FAO(国際連合食糧農業機関)のデータによると、マリにおけるレモン・ライムの生産量は過去四十年以上にわたり、増減を繰り返しながらも大幅に成長しています。1981年には120トンという非常に小規模であった生産量が、2023年には42,041トンに達しました。しかし、この成長には一貫性が無く、特に近年では生産量の減少傾向が見られます。安定性の欠如がマリ特有の農業課題を浮き彫りにしています。
マリのレモン・ライム生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 42,041 |
6.71% ↑
|
2022年 | 39,396 |
-9.39% ↓
|
2021年 | 43,477 |
-3.04% ↓
|
2020年 | 44,841 |
-8.84% ↓
|
2019年 | 49,190 | - |
2018年 | 49,190 |
38.44% ↑
|
2017年 | 35,531 |
29.15% ↑
|
2016年 | 27,511 |
-21.13% ↓
|
2015年 | 34,882 |
-4.06% ↓
|
2014年 | 36,359 |
25.29% ↑
|
2013年 | 29,019 |
9.58% ↑
|
2012年 | 26,481 |
7.92% ↑
|
2011年 | 24,538 |
-3.68% ↓
|
2010年 | 25,476 |
82.82% ↑
|
2009年 | 13,935 |
-7.1% ↓
|
2008年 | 15,000 |
4.46% ↑
|
2007年 | 14,360 |
47.43% ↑
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2006年 | 9,740 |
107.63% ↑
|
2005年 | 4,691 |
-19.69% ↓
|
2004年 | 5,841 |
29.81% ↑
|
2003年 | 4,500 |
-7.02% ↓
|
2002年 | 4,840 |
21% ↑
|
2001年 | 4,000 |
-3.71% ↓
|
2000年 | 4,154 |
6.62% ↑
|
1999年 | 3,896 |
6.33% ↑
|
1998年 | 3,664 |
4.7% ↑
|
1997年 | 3,500 |
9.38% ↑
|
1996年 | 3,200 |
7.67% ↑
|
1995年 | 2,972 |
6.96% ↑
|
1994年 | 2,779 |
-0.76% ↓
|
1993年 | 2,800 |
12% ↑
|
1992年 | 2,500 |
2.66% ↑
|
1991年 | 2,435 |
15.96% ↑
|
1990年 | 2,100 |
7141.38% ↑
|
1985年 | 29 |
625% ↑
|
1984年 | 4 |
-71.43% ↓
|
1983年 | 14 |
-79.1% ↓
|
1982年 | 67 |
-44.17% ↓
|
1981年 | 120 | - |
マリのレモン・ライム生産量の推移を見ると、初期の1980年代は非常に小規模な生産基盤で始まりました。当時の年間生産量は100トン程度でしたが、1990年になると2,000トンを超える大幅な増加が記録されています。その後、1990年代から2000年代初頭にかけて、年間数百トン単位で安定した成長が続きました。特筆すべき点は、2006年から急速に生産量が増加し、それまでの1万トン未満の規模から10,000トンを大きく超える規模に達していることです。この急成長には、農業技術の改良、栽培地域の拡大、おそらくは市場需要の増加が背景にあると考えられます。
2010年代に入ると、マリのレモン・ライム生産はさらに拡大し、2014年には36,359トン、2018年には史上最大の49,190トンとなりました。しかし、これ以降2023年までの間に生産量は徐々に減少し、2023年には42,041トンと2018年のピークを下回っています。この変動理由としては、気候変動による影響、土壌の劣化、そして国際市場の需給バランスの変化など様々な要因が考えられます。
国内的には、レモン・ライム産業はマリの農業経済において重要な役割を担っています。特に、同国の農民にとっては収入源の多様化を図る上での主要な作物の一つであり、その持続可能な発展は地域全体の経済安定に寄与します。一方で、隣接する他の西アフリカ諸国、例えばセネガルやコートジボワールも同様の熱帯果実の生産を強化しており、国際競争が激化している現状も無視できません。
この生産の波を生んでいる地政学的背景としては、西アフリカ地域における不安定な政情、灌漑施設の不足、そしてインフラの脆弱性が挙げられます。加えて、この地域ではサヘル地帯を中心とした砂漠化が進行しており、レモン・ライムのような水分を多く必要とする農作物の栽培に対する脅威となっています。
解決策としては、水の効率的な利用を可能にする灌漑技術の導入や、耐乾燥性の高い品種の研究・導入が求められます。また、気候変動への適応策としてアグロフォレストリー(農林業の統合)を推進することも有効です。さらに、政府や国際機関が協力して地域農家への技術支援や資金提供を行うことで、生産の安定化を促進するべきです。
結論として、マリのレモン・ライム生産は過去数十年で顕著な成長を遂げましたが、その一方で近年の生産量減少は今後の課題を示しています。持続可能な農業政策と地域間協力が鍵となり、これを達成することでマリは、レモン・ライム生産のさらなる成長を実現し、地域経済に大きな利益をもたらす可能性を秘めています。