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大韓民国のニンジン・カブ類生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、大韓民国におけるニンジン・カブ類の生産量には、一貫した増加ではなく、波動的な増減が見られます。1960年代から1980年代にかけて大きく伸びた一方で、2000年代以降は安定的な減少傾向が見受けられます。2023年の生産量は74,545トンであり、過去の最高値となる1997年の214,835トンと比較して大幅に減少しています。その一方で、近年では2020年の100,875トンや2021年の112,105トンといった回復の動きも観察されました。この推移は、国内消費需要、輸出動向、農地の転用、気候変動など、多様な要因が複雑に絡んでいるものと推測されます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 74,545
-21.48% ↓
2022年 94,943
-15.31% ↓
2021年 112,105
11.13% ↑
2020年 100,875
49.83% ↑
2019年 67,327
-7.95% ↓
2018年 73,143
-1.19% ↓
2017年 74,027
1.32% ↑
2016年 73,061
-38.39% ↓
2015年 118,594
42.34% ↑
2014年 83,316
4.41% ↑
2013年 79,800
25.09% ↑
2012年 63,792
-31.91% ↓
2011年 93,694
-8.25% ↓
2010年 102,116
3.35% ↑
2009年 98,807
-0.78% ↓
2008年 99,581
29.78% ↑
2007年 76,730
-41.14% ↓
2006年 130,363
10.77% ↑
2005年 117,687
47.17% ↑
2004年 79,964
-35.76% ↓
2003年 124,475
-8.55% ↓
2002年 136,109
-11.27% ↓
2001年 153,405
-1.12% ↓
2000年 155,137
2.54% ↑
1999年 151,295
3.99% ↑
1998年 145,491
-32.28% ↓
1997年 214,835
36.73% ↑
1996年 157,129
-0.99% ↓
1995年 158,694
15.26% ↑
1994年 137,683
-1.78% ↓
1993年 140,181
21.51% ↑
1992年 115,369
-4.96% ↓
1991年 121,389
40.16% ↑
1990年 86,610
-6.63% ↓
1989年 92,764
-2.6% ↓
1988年 95,236
-14.26% ↓
1987年 111,073
21.15% ↑
1986年 91,679
12.81% ↑
1985年 81,270
4.25% ↑
1984年 77,960
30.89% ↑
1983年 59,561
-49.22% ↓
1982年 117,287
67.98% ↑
1981年 69,821
-7.07% ↓
1980年 75,132
-15.41% ↓
1979年 88,822
99.55% ↑
1978年 44,512
86.23% ↑
1977年 23,902
-39.61% ↓
1976年 39,580
156.88% ↑
1975年 15,408
154.72% ↑
1974年 6,049
36.36% ↑
1973年 4,436
0.7% ↑
1972年 4,405
10.1% ↑
1971年 4,001
-0.77% ↓
1970年 4,032
-9.72% ↓
1969年 4,466
91.76% ↑
1968年 2,329
69.88% ↑
1967年 1,371
20.58% ↑
1966年 1,137
-24.3% ↓
1965年 1,502
50.2% ↑
1964年 1,000 -
1963年 1,000
42.86% ↑
1962年 700 -
1961年 700 -

大韓民国におけるニンジン・カブ類の生産量推移を概観すると、1960年代の700–2300トンという小規模な生産量から、1970年代後半には急激に増加し、1979年には88,822トンを記録しました。その背景には、経済成長に伴う農業インフラの発展、食料自給率向上の取り組み、そして多品目農作物の栽培促進策があったと考えられます。さらに1980年代には増加傾向を維持し、1990年代末には最高値の214,835トンに達しました。この時期は輸出産業の伸長と国内需要の拡大が重なったとみられます。

しかし、2000年代に入ると生産量は再び減少へと転じました。例えば、2004年や2007年には79,964トンと76,730トンと、著しい減少が見られました。小規模農家の所得低下や農地の工業地への転用、日本や中国など近隣諸国からの輸入増加が、一因と言えるでしょう。また、農村人口の高齢化は労働力不足を引き起こし、これが栽培量に影響を与えている可能性も高いです。

さらに、近年の気候変動も生産に影響を与えています。ニンジンやカブ類は冷涼な気候を好む作物ですが、異常気象による干ばつや長期的な気温上昇の影響が品質や収量の低下に寄与しています。それにもかかわらず、2020年と2021年には、それぞれ100,875トンと112,105トンという回復が見られました。これは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大に伴う地元市場での需要増加が影響しており、大韓民国国内の食糧安全保障の観点から、一時的に生産が強化された結果だと考えられます。

一方で、大韓民国におけるニンジン・カブ類の生産量減少は、他国との競争を考慮しても顕著と言えます。例えば、中国では農地面積と低コストの生産構造により、生産量が安定的に増加しています。また、日本では高付加価値商品としてのブランド野菜戦略が成功を収めた一方、大韓民国はこれらの面で競争力の弱さが露呈しています。

将来的な課題として、国内需要と輸出ニーズを同時に満たすための持続可能な農業政策の構築が求められます。具体的な方策としては、まずは農業技術の革新やスマート農業の導入を掲げるべきでしょう。これにより、生産効率を向上させ、気候変動の影響にも柔軟に対応することが可能となります。また、地元農家を支援するための補助金や市場価格安定策を通じて、収入面での課題を緩和することも重要です。さらに、国際的な認証を取得することで大韓民国産のニンジン・カブ類の品質を広め、グローバル市場での競争力を高めることが考えられます。

最後に、大韓民国政府や食品産業界が協力し、国内消費者への啓発や産地ブランドづくりの推進を行うべきです。食品の地産地消を促進することで、農家の生計を改善するとともに、地域経済全体の再活性化にもつながるでしょう。中長期的には、気候変動対策や農業人口の持続可能性を確保する国際的な枠組みへの参画も、大韓民国が果たすべき重要な役割として位置づけられるでしょう。