マリにおけるショウガの生産量は、国際連合食糧農業機関(FAO)のデータによれば、1991年から2007年までは着実な増加傾向がみられました。その後、2008年から2010年にかけて一時的に伸びが停滞し、2012年には突如として大幅な増加を記録、この年は43,463トンと過去最高の値を示しました。しかし、それ以降減少と増加が交互に見られ、2019年には17,137トンと最低値を記録しました。2020年以降は再び増加基調に戻り、2022年には39,528トン、2023年には36,783トンと引き続き上向き傾向にあります。
マリのショウガ生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 36,783 |
-6.94% ↓
|
2022年 | 39,528 |
7.96% ↑
|
2021年 | 36,614 |
5.03% ↑
|
2020年 | 34,861 |
103.43% ↑
|
2019年 | 17,137 |
-27.16% ↓
|
2018年 | 23,528 |
-5.37% ↓
|
2017年 | 24,863 |
-35.57% ↓
|
2016年 | 38,589 |
11.95% ↑
|
2015年 | 34,470 |
2.69% ↑
|
2014年 | 33,566 |
16.91% ↑
|
2013年 | 28,711 |
-33.94% ↓
|
2012年 | 43,463 |
58.87% ↑
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2011年 | 27,358 |
2.39% ↑
|
2010年 | 26,720 |
-3.83% ↓
|
2009年 | 27,783 |
-0.38% ↓
|
2008年 | 27,888 |
1.27% ↑
|
2007年 | 27,539 |
3.54% ↑
|
2006年 | 26,598 |
3.67% ↑
|
2005年 | 25,657 |
3.81% ↑
|
2004年 | 24,715 |
3.96% ↑
|
2003年 | 23,774 |
4.12% ↑
|
2002年 | 22,833 |
4.3% ↑
|
2001年 | 21,891 |
4.49% ↑
|
2000年 | 20,950 |
4.7% ↑
|
1999年 | 20,009 |
4.94% ↑
|
1998年 | 19,068 |
5.19% ↑
|
1997年 | 18,126 |
5.48% ↑
|
1996年 | 17,185 |
5.79% ↑
|
1995年 | 16,244 |
6.15% ↑
|
1994年 | 15,302 |
6.55% ↑
|
1993年 | 14,361 |
7.01% ↑
|
1992年 | 13,420 |
7.54% ↑
|
1991年 | 12,479 | - |
FAOが発表したショウガ生産のデータを見ると、マリは長期間にわたり一定の成長を遂げている国の一つであることがわかります。1991年から2007年にかけて、毎年平均1,000トンほどの増加がみられる安定成長期が続きました。この時期の背景には、農業技術の普及や国内外の需要増加に伴い、生産体制が整備されたことが挙げられます。しかし、2008年以降のデータでは、生産量の伸びが停滞し、2010年には一時的に減少が見られます。この停滞期は、気候変動による影響や農地の適正管理の不足が主な要因として考えられます。
特筆すべきは2012年の急激な生産量増加です。この年、マリにおけるショウガ生産は43,463トンに達し、それまでの増加ペースを大きく超えた記録を出しました。この背景には、国際市場価格の高騰やショウガを含む特定作物への政府補助政策の拡充が影響した可能性があります。しかし、この急増は一過性のものであり、翌2013年以降再び元の水準近くに戻る形となりました。この振り幅の大きさは、マリの農業における生産基盤の脆弱さを浮き彫りにしています。
また、2017年から2019年にかけて生産量が減少に転じ、2019年にはわずか17,137トンという最低水準に達しました。この減少期間には、内戦や政治的な混乱が影響していると考えられます。ショウガの生産に必要な農地の使用が制限を受けたり、輸送インフラが制約を受けたりしたことで、生産チェーン全体に大きな影響が生じたと推測されます。その後、2020年以降は持ち直しを見せており、これには周辺国を含めた地域間協力の再活性化やコロナ禍における需要の増大が貢献していると考えられます。
マリのショウガ生産の推移からは、いくつかの課題が浮かび上がります。一つ目は気候変動への適応です。ショウガ生産には適切な降水量と気温が求められますが、近年の天候不順による不作リスクを軽減するため、灌漑設備や農業技術の導入が急務と言えます。二つ目は地政学的リスクへの対応です。地域衝突が農村部の生産量や輸送に大きな影響を及ぼしているため、安定した農業基盤を構築するための安全保障政策が重要です。三つ目は国際市場への競争力強化です。ショウガは国際的に重要な輸出作物であり、新技術や加工品の開発による付加価値の向上が求められます。
将来的には、マリ政府や国際機関が連携し、気候変動への適応型農業の推進や融資プロジェクトを通じて、持続可能な農業を実現することが重要です。また、地域間協力をさらに進めることで、近隣諸国と連携し、安定した市場流通を確保することができます。これらの取り組みが進めば、マリのショウガ産業はさらなる発展を遂げる可能性を秘めています。マリが直面する変化と課題に対して、適切な施策を講じれば、安定的な産業基盤を築き、地域経済全体の活性化にも寄与するでしょう。