大韓民国の大麦生産量推移（1961年～2023年）

国際連合食糧農業機関（FAO）の2024年最新データによると、大韓民国における大麦の生産量は、1960年代には年間200万トンを超える水準を記録していましたが、その後徐々に減少し、2000年代からは生産量が急激に縮小。2023年の生産量は66,094トンとなり、1960年代に比べ劇的な減少を見せています。この減少傾向には、食文化の変化、農業従事者の減少、および都市化の進展といった複数の要因が関与しています。

大韓民国の大麦生産は、1960年代において重要な農業分野の一部を成していました。データから見ると、1965年から1976年にかけては200万トンを超える高水準を維持していましたが、1977年以降は生産量が安定せず、1980年代半ばには100万トンを下回るようになっています。この大幅な減少の背景には、国内の大麦需要が減り、自給を目的とした生産が低下したことが挙げられます。当時、急速に進んだ経済発展により、耐久消費財や工業製品の生産が拡大し、農業労働力の不足が顕著になったことが農業全体に影響を与えたと考えられます。

特に1990年代以降の都市化や生活様式の変化により、米や小麦に代わって大麦が食生活で占める割合が縮小しました。この影響で生産効率の低い作物となり、農地が他の農産物の生産や都市的利用に転用されました。また、気候変動や水資源の不足も、大麦生産の持続性に影響を及ぼしてきた可能性があります。2000年以降は年間生産量が10万～20万トン前後にとどまり、2023年には約66,000トンにまで減少しています。これは韓国農業の中で、大麦がもはや主要穀物としての地位を失っていることを示唆しています。

一方で、このような減少傾向に潜む課題に対して、未来に向けた具体的な対策を考えることは重要です。まず、大麦の付加価値を上げる取り組みが求められます。たとえば、日本では酒造産業や健康食品市場向けに大麦の特定用途が見直されており、韓国でも同様に、大麦を活用した地域ブランド商品や加工食品の開発が効果的な手段となりえます。また、農地の効率的な利用のためには政府の介入が不可欠であり、スマート農業や効率的な灌漑技術への投資も将来の重要な戦略といえるでしょう。

さらに、気候変動が大きな課題である中で、耐性品種の研究開発は持続可能な生産の鍵を握ります。他国との技術協力や国際研究プロジェクトへの参加を通じて、韓国の大麦生産量を効率的に維持・改善することも可能といえます。たとえば、中国では広大な農地を利用した穀物生産が活発に行われており、韓国も生産規模は劣るものの、高付加価値品種の共同開発を通じて新たな市場を開拓できるかもしれません。

過去の大麦生産量の推移を見てきたように、大韓民国の農業は多くの社会的、経済的要因に影響されています。減少トレンドに対する適応的な施策の導入が、農業の新しいビジョンを形成する鍵となります。国際連合や地域間協力を通じて地域的な課題に対応しつつ、政策的な支援や農業関連技術の普及が必要不可欠です。