FAO(国際連合食糧農業機関)の発表した最新データによると、マリのパパイヤ生産量は1961年の5,000トンから2023年の96,841トンへと、大幅に増加しています。特に2013年以降、劇的な生産量の変化が見られ、2014年には急激な増産が記録されています。同時に、2017年には一時的な大幅減少が見られましたが、その後は再び増加傾向をたどり、2023年には過去最高を記録しました。
マリのパパイヤ生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 96,841 |
9.8% ↑
|
2022年 | 88,196 |
37.75% ↑
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2021年 | 64,024 |
11.39% ↑
|
2020年 | 57,476 |
-14.62% ↓
|
2019年 | 67,319 | - |
2018年 | 67,319 |
220.87% ↑
|
2017年 | 20,980 |
-61.62% ↓
|
2016年 | 54,664 |
4.19% ↑
|
2015年 | 52,468 |
-12.19% ↓
|
2014年 | 59,754 |
36.77% ↑
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2013年 | 43,690 |
24.83% ↑
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2012年 | 35,000 |
6.06% ↑
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2011年 | 33,000 |
1.99% ↑
|
2010年 | 32,356 |
9.51% ↑
|
2009年 | 29,545 |
-4.69% ↓
|
2008年 | 31,000 |
0.69% ↑
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2007年 | 30,788 |
8.91% ↑
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2006年 | 28,270 |
-4.09% ↓
|
2005年 | 29,475 |
-0.17% ↓
|
2004年 | 29,525 |
1.15% ↑
|
2003年 | 29,190 |
0.66% ↑
|
2002年 | 29,000 |
2.62% ↑
|
2001年 | 28,260 |
1.3% ↑
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2000年 | 27,899 |
-0.36% ↓
|
1999年 | 28,000 |
4.1% ↑
|
1998年 | 26,897 |
2.56% ↑
|
1997年 | 26,225 |
0.87% ↑
|
1996年 | 26,000 |
5.25% ↑
|
1995年 | 24,702 |
2.93% ↑
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1994年 | 24,000 |
9.09% ↑
|
1993年 | 22,000 |
3.49% ↑
|
1992年 | 21,258 |
3.04% ↑
|
1991年 | 20,631 |
3.15% ↑
|
1990年 | 20,000 |
25% ↑
|
1989年 | 16,000 | - |
1988年 | 16,000 | - |
1987年 | 16,000 | - |
1986年 | 16,000 | - |
1985年 | 16,000 | - |
1984年 | 16,000 | - |
1983年 | 16,000 |
14.29% ↑
|
1982年 | 14,000 | - |
1981年 | 14,000 |
16.67% ↑
|
1980年 | 12,000 | - |
1979年 | 12,000 |
20% ↑
|
1978年 | 10,000 | - |
1977年 | 10,000 | - |
1976年 | 10,000 | - |
1975年 | 10,000 | - |
1974年 | 10,000 |
25% ↑
|
1973年 | 8,000 | - |
1972年 | 8,000 | - |
1971年 | 8,000 |
14.29% ↑
|
1970年 | 7,000 | - |
1969年 | 7,000 | - |
1968年 | 7,000 | - |
1967年 | 7,000 |
16.67% ↑
|
1966年 | 6,000 | - |
1965年 | 6,000 |
20% ↑
|
1964年 | 5,000 | - |
1963年 | 5,000 | - |
1962年 | 5,000 | - |
1961年 | 5,000 | - |
マリのパパイヤ生産量のデータには、60年以上にわたる長期的な推移が示されています。1961年から1980年代までの約20年間、パパイヤ生産量は比較的ゆるやかに増加し、1980年には12,000トンとされました。その後も成長を続け、90年代に入ると20,000トンを超え、経済成長や農業政策の影響も相まって、明瞭な上昇傾向を見せています。
しかし一方で、2000年代初頭からのデータでは増産ペースが鈍化しており、収量が停滞した年も観測されています。2006年や2009年には前年より減少しており、この時期の停滞は気候変動の影響や農法の限界が影響した可能性が考えられます。
2013年以降、マリのパパイヤ生産は大きな転機を迎えました。特に2013年から2014年にかけての59,754トンへのジャンプアップが注目されます。この成長は、新しい農業技術の導入や輸出市場拡大を目指した取り組みが功を奏した結果と推測されます。しかしながら、2017年に生産が20,980トンまで激減している点は特筆すべきです。この減少は、天候不順、安全保障の悪化、またはサプライチェーンの破綻といった地政学的リスクに起因する可能性が考えられます。
その後、マリはパパイヤ産業の回復に成功し、2022年には88,196トン、2023年には96,841トンの生産量を記録しました。このような回復基調の背後には、灌漑システムの改良や地域の農業協力強化といった政府や国際機関の支援が大きく寄与していると考えられます。特に、2022年以降の急増は輸出需要の急拡大や、持続可能な農業慣行に転換した結果と見られます。
しかしながら、今後に向けていくつかの課題もあります。まず、マリでは依然として農業技術やインフラが不十分な地域が多く存在します。そのため、技術普及やインフラ整備による効率化が不可欠です。また、気候変動による降水量の変化や気温の上昇は、マリの農業全般に大きな脅威を及ぼしており、たとえば耐乾燥性の高いパパイヤ品種の開発や、大規模灌漑プロジェクトの推進が重要です。
さらに、安全保障上の問題も無視できません。2023年現在、マリの一部地域では依然として不安定な治安状況が続いており、農業活動への影響が懸念されています。こうした状況に対しては、地域間協力や国際機関を活用した支援プログラムの構築が求められます。
総合的に見ると、マリのパパイヤ生産量は近年著しい成長を示していますが、持続可能な発展を実現するためには課題への取り組みが必要です。具体的には、農業従事者への技術指導、新規市場への輸出ルート開拓、気候変動に対応した持続可能な生産体制の確立が挙げられます。このような施策を進めることで、マリは地域の農業リーダーとしての役割をさらに強化することが期待されます。