国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、マリのエンドウ豆(生)の生産量は2010年から2023年までの間で大きな変動を見せています。2011年には10,787トンとピークを迎えたものの、その後生産量は減少傾向となり、2013年に4,950トンまで減少しました。その後は一定の回復傾向を示しつつ、2023年には7,289トンを記録していますが、ここ数年で生産量は安定化の兆しを見せています。
マリのエンドウ豆(生)生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 7,289 |
-4.54% ↓
|
2022年 | 7,636 |
0.63% ↑
|
2021年 | 7,588 |
0.92% ↑
|
2020年 | 7,519 |
-3.59% ↓
|
2019年 | 7,800 |
4.75% ↑
|
2018年 | 7,446 |
1.82% ↑
|
2017年 | 7,313 |
8.79% ↑
|
2016年 | 6,722 |
-19.04% ↓
|
2015年 | 8,303 |
20.11% ↑
|
2014年 | 6,913 |
39.66% ↑
|
2013年 | 4,950 |
-53.63% ↓
|
2012年 | 10,676 |
-1.03% ↓
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2011年 | 10,787 |
199.72% ↑
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2010年 | 3,599 | - |
マリにおけるエンドウ豆(生)の生産量は、2010年から2023年の期間で顕著な起伏を伴いながらも、全体的には一貫した生産量の確保に努めてきたことが見て取れます。特に、2011年に記録した10,787トンという突出した生産量は、その後の推移と比較して異例の高さであり、これはその前年にあたる2010年の3,599トンから短期間で約3倍に増加したことを意味します。ただし、これ以降は気象条件や栽培技術、あるいは社会的・経済的な影響により、生産量が大幅に上下する時期が続きました。
2013年にはわずか4,950トンという低い生産量が記録されています。これは国際的な市場価格の変動、地域における農業技術やインフラの未整備、そしてその他の地政学的リスクが影響を及ぼしていた可能性が考えられます。こうしたリスクには、マリが抱える政治的不安定さや紛争の影響も含まれます。マリにおける内戦や地域衝突は農地の利用や農村地域の安全保障に多大な影響を与えてきた経緯があり、これが生産活動の停滞を招いていることが予想されます。
一方で、2014年以降は徐々に生産量が回復しており、2015年には8,303トンと再び大きな伸びを見せました。この増加は、おそらく農業支援プログラムの充実、農業従事者の技術向上、新たな灌漑システムの採用など、さまざまな施策が功を奏した結果であると推察されます。しかし完全な安定化には至らず、2017年から2023年までの生産量はおおよそ7,200トンから7,800トンの範囲内に収束しています。この範囲内での安定は一定の成果と評価できますが、生産の拡大には至っておらず、また2023年には7,289トンと若干の減少が見られることから、さらなる取り組みの必要性が指摘されます。
今後の課題は、生産量を一層安定化させ、かつ長期的な増産を目指すことにあります。ここではいくつかの具体的な対策を提案します。まず、気象変動への対応が重要です。気温や降水量の変化が農業に大きな影響を与えることから、気候に強いエンドウ豆の品種開発を進めることが求められます。また、灌漑設備や農機具の近代化を国家的規模で進め、農家が効率良く生産できる環境を整える必要があります。加えて、国内外の市場への販路を拡大することにより、農民が収益性の高い生産を維持できるよう取り組むことが期待されます。
さらに、マリ国内の地政学的な安定性を取り戻すことも重要な条件の一つです。農村部での農業活動の安全が確保されなければ、農業従事者は生産活動に集中することが困難であるため、政治的安定は避けて通ることのできない課題です。国際機関や近隣諸国との協力による平和的な発展支援も欠かせません。
結論として、マリにおけるエンドウ豆生産は、全体的に改善の兆しが見られる一方で、依然として地域特有の課題が残されています。技術革新や市場拡大の推進ならびに地政学的な安定の確保を通じて、さらなる発展が期待されます。国際的な援助を活用し、持続可能な農業体制を構築することが、マリのエンドウ豆生産の未来を切り開く鍵となるでしょう。