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マリのフォニオ生産量推移(1961年~2023年)

FAO(国際連合食糧農業機関)による最新データから、マリのフォニオ生産量は1961年から2022年にかけて様々な変動を繰り返しており、近年では2010年の52,346トンを頂点に、ここ数年は40,000~50,000トン前後で推移しています。フォニオは西アフリカ地域で重要な伝統的穀物であり、主に食料安全保障に寄与する作物ですが、生産量は気候条件や政治的な不安定性に大きく影響を受けている状況です。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 59,107
56.23% ↑
2022年 37,833
-20.63% ↓
2021年 47,664
8.29% ↑
2020年 44,014
8.57% ↑
2019年 40,538
45.47% ↑
2018年 27,868
-39.67% ↓
2017年 46,189
175.92% ↑
2016年 16,740
-17.51% ↓
2015年 20,294
-45.57% ↓
2014年 37,284
22.06% ↑
2013年 30,545
75.67% ↑
2012年 17,388
-65.92% ↓
2011年 51,021
-2.53% ↓
2010年 52,346
47.54% ↑
2009年 35,480
-14.04% ↓
2008年 41,276
43.86% ↑
2007年 28,692
9.32% ↑
2006年 26,247
-1.32% ↓
2005年 26,598
35.32% ↑
2004年 19,655
-12.4% ↓
2003年 22,437
37.47% ↑
2002年 16,321
-23.73% ↓
2001年 21,398
-5.89% ↓
2000年 22,738
-27.22% ↓
1999年 31,244
90.59% ↑
1998年 16,393
8.45% ↑
1997年 15,116
0.83% ↑
1996年 14,992
-32.4% ↓
1995年 22,179
15.09% ↑
1994年 19,271
-35.19% ↓
1993年 29,735
42.29% ↑
1992年 20,898
-48.41% ↓
1991年 40,506
86.08% ↑
1990年 21,768
15% ↑
1989年 18,929
-6.22% ↓
1988年 20,184
29.48% ↑
1987年 15,589
-9.59% ↓
1986年 17,242
-15.84% ↓
1985年 20,488
-16.49% ↓
1984年 24,535
-50.63% ↓
1983年 49,700
111.49% ↑
1982年 23,500
-52.14% ↓
1981年 49,100
91.05% ↑
1980年 25,700
48.55% ↑
1979年 17,300
-55.75% ↓
1978年 39,100
-13.11% ↓
1977年 45,000
-6.25% ↓
1976年 48,000
-4% ↓
1975年 50,000
11.11% ↑
1974年 45,000
12.5% ↑
1973年 40,000
8.11% ↑
1972年 37,000
32.14% ↑
1971年 28,000
-40.43% ↓
1970年 47,000
34.29% ↑
1969年 35,000
25% ↑
1968年 28,000
1.82% ↑
1967年 27,500
0.5% ↑
1966年 27,363
36.82% ↑
1965年 20,000 -
1964年 20,000 -
1963年 20,000 -
1962年 20,000 -
1961年 20,000 -

フォニオは、西アフリカで栽培される最古の穀物の一つで、その高い栄養価と耐乾性から重要な伝統食材とされています。特に、水不足が頻発するサヘル地域ではフォニオは食糧としての価値が高く、マリにとっても主要な農作物の一つです。しかしながら、1961年から2022年までのデータを見ると、フォニオ生産量には大きな変動が見られます。1961年から1965年までは20,000トン程度で安定していたものの、その後大きな伸びを見せた年もあれば、急激に減少した年もあります。この変動は、気候の変動や社会的な要因、そして農業インフラの発展不足に起因していると考えられます。

例えば、1970年には47,000トンと劇的に増加していますが、1971年には28,000トンと急落しています。このように、特定の年に生産量が異常に低下するパターンがしばしば観測されますが、これは干ばつや洪水、または農業技術の不足が原因と考えられます。また、1980年代半ば以降には生産量が15,000~30,000トンに留まることが多く、生産の不安定性が顕著になっています。さらに、2010年以降、一時的に生産が50,000トンに達したものの、その後、昨今では再び減少傾向にあり、2022年は37,833トンとやや低い値で着地しています。

この変動には、地政学的な要因も関与しています。例えば、同地域では長期間にわたる治安の不安定さがフォニオの生産流通に悪影響を及ぼしてきました。加えて気候変動の影響で雨季のパターンが不規則化したことも、フォニオを含む農作物の生産に重要な課題をもたらしています。また、世界的な新型コロナウイルスの拡大が輸送や市場に与えた混乱も、2020年以降の生産環境を困難にさせた要因の一つとして考えられます。

このような状況下で、フォニオを安定供給するためには、いくつかの具体的な方策が必要です。まず重要なのは、農業灌漑設備の整備や乾燥に強い植物品種の育成を推進することです。フォニオは元々厳しい気候条件にも適応性がありますが、更なる技術革新によって安定性を増すことが期待されます。次に、農家の技術指導や教育プログラムの実施も鍵となります。例えば、持続可能な土壌管理技術や病害虫防除の知識を提供することで、小規模農家が効率的に生産を行えるよう支援できます。

さらに、国際協力や投資による支援も不可欠です。マリだけでなく、西アフリカ全域が直面している食糧安全保障問題には、地域間協力の強化が求められます。例えば、西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)などの地域組織と連携し、予測可能な食材供給チェーンを構築することが、フォニオの有効活用を広める鍵となるでしょう。また、輸出市場の拡大にも注目すべきです。最近のヘルスフード需要の高まりから、欧米諸国でフォニオが新しい健康食品として注目を集めており、こうしたトレンドを活用することで、マリの農業経済を強化する可能性があります。

結論として、フォニオの生産量推移は、気候や社会的要因、技術的な課題の影響を強く受けており、その変動が地域の食糧安全保障に与える影響は無視できません。生産の安定と持続的な発展には、農業技術の改善、国際協力の強化、そして輸出市場の活用が重要な役割を果たすでしょう。これらの取り組みを通じて、マリのみならず西アフリカ地域全体の主食需給を安定させることが可能になると考えられます。