国際連合食糧農業機関(FAO)が提供する最新データによると、マリのカボチャ・スクワッシュ・ヒョウタンの生産量は、1991年から2023年にかけて大きな変動を見せています。毎年緩やかな増加を続けていた1991年から2010年までの流れに対し、2014年以降は急激な変動が顕著にみられます。2014年の急増や2015年の急減、そして2021年の大幅な減少など、これらの傾向は生産を取り巻く背景が複雑であることを示しています。
マリのカボチャ・スクワッシュ・ヒョウタン生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 65,949 |
-37.71% ↓
|
2022年 | 105,876 |
253.27% ↑
|
2021年 | 29,970 |
-67.79% ↓
|
2020年 | 93,056 |
15.01% ↑
|
2019年 | 80,915 |
19.05% ↑
|
2018年 | 67,969 |
0.07% ↑
|
2017年 | 67,921 |
20.93% ↑
|
2016年 | 56,167 |
26.14% ↑
|
2015年 | 44,528 |
-13.67% ↓
|
2014年 | 51,579 |
3.81% ↑
|
2013年 | 49,687 |
0.68% ↑
|
2012年 | 49,349 |
0.53% ↑
|
2011年 | 49,087 |
0.9% ↑
|
2010年 | 48,651 |
0.43% ↑
|
2009年 | 48,442 |
0.43% ↑
|
2008年 | 48,232 |
0.44% ↑
|
2007年 | 48,023 |
0.44% ↑
|
2006年 | 47,814 |
0.44% ↑
|
2005年 | 47,604 |
0.44% ↑
|
2004年 | 47,395 |
0.44% ↑
|
2003年 | 47,185 |
0.45% ↑
|
2002年 | 46,976 |
0.45% ↑
|
2001年 | 46,767 |
0.45% ↑
|
2000年 | 46,557 |
0.45% ↑
|
1999年 | 46,348 |
0.45% ↑
|
1998年 | 46,139 |
0.46% ↑
|
1997年 | 45,929 |
0.46% ↑
|
1996年 | 45,720 |
0.46% ↑
|
1995年 | 45,510 |
0.46% ↑
|
1994年 | 45,301 |
0.46% ↑
|
1993年 | 45,092 |
0.47% ↑
|
1992年 | 44,882 |
0.47% ↑
|
1991年 | 44,673 | - |
マリにおけるカボチャ・スクワッシュ・ヒョウタンの生産量は、1991年から2010年にかけて年間平均約0.5%の安定した増加を見せていました。このデータから、当時の農業生産は地元需要や地域の安定した農業基盤を反映していたと考えられます。しかし、2014年以降のデータを見ると、生産量が急激に増減しており、特に2014年の51,579トンから2015年の44,528トンへの減少、さらに2016年の56,167トン、2020年の93,056トン、2021年の29,970トンといった予測しづらい変動が観察されます。
この変動の背景には、気候変動や社会的・地政学的な課題が関連していると考えられます。マリは地理的にサヘル地域に位置し、干ばつや洪水といった極端な気象条件の影響を受けやすい地域です。これにより、農作物の収穫量が年ごとに大きく左右されることが指摘されています。また、地域紛争や社会的不安定、特に2015年以降のテロ活動の影響は農業労働力や農地管理に深刻な影響を及ぼしていると推測されます。
もう一つの要因は、農業生産の支援策や技術導入の変化です。作物の栽培技術や灌漑設備の導入がある年度以降に飛躍的な生産量の向上(2017年や2022年)をもたらした可能性があります。ただし、このような技術的な進展が普遍的に継続するとは限らず、一時的な支援であれば持続的な成果には繋がりにくいことが課題です。
また、パンデミックの影響も見逃せません。新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的流行により、農業サプライチェーンの寸断や輸出入規制が発生し、2021年の生産量が29,970トンと大幅に減少した一因となった可能性が高いです。加えて、感染拡大による労働力の不足もまた生産効率に影響を及ぼしたと考えられます。
今後の課題としては、気候変動の影響を最小限に抑えるための適応型農業技術の広まりが必要です。例えば、干ばつに強い品種の導入や、農業用水の効率的な管理を行う灌漑施設の整備が挙げられます。また、地域紛争の解決に向けた取り組みは、農業を持続可能な形で維持する重要な柱となるでしょう。同時に、農民に対する教育や技術訓練を強化し、農作物の収穫量を安定させるための長期的な戦略も必要です。
さらに、国際援助機関や非政府組織の支援を活用し、農業インフラの整備を進めることが有効です。これには、金融支援を通じた農家の経済的安定化も含まれます。地政学的リスクを考えると、地域や国際的な協力枠組みの構築もまた、課題解決への重要なステップとなります。
結論として、マリのカボチャ・スクワッシュ・ヒョウタンの生産量推移は、地理的条件や社会的課題、気候変動など多様な要因によって影響を受けています。この生産量を安定させ、向上させるには、農業支援、地域紛争の解決、国際的な協力による技術と資金の導入が欠かせません。