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大韓民国の牛乳生産量推移(1961年~2022年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、大韓民国の牛乳生産量は1961年の4,843トンから急速に増加し、1995年にピークを迎えて2,012,792トンに達しました。その後、一部の増減を挟みながらも全体的には減少傾向を示しており、2022年には1,983,391トンに落ち着いています。このデータからは、韓国における牛乳生産の拡大・停滞・減少の歴史的変遷が鮮明に表れています。

年度 生産量(トン) 増減率
2022年 1,983,391
-2.9% ↓
2021年 2,042,612
-2.61% ↓
2020年 2,097,369
1.91% ↑
2019年 2,058,083
0.43% ↑
2018年 2,049,283
-0.87% ↓
2017年 2,067,339
-0.58% ↓
2016年 2,079,390
-4.47% ↓
2015年 2,176,762
-2.04% ↓
2014年 2,221,982
5.69% ↑
2013年 2,102,359
-0.85% ↓
2012年 2,120,306
11.67% ↑
2011年 1,898,669
-8.83% ↓
2010年 2,082,564
-6.69% ↓
2009年 2,231,770
0.99% ↑
2008年 2,209,975
0.46% ↑
2007年 2,199,783
0.18% ↑
2006年 2,195,732
-2% ↓
2005年 2,240,502
-1.16% ↓
2004年 2,266,778
-4.65% ↓
2003年 2,377,282
-6.68% ↓
2002年 2,547,578
8.45% ↑
2001年 2,349,132
3.79% ↑
2000年 2,263,379
0.49% ↑
1999年 2,252,437
10.47% ↑
1998年 2,038,964
2.09% ↑
1997年 1,997,146
-2.48% ↓
1996年 2,047,993
1.75% ↑
1995年 2,012,792
4.27% ↑
1994年 1,930,420
3.22% ↑
1993年 1,870,122
2.31% ↑
1992年 1,827,878
4.44% ↑
1991年 1,750,117
-0.23% ↓
1990年 1,754,178
-0.53% ↓
1989年 1,763,611
7.96% ↑
1988年 1,633,546
15.44% ↑
1987年 1,415,106
22.3% ↑
1986年 1,157,100
14.55% ↑
1985年 1,010,118
19.49% ↑
1984年 845,384
17.93% ↑
1983年 716,827
23.71% ↑
1982年 579,428
12.41% ↑
1981年 515,462
13.28% ↑
1980年 455,023
18.57% ↑
1979年 383,755
18.38% ↑
1978年 324,167
23.03% ↑
1977年 263,489
31.44% ↑
1976年 200,469
22.43% ↑
1975年 163,748
25.61% ↑
1974年 130,366
22.15% ↑
1973年 106,722
30.24% ↑
1972年 81,942
22.18% ↑
1971年 67,067
24.89% ↑
1970年 53,700
45.75% ↑
1969年 36,845
42.26% ↑
1968年 25,900
22.99% ↑
1967年 21,058
24.94% ↑
1966年 16,855
27.02% ↑
1965年 13,270
12.77% ↑
1964年 11,767
34.45% ↑
1963年 8,752
13.9% ↑
1962年 7,684
58.66% ↑
1961年 4,843 -

大韓民国の牛乳生産量の推移を振り返ると、1960年代から急激な成長を遂げています。1961年の生産量はわずか4,843トンでしたが、1970年代には技術の進歩や酪農業の近代化に伴い、生産量は毎年のように増加し、特に1970年以降は「牛乳ブーム」とも呼べる時期に突入しました。この背景には、経済発展とともに国民の食文化や栄養摂取への意識が変わったことが挙げられます。この期間、牛乳は成長期の子どもや家庭の栄養補助食品として広く普及しました。1995年には過去最大の生産量となる2,012,792トンを記録しましたが、その後はやや減少傾向が見られます。

ここ数十年における生産量の減少にはいくつかの要因が考えられます。まず、経済成長による食文化の多様化が挙げられます。牛乳以外の飲料や栄養補助食品が市場に豊富に登場し、牛乳への需要が相対的に減少した可能性があります。また、少子高齢化も重要な影響要因です。経済協力開発機構(OECD)が発表した韓国の出生率データによると、出生率の低下が国全体の人口構造に変化をもたらしており、特に子ども向け食品である牛乳の需要縮小に寄与していることが示唆されます。

さらに、酪農業という分野では、地政学的リスクや気候変動といった外部要因も生産に影響を与えています。近年、韓国では異常気象や農業従事者の減少が報告されており、これが生産量の維持に困難をもたらしている可能性があります。特に新型コロナウイルスのパンデミックによって供給チェーンに混乱が生じ、酪農分野も一定の影響を受けたとされています。

一方で、韓国は依然として国内需要を満たし、さらに輸出市場を増やすことを目指しています。しかし、課題は山積みです。特に高齢化する農業人口、アジア全体での酪農の競争激化、そして環境面での持続可能性が問われています。例えば、同じ韓国近隣国である中国では酪農業が一時的に急速な成長を遂げ、輸出市場において韓国に圧力をかけてきました。また、ヨーロッパ諸国(ドイツ、フランスなど)は効率的な酪農施設と環境に配慮した生産体制をすでに整備しており、これに比べて韓国では技術革新の遅れが指摘されています。

韓国が今後この問題にどう対処するべきかについてですが、まずは国内の酪農業従事者を支援する政策が必要です。たとえば、若者層への農業促進政策を通じて、持続可能な人材確保を実現することが挙げられます。さらに、地元の酪農家を支える技術革新やスマート酪農の推進も重要です。これには、IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)が主導する精密酪農の導入が含まれます。このような技術は、環境への負荷を軽減しつつ、生産効率を向上させることが期待されています。また、輸出市場の開拓においては、製品の高付加価値化と品質管理が鍵となります。例えば、消費者が求めるプロバイオティクスを強化した乳製品やオーガニック牛乳が市場の競争力を高めるかもしれません。

結論として、大韓民国の牛乳生産はかつて素晴らしい成長を遂げましたが、近年では課題に直面している状況です。持続可能な酪農業を実現するためには、労働力、技術、環境、さらに国内外の市場構造を包括的に見直すことが求められます。政府と農業団体が一体となり、新しい時代にふさわしい政策と手法を導入することで、韓国の酪農業は再び新たな成長路線に乗ることができるでしょう。