Skip to main content

大韓民国のサツマイモ生産量推移(1961年~2023年)

大韓民国のサツマイモ生産量は、1960年代から2022年までの間に大きな変遷を見せています。1960年代の初頭には生産量が年間100万トンを超えていましたが、1964年から急激に増加し、1965年には約300万トンに達しています。その後は減少傾向に入り、1980年代には年間100万トンを下回り、さらに1990年代以降、生産量は概ね30万から40万トンの範囲で推移しています。近年では2010年代半ばからやや回復傾向が認められるものの、ピーク期と比較すると大幅に減少していることが特徴です。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 325,238
-2.29% ↓
2022年 332,845
-4.6% ↓
2021年 348,912
5.75% ↑
2020年 329,927
-10.42% ↓
2019年 368,324
20.64% ↑
2018年 305,304
-6.05% ↓
2017年 324,960
-4.77% ↓
2016年 341,225
15.8% ↑
2015年 294,655
-8.51% ↓
2014年 322,071
-2.26% ↓
2013年 329,516
-3.84% ↓
2012年 342,668
34.23% ↑
2011年 255,284
-14.6% ↓
2010年 298,930
-14.75% ↓
2009年 350,661
6.47% ↑
2008年 329,351
-6.51% ↓
2007年 352,269
23.24% ↑
2006年 285,841
1.17% ↑
2005年 282,526
-18.17% ↓
2004年 345,239
28.47% ↑
2003年 268,733
-15.15% ↓
2002年 316,703
15.97% ↑
2001年 273,098
-20.81% ↓
2000年 344,881
-19.44% ↓
1999年 428,085
26.26% ↑
1998年 339,054
15.69% ↑
1997年 293,064
-13.08% ↓
1996年 337,172
10.62% ↑
1995年 304,806
23.36% ↑
1994年 247,093
-12.43% ↓
1993年 282,157
-10.38% ↓
1992年 314,840
-16.31% ↓
1991年 376,200
-12.85% ↓
1990年 431,689
-27.11% ↓
1989年 592,274
5.67% ↑
1988年 560,491
3.29% ↑
1987年 542,617
-20.67% ↓
1986年 684,026
-13.08% ↓
1985年 786,920
-12.05% ↓
1984年 894,757
-11.56% ↓
1983年 1,011,697
20.06% ↑
1982年 842,661
-23.98% ↓
1981年 1,108,517
0.49% ↑
1980年 1,103,088
-20.45% ↓
1979年 1,386,642
-14.78% ↓
1978年 1,627,217
4.32% ↑
1977年 1,559,886
-12.53% ↓
1976年 1,783,340
-8.7% ↓
1975年 1,953,170
34.74% ↑
1974年 1,449,578
-13.14% ↓
1973年 1,668,840
-11.1% ↓
1972年 1,877,289
-1.27% ↓
1971年 1,901,357
-10.99% ↓
1970年 2,136,093
0.63% ↑
1969年 2,122,696
3.58% ↑
1968年 2,049,303
22.67% ↑
1967年 1,670,610
-37.9% ↓
1966年 2,690,240
-10.23% ↓
1965年 2,996,669
13.03% ↑
1964年 2,651,200
88.78% ↑
1963年 1,404,416
22.01% ↑
1962年 1,151,107
22.67% ↑
1961年 938,398 -

大韓民国のサツマイモ生産量は1960年代から2020年代にかけて、著しい変化を遂げてきました。この生産量の推移を追うと、初期の急成長、以降の減少、そして近年の安定化という三つの大きな段階を確認できます。

1960年代初頭、サツマイモは大韓民国の主要作物の一つでした。この作物は栄養価が高く保存性にも優れており、経済発展が進む以前の時期には食品や家畜飼料として非常に重要な役割を果たしていました。特に1964年から1965年にかけて生産が急激に増加し、ピークとなる約300万トンを記録しました。この拡大は、当時の農村経済の支援政策や、食料確保を目的とした栽培奨励の成果であると考えられます。

その後、1970年代以降は、生産量が減少傾向を示します。この時期、大韓民国では工業化と都市化が急速に進行し、農村人口の減少や農地の都市用途への転換が起こりました。また、消費者の食生活の多様化や輸入食品の増加も影響し、サツマイモの需要が徐々に減少しました。このため、栽培面積が縮小し、収穫量も低下する結果となりました。1980年代に入ると生産量は100万トンを下回り、1990年代には30万から40万トンとピーク時の約10分の1へと大幅に減少しました。

2000年代以降は比較的安定した水準で推移しており、特に2010年代後半には生産性の向上や新たな需要の創出により、やや増加傾向が見られるようになりました。この背景には、健康食品としてのサツマイモの価値が再認識され、国内外の市場で需要が増えていることが挙げられます。さらに韓国料理の多様化に伴い、伝統的な用途だけでなく、スナック製品や加工食品としての利用も広がりを見せています。

しかしながら、この減少・安定化の過程におけるいくつかの課題も無視することはできません。現代においても農村人口の高齢化、小規模農家の経営困難といった問題は依然として深刻です。また、他国との比較では、隣国である中国は主要なサツマイモ生産国であり、年間生産量が1億トンを超えるのに対し、大韓民国の生産量はそのわずか0.3%に過ぎません。この数字は市場競争力の低さを反映していると言えるでしょう。

将来的には、サツマイモの生産改善および農業振興にはいくつかの方向性が考えられます。一つ目は、持続可能な農法の推進と、農業技術の革新を支援することです。たとえば、気候変動に対応するための高耐久性品種の開発や、IoT技術を活用したスマート農業がこれに該当します。さらに、農業政策として規模経済の追求と市場戦略の強化も必要不可欠です。小規模農家のネットワークを形成し、共同ブランド化を図ることで、高付加価値商品の輸出を拡大する方法も考えられるでしょう。

また、世界的な健康志向の高まりを背景に、サツマイモを機能性食品や高栄養食材として位置づけることも有効です。特に欧米や東南アジアでは、スーパーフードとしてのサツマイモの認知が広がっており、この需要に合わせたプロモーションを展開すれば、韓国産サツマイモの国際的な競争力強化につながる可能性があります。

結論として、1960年代のピーク期から2022年現在までの大きな生産量減少は、韓国経済全体の成長と変化に関連しています。しかし、近年では安定した栽培が実現しており、新たな需要の創出により競争力を取り戻す可能性を秘めています。今後、農業技術の革新と市場戦略の適切な活用により、サツマイモ産業の持続可能性を確保できることが期待されます。この方向性は、農村地域の活性化や世界的な健康食品市場への貢献にもつながると言えるでしょう。