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マリのスイカ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、マリのスイカ生産量は1961年の70,000トンから2023年の416,173トンまで増加しています。しかし、この間には一時的な急激な増減が見られ、安定的な成長とはいえません。特に2006年や2008年の大幅な減少、また2009年から2010年にかけての異常な急増などは注目に値し、外部要因や構造的な問題が影響していると考えられます。2020年以降、生産量はやや安定してきているものの、依然として変動幅が大きいのが課題です。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 416,173 -
2022年 416,173
3.12% ↑
2021年 403,587
-32.09% ↓
2020年 594,283
7.82% ↑
2019年 551,194
38.97% ↑
2018年 396,641
20.41% ↑
2017年 329,413
-40.29% ↓
2016年 551,648
83.88% ↑
2015年 300,000
190.92% ↑
2014年 103,120
-72.32% ↓
2013年 372,486
4.53% ↑
2012年 356,328
1.69% ↑
2011年 350,418
-18.7% ↓
2010年 430,995
-31.73% ↓
2009年 631,296
544.88% ↑
2008年 97,894
-67.88% ↓
2007年 304,777
149.91% ↑
2006年 121,956
-58.14% ↓
2005年 291,348
6.23% ↑
2004年 274,252
-0.27% ↓
2003年 275,000
5.5% ↑
2002年 260,673
-1.63% ↓
2001年 265,000
5.39% ↑
2000年 251,452
0.58% ↑
1999年 250,000
6.38% ↑
1998年 235,000
-0.57% ↓
1997年 236,339
7.43% ↑
1996年 220,000
-3.57% ↓
1995年 228,139
6.11% ↑
1994年 215,000
4.88% ↑
1993年 205,000
2.5% ↑
1992年 200,000
-5.96% ↓
1991年 212,677
8.54% ↑
1990年 195,948
3.13% ↑
1989年 190,000 -
1988年 190,000
5.56% ↑
1987年 180,000
2.86% ↑
1986年 175,000
6.06% ↑
1985年 165,000
3.13% ↑
1984年 160,000 -
1983年 160,000 -
1982年 160,000 -
1981年 160,000
6.67% ↑
1980年 150,000
1.35% ↑
1979年 148,000 -
1978年 148,000 -
1977年 148,000
2.07% ↑
1976年 145,000
7.41% ↑
1975年 135,000 -
1974年 135,000
8% ↑
1973年 125,000 -
1972年 125,000
8.7% ↑
1971年 115,000 -
1970年 115,000
9.52% ↑
1969年 105,000
5% ↑
1968年 100,000
17.65% ↑
1967年 85,000 -
1966年 85,000 -
1965年 85,000
21.43% ↑
1964年 70,000 -
1963年 70,000 -
1962年 70,000 -
1961年 70,000 -

マリのスイカ生産量は、1961年から2023年の長期的な推移を見ると着実な増加傾向が見られますが、その過程にはいくつかの特徴的な変動が存在しています。1961年から1970年代にかけては比較的堅調に増加し、70,000トンから115,000トンに達しました。この時期における増加は、農業技術の改善やスイカを含む果物の需要拡大が影響していると推測されます。しかし、1980年代から1990年代の間の増加率はやや鈍化しつつも、安定した成長を維持していました。

2006年や2008年における大幅な生産量の減少(それぞれ121,956トン、97,894トン)は、地域的な干ばつや水資源の不足が要因となった可能性があります。この地域はサヘル地帯を含む半乾燥地帯に位置しているため、雨水に依存した農業が収量に大きな影響を及ぼしていると考えられます。また、2009年の631,296トンまでの急増は、その前の不作を受けての異常な生産集中、あるいは統計の捉え方の変更が影響している可能性があります。このような短期間の急増と急減が続く状況は、生産体制の構造的な脆弱性を示しているといえるでしょう。

2020年代に入ると、全体的に安定傾向を見せつつも、依然として年間単位での変動が見られます。例えば、2020年の594,283トンから2021年の403,587トンへの減少や、2022年以降の416,173トン付近での横ばい傾向がその例です。この背景には、気候変動が引き起こす降雨パターンの変化や、農業インフラの整備不足があると考えられます。

地政学的な視点では、サヘル地域全般における紛争や地域衝突が農地利用や農業従事者の活動に制約を与えている可能性も指摘されます。マリ国内の治安状況の悪化が農業経済全般に与える影響を考慮すれば、スイカ生産量の変動には地域紛争や社会不安が大きく関係していると推察されます。また、資源管理の脆弱性からくる灌漑設備の限界も、この増減に寄与しているでしょう。

解決策としては、以下の具体的な対策が必要です。まず、農業従事者への乾燥耐性スイカ品種の普及が考えられます。さらに、水資源管理の改善を目指して、効率的な灌漑システムを導入することも重要です。そして、地域の農業インフラを補強するため、国際機関や援助団体による支援を基にした持続可能な農業計画が求められます。また、紛争の影響を軽減するために治安の安定化政策や農場保護の仕組み作りが必要です。さらに、気候変動に適応した農業技術の導入や、地域間協力を活用したリスク分担の枠組み構築も促進すべきです。

結論として、マリのスイカ生産量は長期的には増加傾向にあるものの、安定的な成長を妨げる課題が山積しています。これらを克服するためには、国および国際社会が協力して農業技術の向上、インフラ整備、地政学的リスクの軽減に取り組むことが不可欠です。持続可能な農業が実現すれば、マリの農業成長モデルは他のアフリカ諸国にも好影響を及ぼす可能性があります。