国際連合食糧農業機関(FAO)が公開した最新データによると、大韓民国(韓国)のカリフラワー・ブロッコリー生産量は、1988年の178トンから始まり、1990年代に幾度か大きく増減を経験しながら、2000年代初頭以降は減少傾向を見せています。2004年以降、生産量は年間50トンを前後して低水準に固定されていましたが、2012年以降は緩やかに増加し、近年では87トン前後の一定した生産量が続いています。このデータから、作物生産における国内事情や、消費需要の変化、輸入との競合状況を浮き彫りにすることができます。
大韓民国のカリフラワー・ブロッコリー生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 87 |
1.37% ↑
|
2022年 | 86 |
-0.1% ↓
|
2021年 | 86 |
1.04% ↑
|
2020年 | 85 |
-1.74% ↓
|
2019年 | 87 |
0.42% ↑
|
2018年 | 87 |
4.61% ↑
|
2017年 | 83 |
-9.53% ↓
|
2016年 | 91 |
21.53% ↑
|
2015年 | 75 |
-18.32% ↓
|
2014年 | 92 |
-13.86% ↓
|
2013年 | 107 |
8.72% ↑
|
2012年 | 98 |
100.37% ↑
|
2011年 | 49 |
-0.49% ↓
|
2010年 | 49 |
-1.34% ↓
|
2009年 | 50 | - |
2008年 | 50 | - |
2007年 | 50 | - |
2006年 | 50 | - |
2005年 | 50 | - |
2004年 | 50 |
-50% ↓
|
2003年 | 100 |
-50% ↓
|
2002年 | 200 |
-36.31% ↓
|
2001年 | 314 |
-0.32% ↓
|
2000年 | 315 |
-43.24% ↓
|
1999年 | 555 |
-28.94% ↓
|
1998年 | 781 |
304.66% ↑
|
1997年 | 193 |
-59.62% ↓
|
1996年 | 478 |
378% ↑
|
1991年 | 100 |
-79.12% ↓
|
1990年 | 479 |
242.14% ↑
|
1989年 | 140 |
-21.35% ↓
|
1988年 | 178 | - |
韓国におけるカリフラワー・ブロッコリー生産量は、1988年から2023年までの間に大きく変動してきました。初期の1988年から1998年にかけては、1990年の479トンや1998年の781トンといった大きなピークが見られましたが、その後は急激な減少が続き、2004年から2011年にかけては生産量が50トン前後と最低水準で安定する状態になりました。その後、2012年から緩やかな上昇が見られ、2023年には87トンと若干の回復を遂げたものの、依然として1980−1990年代の水準にはほど遠い結果に留まっています。
この生産量の変化は、農業政策の方向転換、国内需要の変化、気候条件、農地面積の利用状況、そして輸入品との競争といった多様な要因に影響されています。特に1990年代後半から本格的に進行した農業の自由化政策と、国内消費市場における輸入食品の増加が、生産減少に大きく寄与していると考えられます。輸入食品は一般に価格競争力が高く、国内でブロッコリーやカリフラワーを生産する農家にとって厳しい状況を作り出しました。また、ブロッコリーやカリフラワーのような作物は栽培に大量の水と適切な気候条件を必要とするため、集中豪雨や干ばつが頻発している現在の気候環境の中では生産がさらに困難になります。
一方、2012年以降の緩やかな回復は、健康志向への関心の高まりや、家庭用消費の増加に伴った国内需要の増加に起因している可能性があります。韓国ではブロッコリーを含む野菜は健康食品として認識されており、サラダや健康志向のメニューが受け入れられつつあります。この傾向は現代の生活習慣病予防や美容のトレンドとも関連していると考えられます。
しかし、依然として生産量は低水準であり、これは国内供給力の不足と直結しています。韓国では農業従事者の高齢化が進み、若年層の農業参入が少ないことが課題となっています。さらに、小規模な農地の分断化や都市化に伴う農地面積の減少も、主要な制約要因となっています。これに加え、気候危機による平均気温の上昇や異常気象は、今後さらに農業の持続可能性に影響を与えるでしょう。
今後、韓国が直面していくであろう課題を解決するためには、まず国の農業政策を改訂し、国内農家への支援を強化する必要があります。具体的には、農業技術の近代化支援や、若年層への農業参入を促すためのインセンティブ制度の構築が重要です。また、地域間協力やクロスボーダーでの農産物供給ネットワークの構築も、安定した供給確保のための戦略として求められます。さらに、輸入のみに依存しない国内供給基盤を構築するため、気象条件に強い品種の研究開発や、施設型の農業、たとえば垂直農業の導入を進めることが推奨されます。
また、気候変動への対応として、水資源の効率的な管理や炭素排出削減政策の実行も必要不可欠です。同時に健康志向の消費を促進し、地産地消活動をさらに推進することで、国内市場での需要を活気づけることが可能となります。これにより、韓国は持続可能な農業モデルを構築し、今後の食料安全保障への対応力を高めることができるでしょう。
結論として、韓国におけるカリフラワー・ブロッコリーの生産量推移は、農業の変革ときびしい国内外の環境の中で多くの課題を浮き彫りにしています。同時に、革新的な政策や新技術の導入、地球規模の協力体制の構築により、その未来には大きな発展の可能性が秘められています。