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大韓民国の牛乳生産量推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)の最新データによると、大韓民国の牛乳生産量は1961年の1,543トンから増加を続け、1999年に2,243,941トンでピークを迎えました。その後、2000年代にやや減少し、2010年以降は変動が見られるものの減少傾向が続いています。2023年の牛乳生産量は1,929,913トンで、前年2022年からも減少しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 1,929,913
-2.3% ↓
2022年 1,975,414
-2.9% ↓
2021年 2,034,384
-2.6% ↓
2020年 2,088,786
1.92% ↑
2019年 2,049,434
0.43% ↑
2018年 2,040,751
-0.85% ↓
2017年 2,058,230
-0.55% ↓
2016年 2,069,581
-4.55% ↓
2015年 2,168,157
-2.07% ↓
2014年 2,214,039
5.78% ↑
2013年 2,093,000
-0.85% ↓
2012年 2,111,000
11.75% ↑
2011年 1,889,000
-8.88% ↓
2010年 2,073,000
-6.71% ↓
2009年 2,222,000
1% ↑
2008年 2,200,000
0.55% ↑
2007年 2,188,000
0.18% ↑
2006年 2,184,000
-2.01% ↓
2005年 2,228,821
-1.16% ↓
2004年 2,255,000
-4.69% ↓
2003年 2,366,000
-6.74% ↓
2002年 2,537,000
8.47% ↑
2001年 2,338,860
3.82% ↑
2000年 2,252,804
0.39% ↑
1999年 2,243,941
10.7% ↑
1998年 2,027,000
2.17% ↑
1997年 1,984,023
-2.44% ↓
1996年 2,033,738
1.77% ↑
1995年 1,998,445
4.23% ↑
1994年 1,917,398
3.2% ↑
1993年 1,857,873
2.3% ↑
1992年 1,816,120
4.32% ↑
1991年 1,740,995
-0.61% ↓
1990年 1,751,758
-0.57% ↓
1989年 1,761,796
7.96% ↑
1988年 1,631,896
15.48% ↑
1987年 1,413,126
22.41% ↑
1986年 1,154,460
14.75% ↑
1985年 1,006,103
19.7% ↑
1984年 840,544
18.02% ↑
1983年 712,207
23.6% ↑
1982年 576,238
12.35% ↑
1981年 512,877
13.39% ↑
1980年 452,328
18.81% ↑
1979年 380,730
18.66% ↑
1978年 320,867
23.14% ↑
1977年 260,574
32.05% ↑
1976年 197,334
23.07% ↑
1975年 160,338
26.35% ↑
1974年 126,901
21.92% ↑
1973年 104,082
30.34% ↑
1972年 79,852
22.27% ↑
1971年 65,307
25.87% ↑
1970年 51,885
46.28% ↑
1969年 35,470
45.61% ↑
1968年 24,360
26.95% ↑
1967年 19,188
31.42% ↑
1966年 14,600
35.94% ↑
1965年 10,740
25.22% ↑
1964年 8,577
83.19% ↑
1963年 4,682
42.57% ↑
1962年 3,284
112.83% ↑
1961年 1,543 -

大韓民国の牛乳生産量は、1960年代から1980年代にかけて著しい増加を記録しました。この拡大は、都市化の進展と共に乳製品の需要が高まったことや、農業技術の進歩、飼育環境の改善が影響していると考えられます。特に1970年代後半から1980年代にかけての急激な伸びは、乳製品市場の拡大だけでなく、専業農家による乳牛飼育の普及や政府の農業政策が寄与した結果といえます。

1990年代後半には生産量がピークを迎え、1999年に2,243,941トンに達しました。これは、食生活の多様化や乳製品が栄養源として注目されるようになったことを反映していると考えられます。その一方で、2000年代に入ると生産量は減少傾向に転じました。このトレンドは、乳製品の需要が国内で成熟期を迎えたこと、あるいは競争が激化したことによるものです。さらに、畜産におけるコストの増加や環境規制の強化も、生産量の抑制に影響を及ぼした可能性があります。

2010年代以降のデータを見ると、依然として2,000,000トン前後の生産量を維持していることがわかりますが、減少傾向が続いています。2011年の1,889,000トンから一時的な回復を経て、最も最近の2023年には1,929,913トンと、再び落ち込みが確認されています。このような減少の背景には、農業人口の減少や、都市部への若者の流出などによる乳業従事者の高齢化があると考えられます。さらに、近年の気候変動や自然災害、特に猛暑や異常気象などの影響も、乳牛の生産効率にネガティブな影響をもたらしている可能性があります。

また地政学的なリスクも、この分野には影響を与え得ます。韓国は酪農製品の一部を輸入に依存しており、国際的な供給網が不安定化する場合、国内生産の役割がますます重要となります。一方で、国内生産の衰退は、このようなリスクに対し大韓民国をより脆弱な立場に置く可能性があります。

こうした背景を踏まえ、韓国の乳業産業にはいくつかの課題が見受けられます。一つめは、持続可能な生産を確保するための生産効率の向上です。技術革新やデジタル農業の導入により効率を上げ、農業従事者の労働負担を軽減することが求められます。また、気候変動対策として耐寒性や耐暑性のある牛の品種改良が必要になるかもしれません。

二つめは、乳業関連の人材確保と育成です。若い世代に酪農業の魅力をアピールするため、給与や労働条件の改善、また農業技術の教育プログラムの推進が必要です。このほか、都市部と農村地域の連携を強化し、酪農業界への新規参入を促すための政策も効果的でしょう。

さらに、輸入依存を減らすため、国内乳業の競争力を高める政策も検討する必要があります。たとえば、国際市場への輸出拡大を目指して品質向上の取り組みを進めることや、消費者との距離を縮めることで国内需要を安定させることが挙げられます。

結論として、このデータは韓国の牛乳生産量が過去数十年間で大きく変化を遂げていることを示しています。国内の消費者需要に応えるだけでなく、将来的な地政学的リスクや気候リスクに対応するためには、乳業の持続可能性を今後も意識した政策改革が必要です。農業従事者への支援だけでなく、テクノロジーの活用や地域間協力の促進によって、韓国の酪農業はさらなる発展の可能性を見出すことができるでしょう。