マリの牛乳生産量推移（1961年～2023年）

Food and Agriculture Organization（国際連合食糧農業機関）が発表した最新データによると、マリの牛乳生産量は1961年の85,995トンから2023年の311,353トンまで長期的に増加しています。ただし、増加の全体的な傾向の中においても、特に1970年代から1980年代初頭、また最近の2010年代後半にかけて、生産量の大幅な変動が見られます。1990年代以降は徐々に持続的な成長が見られる一方、近年では新たな課題による変動も確認されます。本データは、食糧安全保障や経済成長において牛乳産業が重要な役割を担っていることを示しています。

マリの牛乳生産量のデータを分析すると、長期的には大きな増加の傾向が見られます。1961年の85,995トンから2023年の311,353トンまでおよそ3.6倍に増加しており、この間に生産技術や牧畜業の発展が起こったことが反映されています。ただし、その道のりは決して線形ではなく、複数の要因による劇的な変動が地政学的・経済的背景と関わりながら展開されています。

1974年や1984年から1985年では生産量が10万トン台に低下していることが確認されます。この時期の低迷は、サヘル地域全体が干ばつに見舞われ、牧草地や水資源が不足したことが主要因と考えられます。この干ばつにより、多くの家畜が失われたことが生産量の減少につながりました。同様に、2013年や2018年にも著しい減少が見られた背景には、地域的な治安問題や農牧業の気象への依存が含まれているでしょう。

一方、2000年代後半には生産量が顕著な成長を遂げており、2006年には439,309トン、さらに2007年の529,809トンでピークを迎えています。この急成長は牛乳の国内市場だけでなく、隣国との貿易拡大や家畜飼育インフラの整備が進んだことを示唆します。しかし、2010年には298,152トンに再び落ち込んでおり、これは干ばつや政情不安が影響した可能性があります。

直近の2023年では311,353トンの水準に回復しましたが、完全な安定とは言えません。2018年から2022年にかけての数年間では、牛乳の生産量は約27万トンから29万トン台で推移し、気候災害や政治や社会的不安定さが主な生産の足かせとなったと考えられます。

今後、マリの牛乳産業を進展させるためには、以下の対策が必要です。第一に、気象変動への対策が急務です。サヘル地域の定期的な干ばつリスクを軽減するために耐干ばつ性のある牧草の栽培、灌漑施設の導入、さらに水資源管理の効率化を進めるべきです。第二に、治安改善を伴う地域の安定化が不可欠です。特に2020年代では、武装勢力による地域衝突が家畜飼育に悪影響を与えているとの指摘があります。こうした問題への対応として、国際的な支援を伴う治安維持と農牧従事者の保護が重要です。第三に、技術革新と教育です。牧畜の生産効率や品質向上のために、最新の配合飼料の導入や獣医療体制の強化、さらに農牧業コミュニティへの教育プログラムも必要です。

また、国際市場との連携を強化することは重要な一手です。隣接する西アフリカ諸国に製品を輸出することで、マリの経済的自立や収益の多様化につながります。そのためにも、乳製品の加工能力を高め、品質管理基準の向上が期待されます。

結論として、データはマリの牛乳生産が過去数十年間で大幅に成長してきたものの、不安定さに直面し続けていることを示しています。気象変動や治安問題、そして技術的な課題を克服することが持続的な発展の鍵です。FAO（国際連合食糧農業機関）やその他の国際的な機関は、これらの課題解決を支援するための投資や技術支援を拡大していく必要があるでしょう。