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大韓民国のニンニク生産量推移(1961年~2023年)

最新の国際連合食糧農業機関(FAO)のデータによると、大韓民国におけるニンニク生産量の推移は、1960年代の数万トン規模から近年の30万~40万トン規模へと大きく拡大しました。しかし、近年は生産量が減少傾向にあり、2023年には318,220トンと、直近10年間での最高値である2019年の387,671トンに比べ減少しました。この長期的な増加と近年の減少は、多様な要因に起因しており、過去の生産量の変化を辿ることでその背景が浮き彫りになります。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 318,220
16.67% ↑
2022年 272,759
-11.59% ↓
2021年 308,532
-15.11% ↓
2020年 363,432
-6.25% ↓
2019年 387,671
16.86% ↑
2018年 331,741
9.28% ↑
2017年 303,578
10.17% ↑
2016年 275,549
3.48% ↑
2015年 266,272
-24.73% ↓
2014年 353,761
-14.19% ↓
2013年 412,250
21.57% ↑
2012年 339,113
14.95% ↑
2011年 295,002
8.63% ↑
2010年 271,560
-23.99% ↓
2009年 357,278
-4.84% ↓
2008年 375,463
8.03% ↑
2007年 347,546
4.88% ↑
2006年 331,379
-11.63% ↓
2005年 374,980
4.79% ↑
2004年 357,824
-5.55% ↓
2003年 378,846
-3.96% ↓
2002年 394,482
-2.93% ↓
2001年 406,385
-14.33% ↓
2000年 474,388
-1.94% ↓
1999年 483,778
22.82% ↑
1998年 393,903
0.02% ↑
1997年 393,834
-13.62% ↓
1996年 455,955
-1.25% ↓
1995年 461,735
27.43% ↑
1994年 362,344
-7.78% ↓
1993年 392,908
-15.44% ↓
1992年 464,649
-3.3% ↓
1991年 480,513
15.29% ↑
1990年 416,774
16.76% ↑
1989年 356,954
17.69% ↑
1988年 303,304
-24.32% ↓
1987年 400,782
8.36% ↑
1986年 369,846
44.36% ↑
1985年 256,201
27.98% ↑
1984年 200,189
-9.08% ↓
1983年 220,183
18.5% ↑
1982年 185,807
21.02% ↑
1981年 153,537
-39.26% ↓
1980年 252,768
-27.76% ↓
1979年 349,907
110.5% ↑
1978年 166,223
6.35% ↑
1977年 156,292
47.3% ↑
1976年 106,105
3.09% ↑
1975年 102,927
5.62% ↑
1974年 97,451
7.26% ↑
1973年 90,855
3.55% ↑
1972年 87,739
7.64% ↑
1971年 81,515
4.49% ↑
1970年 78,009
-1.58% ↓
1969年 79,262
5.6% ↑
1968年 75,060
3.99% ↑
1967年 72,181
9.18% ↑
1966年 66,111
47.96% ↑
1965年 44,681
-5.5% ↓
1964年 47,283
29.34% ↑
1963年 36,556
-6.64% ↓
1962年 39,157
20.08% ↑
1961年 32,608 -

大韓民国のニンニク生産量は、1961年の32,608トンから1970年代半ばに10万トンを突破し、1979年には一気に349,907トンまで飛躍しました。この大幅な伸びは、国内農業政策の改善や生産技術の向上、そして品種改良による農作物収量の増加が寄与したと考えられます。その後も1980年代には生産量の上下はありつつも、1986年から1991年にかけては急速な増加がみられ、ピークの480,513トンに達しました。

一方で、1990年代から2000年代には全体的に振れ幅の大きい傾向が見られ、これは国内需要の変動、市場価格の変化、輸入ニンニクとの競争、そして気候要因による天候不安定が主な原因とされています。特に、2000年代中盤の減少は、輸入品の流通量が国内市場に影響を及ぼしたこと、また国際競争が生産規模にプレッシャーを与えた結果と推察されます。

また近年の傾向として、2010年以降の生産量の減少が際立っています。2019年には387,671トンまで回復しましたが、2020年以降は気候変動の影響や農地縮小の影響を受け、生産量が減少し、2022年には272,759トンまで減少しています。2023年には318,220トンとやや回復しましたが、依然として明確な回復基調には至っていません。

これらの状況の背景には、大韓民国特有の地政学的・経済的要因も関わっています。地形や気候条件から農地が限られていること、中国などの近隣諸国からの安価な輸入品が市場を侵食していること、また農業従事者の高齢化による労働力不足がニンニク生産を停滞させています。加えて、気候変動による異常気象が作物育成に悪影響を及ぼしている点も無視できません。

将来的な課題として、まず地域農業支援策の強化が重要となります。農業従事者の高齢化を補うための若年層の農業参入促進策や、輸入品と差別化できる高付加価値ニンニク品種の開発が有効です。さらに、効率的な農業方法の導入や再生可能エネルギーの活用を組み合わせた持続可能な農業モデルが求められます。また、輸出市場の開拓、たとえば日本やヨーロッパ市場向けの輸出を拡大し、安定した収益源を確保することも一つの方法です。

気候変動への対応についても、耐暑性や耐寒性に優れた品種の開発が不可欠となるでしょう。政策面では、災害時の農業補助の迅速化や、農作物保険制度の充実化が生産者のリスクを軽減させるための鍵を握っています。

さらに、輸入品との競争を考慮する場合、関税措置や品質基準規制を活用し、市場保護に努めるとともに、近隣諸国との協力を通じた商品差別化戦略を築くことが求められます。

結論として、大韓民国のニンニク生産量の推移を分析すると、国内外の農業市場動向や気候環境への適応が今後の持続可能な生産を実現する上での重要な課題であると言えます。この問題は、国内政策の強化、農業技術革新、地域・国際協力を組み合わせた多角的なアプローチによってのみ解決されるべきものです。特に、農業の将来に向けた投資を強化することで、安定した生産と品質向上を目指すことが期待されます。

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