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大韓民国のナス生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関が発表した最新データによれば、韓国におけるナスの生産量は1961年の9,638トンから1970年代で急激に増加し、1976年には36,753トンとピークを迎えました。しかし、1980年代に生産量が減少に転じ、1990年代以降は著しく縮小しました。2000年以降は安定しながらも低水準の約5,000トン前後で推移しています。このデータは、韓国の農業事情や経済状況にナスの生産がどのように依存しているかを示しており、農業政策の重要性を考える材料となります。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 5,036
-2.05% ↓
2022年 5,141
0.45% ↑
2021年 5,118
-0.24% ↓
2020年 5,131
-0.86% ↓
2019年 5,175
2.5% ↑
2018年 5,049
-2.3% ↓
2017年 5,168
-2.66% ↓
2016年 5,309
12.96% ↑
2015年 4,700
-14.45% ↓
2014年 5,494
-4.17% ↓
2013年 5,733
-4.45% ↓
2012年 6,000
2.17% ↑
2011年 5,873
1.11% ↑
2010年 5,808
1.16% ↑
2009年 5,741
1.24% ↑
2008年 5,671
3.11% ↑
2007年 5,500
-1.48% ↓
2006年 5,583
0.72% ↑
2005年 5,543
0.68% ↑
2004年 5,505
0.2% ↑
2003年 5,494
-1.09% ↓
2002年 5,554
-0.13% ↓
2001年 5,561
0.32% ↑
2000年 5,544
26.76% ↑
1999年 4,373
-0.07% ↓
1998年 4,376
-0.08% ↓
1997年 4,380
-0.09% ↓
1996年 4,384
-0.35% ↓
1995年 4,399
-12.01% ↓
1994年 5,000
-50% ↓
1993年 10,000
-33.33% ↓
1992年 15,000
-33.62% ↓
1991年 22,596
4.12% ↑
1990年 21,701
9.74% ↑
1989年 19,775
-2.19% ↓
1988年 20,217
-1.56% ↓
1987年 20,537
-6.65% ↓
1986年 22,000
-12% ↓
1985年 25,000
13.64% ↑
1984年 22,000
10% ↑
1983年 20,000
-20% ↓
1982年 25,000
55.03% ↑
1981年 16,126
-43.93% ↓
1980年 28,758
38.21% ↑
1979年 20,808
-45.24% ↓
1978年 38,000
-4.52% ↓
1977年 39,797
8.28% ↑
1976年 36,753
10.44% ↑
1975年 33,280
4.29% ↑
1974年 31,910
10.44% ↑
1973年 28,894
-0.91% ↓
1972年 29,158
-5.89% ↓
1971年 30,982
4.68% ↑
1970年 29,597
-6.85% ↓
1969年 31,773
17.33% ↑
1968年 27,080
19.66% ↑
1967年 22,631
24.61% ↑
1966年 18,162
-8.32% ↓
1965年 19,811
15.6% ↑
1964年 17,137
69.79% ↑
1963年 10,093
5.92% ↑
1962年 9,529
-1.13% ↓
1961年 9,638 -

韓国のナス生産量推移を見てみると、農業構造の変化と経済発展が背景にあると考えられる特徴的な動向が見られます。まず、1960年代には9,000トン台から19,000トン台まで着実な成長が記録され、1970年代には30,000トンを超えるレベルに達するなど、生産基盤が強化されていった時期でした。この時期の背景には、農地の拡大と農業技術の向上があると推測されます。また、地政学的にも農業を国家の食糧安全保障の要と位置づけた政策が成果を上げていた可能性があります。

しかし、1979年の大幅減少以降、韓国のナス生産は低迷期に入りました。この時期は、都市化の進行によって農村人口が減少し、農業従事者不足などの課題が浮上していた時期に該当します。また、1980年代以降、他の高収益作物への転換も影響したと考えられます。1990年代には生産量が10,000トンを下回るようになり、1994年以降は5,000トンを下回る水準まで縮小しました。この急激な減少の背景には、輸入農産物の増加や韓国国内の消費需要の変動が関わっている可能性があります。

一方、2000年以降の生産量を見ると、5,000トン前後で比較的安定していることが分かります。これは、国内需要などに基づいた調整が行われ、生産者が需要と供給のバランスを取った結果とみられます。ただ、この低水準の生産は、ナスが韓国農業にとって中心的な作物ではないことを示しています。また、韓国の気候の影響や、アジア諸国他国、特に中国や日本などとの市場競争の影響を受けた可能性が大きいです。

韓国のナス生産を振り返ると、国の経済発展や農村構造の変遷と密接な関わりがあることが分かります。特に急激な経済発展が進んだ1970年代以降、都市化と輸入拡大という要因がナス生産には逆風となりました。地政学的に見ても、海外からの安価な農産物の輸入が可能になったことで自給意識が薄れたことも、国内生産の低下に寄与していると考えられます。

今後の課題としては、気候変動がナス生産にも影響を及ぼす可能性に備える必要があります。また、都市化の進行がさらに農業人口を減少させる中で、持続可能な農業技術や効率的な生産体制への移行が重要です。具体的な対策としては、都市部でも活用可能な垂直農業といった新しい農業技術の導入、また需要喚起策としてナスの栄養価や健康促進効果を積極的に普及させ、消費を拡大することが挙げられます。さらに、地域間協力を深化させることで、近隣諸国からの新たな需要も取り込むことが可能でしょう。

結論として、韓国におけるナス生産量推移は、国内の農業政策の変遷や社会経済的な変化を反映している重要な指標です。データを活用して生産性の向上や需要拡大を目指す一方で、農業従事者の支援や消費者への普及活動を通じて、ナス生産が持続可能な形で継続することが求められます。