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大韓民国のブドウ生産量推移(1961年~2023年)

大韓民国のブドウ生産量は1961年の5,599トンから急速に増加し、2000年には最高値の475,594トンを記録しました。しかしその後、生産量は徐々に減少し、2022年には155,084トンとなりました。2023年には185,233トンにやや回復しましたが、全体的には減少傾向が続いています。このデータから国の農業構造変化や市場動向が読み取れます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 185,233
19.44% ↑
2022年 155,084
-7.77% ↓
2021年 168,150
1.35% ↑
2020年 165,906
-0.15% ↓
2019年 166,159
-5.27% ↓
2018年 175,399
-7.81% ↓
2017年 190,265
-17.02% ↓
2016年 229,284
2.5% ↑
2015年 223,695
-16.7% ↓
2014年 268,556
22.25% ↑
2013年 219,680
-20.95% ↓
2012年 277,917
22.65% ↑
2011年 226,590
-25.84% ↓
2010年 305,543
9.4% ↑
2009年 279,296
-16.28% ↓
2008年 333,596
1.5% ↑
2007年 328,680
-0.41% ↓
2006年 330,049
-13.47% ↓
2005年 381,436
3.68% ↑
2004年 367,894
-2.27% ↓
2003年 376,430
-10.81% ↓
2002年 422,036
-6.95% ↓
2001年 453,578
-4.63% ↓
2000年 475,594
4.96% ↑
1999年 453,119
17.03% ↑
1998年 387,179
-1.53% ↓
1997年 393,195
10.05% ↑
1996年 357,274
12.9% ↑
1995年 316,443
49.31% ↑
1994年 211,930
29.4% ↑
1993年 163,780
11.91% ↑
1992年 146,346
-1.1% ↓
1991年 147,973
12.68% ↑
1990年 131,324
-16.29% ↓
1989年 156,879
0.52% ↑
1988年 156,070
-1.32% ↓
1987年 158,158
-4.42% ↓
1986年 165,470
10.38% ↑
1985年 149,912
20.24% ↑
1984年 124,676
-4.91% ↓
1983年 131,111
38.29% ↑
1982年 94,809
32.19% ↑
1981年 71,724
26.35% ↑
1980年 56,764
5.25% ↑
1979年 53,934
-2.92% ↓
1978年 55,555
-4.15% ↓
1977年 57,962
-12.82% ↓
1976年 66,488
33.3% ↑
1975年 49,878
-15.75% ↓
1974年 59,199
4.11% ↑
1973年 56,862
18.32% ↑
1972年 48,057
42.94% ↑
1971年 33,620
-1.54% ↓
1970年 34,145
-8.72% ↓
1969年 37,407
35.84% ↑
1968年 27,537
9.78% ↑
1967年 25,083
10.83% ↑
1966年 22,631
21.91% ↑
1965年 18,563
69.74% ↑
1964年 10,936
69.84% ↑
1963年 6,439
-14.15% ↓
1962年 7,500
33.95% ↑
1961年 5,599 -

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、大韓民国のブドウ生産量は1961年から2023年までの間で大きな変動を見せています。特に1970年代から2000年代初頭には生産量が大幅に増加し、これは国内農業の技術発展や食生活の多様化が影響していると考えられます。1999年から2000年にかけて記録された約475,000トンという生産量は、過去最大の記録でした。しかし、その後の推移を見ると、生産量は減少に転じています。

まず、1970年代から1990年代にかけては、施設園芸の普及や農業の近代化によって収量が飛躍的に向上する時期でした。その背景には、都市化が進む中で需要が増えたことや、ブドウの栽培が儲かる農業収益モデルとして注目されていたことがあります。一方、2000年代以降の減少は何を示しているのでしょうか。これにはいくつかの理由が考えられます。

1つ目は、国内・海外市場の競争激化です。中国、インド、オーストラリアなどの国々がブドウ産業において台頭し、大韓民国産ブドウの国際競争力が低下しました。特に、中国はその広大な土地と効率的な農業経営により、大量生産と低価格を強みとしています。

2つ目は、高齢化と農業人口の減少という内部的な課題です。大韓民国全体における農業従事者の平均年齢は上昇しており、このことが農地の減少や労働力不足を招きました。それに伴い、維持コストの高い果樹産業からの離脱が進んでいます。この課題は特に日本でも共通する一因であり、少子高齢化に直面する両国においては深刻なテーマとなっています。

産業動向を見ると、需要の変化も影響しています。消費者の果物選好が変わり、ブドウ以外の果物、例えばバナナやオレンジなどの輸入果物に押される傾向が見られます。また、健康志向の高まりによる高付加価値品種の需要増に対し、生産体制が対応しきれなかった可能性も挙げられます。

さらに、気候変動による影響も無視できません。栽培適地における気候条件が変化し、極端な気象イベントや害虫被害が生産量に直接的な打撃を与えています。地政学的リスクとしては、中国や日本などの主要輸出先との貿易関係の変動がブドウ輸出にも影響を与え、生産意欲の低下を招いている可能性があります。

未来に向けては農業人口の減少を緩和するための施策が重要です。具体的には、若年層が魅力を感じるような農業のスマート化や、政府による支援の充実が求められます。また、市場競争力を高めるためにはブランド力の確立と高品質品種の開発が必要です。例えば、日本が行っている「シャインマスカット」などのブランド化や、高級志向の輸出戦略は参考になるでしょう。

さらに、地域間協力の強化も解決策として挙げられます。例えば、東アジア全体で農業技術交流や災害に備えた共同研究を行うことで、気候変動によるリスクを最小化する取り組みが考えられます。そして、国内外の市場ニーズを詳細に分析し、それに応じた柔軟な生産計画と販売チャネルの多角化を行うことも重要です。

結論として、大韓民国のブドウ生産量は1961年以降に飛躍的に成長した一方で、現在は低迷傾向が続いています。この現象の背景には内部的・外部的なさまざまな要因が絡み合っています。持続可能な農業の実現には、適切な政策支援と市場競争力の確立、さらに地理的・地政学的影響を考慮した国際戦略が鍵を握ると考えられます。そのためには国や地域、そして生産者ひとりひとりが一致団結して行動することが不可欠です。