Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が発表した最新データによると、マリにおけるジャガイモ生産量は、1990年の27,000トンから2022年の285,310トンまで大幅に増加しています。この間、生産量は幾度かの減少を伴いつつも、長期的には大きく成長しました。特に2006年から2018年にかけての急激な増加が顕著であり、一方で2019年以降は生産量が変動的となっています。
マリのジャガイモ生産量推移(1961-2022)
年度 | 生産量(トン) |
---|---|
2022年 | 285,310 |
2021年 | 218,062 |
2020年 | 225,880 |
2019年 | 303,257 |
2018年 | 310,902 |
2017年 | 251,558 |
2016年 | 210,209 |
2015年 | 183,410 |
2014年 | 157,439 |
2013年 | 149,597 |
2012年 | 138,779 |
2011年 | 124,532 |
2010年 | 82,470 |
2009年 | 90,407 |
2008年 | 167,221 |
2007年 | 114,478 |
2006年 | 104,866 |
2005年 | 77,495 |
2004年 | 57,187 |
2003年 | 65,817 |
2002年 | 65,928 |
2001年 | 65,000 |
2000年 | 62,577 |
1999年 | 58,833 |
1998年 | 55,000 |
1997年 | 51,804 |
1996年 | 50,000 |
1995年 | 46,820 |
1994年 | 44,403 |
1993年 | 45,000 |
1992年 | 37,682 |
1991年 | 35,000 |
1990年 | 27,000 |
国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データから、マリのジャガイモ生産量はこの30年間で大きな成長を遂げたことがわかります。1990年には27,000トンであった生産量は、その後、小刻みな増加を続け、1998年には55,000トン、そして2000年代に入る頃には70,000トンを超えるようになりました。しかし、2004年には57,187トンと一時的な減少を記録しましたが、2005年には再び大きく持ち直しています。
注目すべきは、2006年から2008年にかけての急速な増加です。この時期、77,495トンから167,221トンへと、わずか3年で約2倍以上に拡大しました。これは、農業技術の導入、栽培面積の拡大、政府や国際機関の援助によるインフラ整備が寄与している可能性を示唆しています。しかし2009年からは、90,407トンへ大幅減少するなど気候的、地政学的な要因がこの地域の農業生産に大きく影響していたことが予想されます。
2011年以降は再び順調な増加基調に入り、2016年には210,209トン、続いて2018年にはピークとなる310,902トンを記録しました。この成長は特に、農業機械利用の増加や品種改良が進んだこと、地域市場での需要が高まったことが背景にあります。しかし、2019年以降は不安定な状況が続き、2020年と2021年には再び大きな減少を経験しました。これは、降雨量の変動、コロナ禍による物流の停滞、地域における紛争の増加が要因であった可能性があります。2022年には285,310トンに回復しましたが、以前のピークには達していません。
このデータを踏まえると、マリのジャガイモ生産量は全体的に成長を遂げていますが、気候変動や社会的安定性の欠如といった課題が依然として大きな影響を及ぼしていることがわかります。特に気候変動が作物の生産に大きな問題を提起しており、降水量の変動、乾燥化、灌漑インフラの不足などが影響の一端とされています。また、地域衝突や政情不安が農業活動を妨げている可能性も指摘されています。
今後、安定的な増産を実現するためには、いくつかの具体的な対策が必要です。まず、灌漑設備の整備や雨水の効果的な利用を促進し、水資源の供給を安定させることが重要です。加えて、農業技術の教育や普及活動を通じて、農家が気候変動に適応した栽培手法を確立できるよう支援することも求められます。また、安全かつ効率的な物流インフラを構築し、地域市場や国際市場への流通を円滑にすることが、農家の収益向上に寄与するでしょう。
さらに、国際連合や地域の協力機構と連携した農業政策の策定や援助を行うことで、政情不安の影響を軽減し、農業従事者の生産活動を守ることも重要となります。これらの取り組みが着実に進むことで、マリのジャガイモ生産は安定し、地域の食糧安全保障や経済的発展にも大きく貢献するでしょう。