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マリの鶏卵生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、1961年から2023年にかけてのマリの鶏卵生産量は、長期的には増加傾向を示しています。ただし、この期間には大きな変動もみられ、1991年以降、安定した成長期を経た後、2016年以降一時的な減少が目立ち、2023年に再び大幅な回復を記録しました。最新データによれば、2023年のマリの鶏卵生産量は26,964トンであり、過去のピークに近づきつつありますが、それまでの波乱含みの推移の背景には経済状況、気候変動、地域的リスクなどが影響を与えていることが考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 26,964
49.07% ↑
2022年 18,088
37.31% ↑
2021年 13,173
-29.62% ↓
2020年 18,717
-16.34% ↓
2019年 22,374
50.12% ↑
2018年 14,904
-5.85% ↓
2017年 15,829
-0.93% ↓
2016年 15,978
-38.25% ↓
2015年 25,874
-0.74% ↓
2014年 26,068
7.64% ↑
2013年 24,218
9.97% ↑
2012年 22,023
-5.86% ↓
2011年 23,394
-2.02% ↓
2010年 23,876
1.77% ↑
2009年 23,461
-3.03% ↓
2008年 24,193
7.52% ↑
2007年 22,500
5.5% ↑
2006年 21,327
4.34% ↑
2005年 20,440
4.54% ↑
2004年 19,552
6.43% ↑
2003年 18,371
7.93% ↑
2002年 17,021
-17.59% ↓
2001年 20,654
0.09% ↑
2000年 20,635
0.09% ↑
1999年 20,616
0.09% ↑
1998年 20,597
0.09% ↑
1997年 20,578
0.09% ↑
1996年 20,559
0.09% ↑
1995年 20,540
0.09% ↑
1994年 20,521
0.09% ↑
1993年 20,502
0.09% ↑
1992年 20,484
0.09% ↑
1991年 20,465
72.26% ↑
1990年 11,880 -
1989年 11,880 -
1988年 11,880 -
1987年 11,880 -
1986年 11,880
12.82% ↑
1985年 10,530
11.43% ↑
1984年 9,450
9.38% ↑
1983年 8,640
9.09% ↑
1982年 7,920
10% ↑
1981年 7,200
11.11% ↑
1980年 6,480 -
1979年 6,480
-7.69% ↓
1978年 7,020
8.33% ↑
1977年 6,480
-4% ↓
1976年 6,750
-3.85% ↓
1975年 7,020
5.41% ↑
1974年 6,660
5.71% ↑
1973年 6,300
-12.5% ↓
1972年 7,200
-9.09% ↓
1971年 7,920
4.76% ↑
1970年 7,560
6.06% ↑
1969年 7,128
6.45% ↑
1968年 6,696
5.08% ↑
1967年 6,372
2.61% ↑
1966年 6,210
-4.17% ↓
1965年 6,480
4.35% ↑
1964年 6,210
4.55% ↑
1963年 5,940
4.27% ↑
1962年 5,697
4.98% ↑
1961年 5,427 -

マリの鶏卵生産量は、食品供給と栄養を向上させるうえで重要なデータ指標です。このデータから、農業や家禽業が国家の経済や生活にどのような影響をもたらしているかを読み取ることができます。1960年代には年間5,000トン台と少量の生産でしたが、その後ゆるやかな増加がみられ、1980年代中頃から着実な成長の段階に入ります。特に1991年以降は20,000トン台と、鶏卵生産が規模を拡大し、持続可能性が高まりました。この時期の急伸は、政府の農業政策や鶏卵の需要増加、また家禽産業への投資増加が影響したと考えられます。

その一方で、2002年には17,021トンまで急減し、この背景には地政学的リスクや干ばつなどの自然災害が影響を及ぼした可能性があります。その後2000年代後半にはふたたび回復し、2008年には24,193トン、2014年には26,068トンに到達しました。しかし、2016年以降再び生産量が低迷し、2018年には14,904トン、2021年には13,173トンと大幅な減少が見られました。この減少の要因は、新型コロナウイルスによるサプライチェーンの混乱や、地域的な政治不安、さらには家禽産業における飼料供給不足などが影響した可能性があります。

2023年には26,964トンへと生産量が回復していますが、この増加は政府の種鶏導入やグローバル市場への輸出対応強化、技術革新による効率性の向上が奏功したものと考えられます。他国と比較すると、例えばアメリカでは年間1,000万トン以上、日本では250万トン前後の生産量がありますが、マリの規模はこれらに比べて小規模です。それにもかかわらず、サハラ地域の低所得国の中では鶏卵生産において一定の成功を収めています。

課題としては、気候変動が鶏卵生産に与える影響が挙げられます。過去のデータからも、干ばつが生産効率を落とし、食糧供給全体に不安定さをもたらすことが明らかです。また、家禽産業には鶏インフルエンザなどの疾病リスクもあります。これらは国際連合や世界銀行による支援を通じ、より強固な衛生管理体制やインフラ整備を進めることで対策を講じる必要があります。

未来の具体的対策として、持続可能性の高い家禽農業の確立が重要です。例えば、耐久性の高い地域適応型の飼料開発や、それに補助金を出す政策は効果的です。また、近隣諸国やフランコフォニー(フランス語圏)との協力を通じ、知識共有や技術移転を促進することも有効です。輸出市場の拡大を目指すと同時に、国内市場での消費パターンを把握することで、地元経済の発展にも寄与できます。さらに、地政学的リスクへの対応としては、政治の安定や地域平和構築が不可欠です。これを実現するためには、国際的な機関や地域共同体と連携した社会基盤改善が必要です。

結論として、マリの鶏卵生産は全体的に安定成長を遂げていますが、気候変動や地域的リスク、疾病対策を含む課題への対応が欠かせません。長期的な視点から持続可能な農業政策を進めるとともに、地域協力を実現することで、さらなる生産向上と食糧安全保障の確保が期待されます。