Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が発表した2024年7月更新の最新データによれば、マリのオクラ生産量は1991年から2023年にかけて大きな変動を示してきました。特に2008年以降生産量が急増し、2022年には過去最高となる764,089トンを記録しました。一方、2011年から2014年には一時的な大幅な減少も見られ、地政学的要因やその他の外部要因の影響を示唆しています。
マリのオクラ生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 759,511 |
-0.6% ↓
|
2022年 | 764,089 |
14.1% ↑
|
2021年 | 669,688 |
1.5% ↑
|
2020年 | 659,809 |
28.65% ↑
|
2019年 | 512,855 |
84.7% ↑
|
2018年 | 277,673 |
9.09% ↑
|
2017年 | 254,545 |
5.61% ↑
|
2016年 | 241,033 |
18.79% ↑
|
2015年 | 202,913 |
23.85% ↑
|
2014年 | 163,840 |
-0.94% ↓
|
2013年 | 165,403 |
-15.95% ↓
|
2012年 | 196,781 |
33.71% ↑
|
2011年 | 147,169 |
-57.35% ↓
|
2010年 | 345,050 |
38.5% ↑
|
2009年 | 249,135 |
21.09% ↑
|
2008年 | 205,747 |
1.34% ↑
|
2007年 | 203,024 |
0.45% ↑
|
2006年 | 202,111 |
0.45% ↑
|
2005年 | 201,198 |
0.46% ↑
|
2004年 | 200,285 |
0.46% ↑
|
2003年 | 199,372 |
0.46% ↑
|
2002年 | 198,459 |
0.46% ↑
|
2001年 | 197,546 |
0.46% ↑
|
2000年 | 196,633 |
0.47% ↑
|
1999年 | 195,721 |
0.47% ↑
|
1998年 | 194,808 |
0.47% ↑
|
1997年 | 193,895 |
0.47% ↑
|
1996年 | 192,982 |
0.48% ↑
|
1995年 | 192,069 |
0.48% ↑
|
1994年 | 191,156 |
0.48% ↑
|
1993年 | 190,243 |
0.48% ↑
|
1992年 | 189,330 |
0.48% ↑
|
1991年 | 188,418 | - |
マリは西アフリカに位置する農業中心の国であり、その主要作物の一つとしてオクラが挙げられます。オクラは現地の日常的な食材であり、栽培が比較的容易であるため、国内の農業経済にとって重要な役割を果たしています。
データによれば、1991年から2008年にかけてマリのオクラ生産量は毎年ほぼ一定の増加を見せ、2008年には205,747トンに達しました。この増加は、安定した農業環境と、それまで国家として計画的な農業支援が行われた結果と考えられます。しかし、2009年には生産量が249,135トンまで急増し、続く2010年には345,050トンとなるなど、目覚ましい成長が見られました。これはマリ政府による灌漑プロジェクトや、フードセキュリティ(食料安全保障)への注力が影響している可能性があります。
一方で、2011年には147,169トンという急激な減少が見られました。この時期にマリは内戦やテロリズムの影響で社会不安が増大しており、農業を含む国内経済が甚大な損害を受けたことが背景となっています。その後、2012年から2015年にかけて生産量は不安定ながら増加したものの、2013年と2014年には再び減少が観測されています。これには異常気象や、地域紛争が農業インフラに与えた影響が絡んでいると考えられます。
興味深いことに、2016年以降はオクラ生産量が着実に増加を続け、2020年には659,809トン、2022年には764,089トンと驚異的な数値を記録しました。これは農業技術の進歩や、国際機関からの支援を受けた農業改革、地元市場だけでなく輸出市場へのアクセス拡大が貢献していると推測されます。オクラの栽培が輸出商品としても重要性を増していることは、西アフリカ全体の輸出志向型農業のトレンドとも一致しています。
しかしながら、課題も残されています。一つは気候変動の影響です。マリのような内陸国では、降雨量の変動や砂漠化が農業生産量に大きな影響を及ぼす可能性が高いです。また、内戦や武装紛争が農村部における労働力不足を引き起こし、生産性に悪影響を及ぼしている可能性も指摘されています。
これらの課題に対処するため、いくつかの提案が考えられます。まず、灌漑システムのさらなる拡張・強化が必要です。これにより降雨量に依存せず安定した水供給を確保し、気候変動の影響に対応することが可能となります。また、地域紛争が農業生産に与える影響を緩和するため、平和維持活動の強化や、農村部への安全確保のためのプロジェクト推進が求められます。さらに、国際市場での競争力を高めるため、オクラ生産者に品質管理に関する教育を提供し、輸出基準を満たすための支援が必要です。
結論として、マリのオクラ生産量は2016年以降の増加傾向により、現在非常に有望な状態です。しかし、持続可能な成長のためには、農業技術の改良や社会的安定の確保など、複数の分野での取り組みが必要とされます。国際機関や他国との協力を通じて、これらの課題を包括的に解決することが、マリ農業の未来をさらに力強いものにするでしょう。