.36% ↑
|
2011年 | 58,748 |
6.21% ↑
|
2010年 | 55,314 |
0.57% ↑
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2009年 | 55,000 |
0.59% ↑
|
2008年 | 54,679 |
-5.37% ↓
|
2007年 | 57,783 |
16.41% ↑
|
2006年 | 49,637 |
-24.27% ↓
|
2005年 | 65,541 |
19.76% ↑
|
2004年 | 54,725 |
-5.9% ↓
|
2003年 | 58,154 |
-31.71% ↓
|
2002年 | 85,152 |
11.06% ↑
|
2001年 | 76,669 |
8.77% ↑
|
2000年 | 70,488 |
-28.09% ↓
|
1999年 | 98,022 |
54.5% ↑
|
1998年 | 63,444 |
37.92% ↑
|
1997年 | 46,000 |
21.05% ↑
|
1996年 | 38,000 |
26.67% ↑
|
1995年 | 30,000 |
36.36% ↑
|
1994年 | 22,000 |
4.12% ↑
|
1993年 | 21,129 |
4.79% ↑
|
1992年 | 20,162 |
11.64% ↑
|
1991年 | 18,061 |
24.56% ↑
|
1990年 | 14,500 |
0.51% ↑
|
1989年 | 14,427 |
5.33% ↑
|
1988年 | 13,697 |
1.24% ↑
|
1987年 | 13,529 |
1.91% ↑
|
1986年 | 13,275 |
2.53% ↑
|
1985年 | 12,947 |
3.58% ↑
|
1984年 | 12,500 | - |
1983年 | 12,500 |
4.17% ↑
|
1982年 | 12,000 | - |
1981年 | 12,000 |
20% ↑
|
1980年 | 10,000 | - |
1979年 | 10,000 |
25% ↑
|
1978年 | 8,000 | - |
1977年 | 8,000 | - |
ベネズエラの1977年から2023年までのレモン・ライム生産量推移を見ると、この国の農業が抱えてきた課題と、それを打開する努力が浮かび上がります。1970年代から80年代にかけては、年間8,000~14,500トン前後で比較的緩やかな成長が見られました。当時は、国内市場向けの生産量が中心であり、国際市場での競争力は限定的でした。しかし、1990年代に入ると、1991年以降の急成長によって生産量が大幅に拡大し、1999年にはピークの98,022トンを記録しました。この急増の背景には、政府による農業振興政策と、国際市場の需要増加があったと考えられます。
一方、2000年代には様々な要因で動揺が見られました。2003年や2006年には生産量が急減しており、政治的混乱、経済制裁、気候変動による天候不順がその一因として挙げられます。例えば、気候変動による降雨量の変動や高温がレモンやライムの収穫量に影響を与えた可能性が高いと考えられます。また、輸出向けのインフラ整備や技術投資の遅れ、さらに原油価格の下落による経済危機が農業全体に悪影響を与えたことも否定できません。
しかし、2010年代後半以降のデータからは、回復の兆しが見られます。特に2016年からの増加は顕著で、2023年には90,952トンまで回復しています。この回復の背景には、農業技術の改善や輸出促進政策が挙げられます。隣国ブラジルやメキシコといった主要な生産国に比べると小規模ではあるものの、ベネズエラのレモンとライムはその風味の良さから国際市場で一定の評価を受けています。そのため、競争力を高める余地が大いにあると言えます。
一方で、いくつかの課題も残されています。近年の地政学的リスクや経済的制約のために、生産設備の近代化や物流システムの改善が十分になされていない点が挙げられます。また、気候変動の影響は今後も脅威として存在するでしょう。これに対抗するためには、耐乾燥性の高い品種の導入や、灌漑設備の拡充が求められます。
さらに、国際市場での地位を強化するためには、輸出先の多様化が必要です。現在、ベネズエラの農産物は主に南米市場に依存していますが、アジアや中東といった新たな市場の開拓が鍵となるでしょう。それに向けて、生産品質の更なる向上や国際的認証の取得が重要です。たとえば、オーガニック認証を取得することで、付加価値を高めることができます。
また、経済安定性を欠いている国内の問題を解決するためには、国際機関との協調が欠かせません。特に国際連合の支援を活用し、持続可能な農業モデルを確立することが喫緊の課題です。これは単に生産量の拡大を目指すだけでなく、小規模農家の生活向上や地域経済の活性化を目的とするべきです。
まとめとして、ベネズエラのレモン・ライム生産は長期的に増加傾向にあるものの、依然として不安定な要因が多く存在します。持続可能な農業の実現と国際市場での競争力向上を目指すためには、技術向上やインフラ投資だけでなく、気候変動対策や地政学的影響への対応が不可欠です。国や地域、国際社会が協力して、これらの課題に取り組むことが求められます。