Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)の最新データを基に、コスタリカのヤギ肉生産量は1961年以降大きな変化を記録しています。初期の年間生産量は5トン前後で推移していましたが、1991年に大幅な増加が見られ、その後2000年代には200トン以上を維持しています。2010年代後半から近年では、生産量が若干の減少傾向にあります。2023年現在の生産量は260トンで、安定的な水準を見せる一方、緩やかな課題も浮き彫りとなっています。
コスタリカのヤギ肉生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 260 |
-2.84% ↓
|
2022年 | 267 |
4.91% ↑
|
2021年 | 255 |
6.18% ↑
|
2020年 | 240 |
-1.47% ↓
|
2019年 | 244 |
-0.4% ↓
|
2018年 | 245 |
-0.49% ↓
|
2017年 | 246 |
-14.67% ↓
|
2016年 | 288 | - |
2015年 | 288 | - |
2014年 | 288 | - |
2013年 | 288 | - |
2012年 | 288 |
7.17% ↑
|
2011年 | 269 |
-4.17% ↓
|
2010年 | 280 |
-2.63% ↓
|
2009年 | 288 |
5.98% ↑
|
2008年 | 272 |
-5.65% ↓
|
2007年 | 288 |
12.61% ↑
|
2006年 | 256 |
-0.39% ↓
|
2005年 | 257 |
7.27% ↑
|
2004年 | 239 |
7.9% ↑
|
2003年 | 222 |
-0.42% ↓
|
2002年 | 223 |
8.61% ↑
|
2001年 | 205 |
13.94% ↑
|
2000年 | 180 | - |
1999年 | 180 |
-4.04% ↓
|
1998年 | 188 |
0.5% ↑
|
1997年 | 187 |
-1.12% ↓
|
1996年 | 189 |
0.03% ↑
|
1995年 | 189 |
1.73% ↑
|
1994年 | 185 |
2.67% ↑
|
1993年 | 181 |
6.46% ↑
|
1992年 | 170 |
-5.72% ↓
|
1991年 | 180 |
2207.69% ↑
|
1990年 | 8 | - |
1989年 | 8 | - |
1988年 | 8 | - |
1987年 | 8 | - |
1986年 | 8 | - |
1985年 | 8 | - |
1984年 | 8 |
8.33% ↑
|
1983年 | 7 |
9.09% ↑
|
1982年 | 7 |
10% ↑
|
1981年 | 6 |
4.17% ↑
|
1980年 | 6 |
6.67% ↑
|
1979年 | 5 | - |
1978年 | 5 | - |
1977年 | 5 | - |
1976年 | 5 | - |
1975年 | 5 | - |
1974年 | 5 | - |
1973年 | 5 |
200% ↑
|
1972年 | 2 |
-66.67% ↓
|
1971年 | 5 | - |
1970年 | 5 |
8.65% ↑
|
1969年 | 5 |
-1.78% ↓
|
1968年 | 5 |
20.19% ↑
|
1967年 | 4 |
-17.29% ↓
|
1966年 | 5 |
-8.12% ↓
|
1965年 | 6 |
0.54% ↑
|
1964年 | 6 |
9.33% ↑
|
1963年 | 5 |
-7.52% ↓
|
1962年 | 5 |
0.93% ↑
|
1961年 | 5 | - |
コスタリカのヤギ肉生産量の推移データを分析すると、いくつかの重要な転換点が見られます。最初に注目すべきは1961年から1990年までの期間で、この時期の生産量は5トンから8トンの範囲で推移し、ほとんど変化がありませんでした。この低い生産量は、ヤギの畜産が国の農業政策や食糧戦略において優先的な項目とはなっていなかったことを示しています。また、需要の低さやインフラの未整備も背景にあると考えられます。
1991年に生産量が8トンから一気に180トンへ急増したことは、ヤギ畜産に関する政策転換や需要の高まりが影響している可能性を示しています。この急増は、他の畜産物に頼った食料供給モデルからの多様化を狙った施策や、地域住民が代替供給源としてヤギ畜産に注目した結果と関連する可能性があります。その後1990年代後半から2000年代にかけて、生産量は200トン以上を維持し、新たな生産基盤が形成されたことが分かります。
2007年に生産量が288トンまで伸びたのは、国内需要の増加や輸出を通じた市場拡大が要因として考えられます。しかし、近年では減少傾向が見られ、2023年は260トンと2017年の288トンを下回りました。この背景には、農業労働力の高齢化、繁殖管理の課題、気候変動による牧草地の減少などが影響していると推測されます。また、COVID-19のパンデミックが流通や生産活動を停滞させ、畜産業全体に負の影響を及ぼしたことも考慮すべきです。
この減少傾向を克服するには、いくつかの具体的な対策が必要です。第一に、小規模農家における技能研修や技術支援を拡充し、効率的な養育と管理を推進するべきです。第二に、輸出市場の多様化を図り、新興市場へのアクセスを強化することで、国内生産の拡大を後押しする必要があります。さらに、気候変動に対応するため、持続可能な牧草地管理や地域に適した耐性品種の導入が鍵となるでしょう。
地政学的リスクや地域的なフードセキュリティの観点から見ても、この産業は戦略的重要性を持ちます。他国を見ると、アメリカや中国、インドではヤギ肉の需要が増加傾向にあります。一方で、ヨーロッパの多くの国は、持続可能性を重視した農業政策へシフトしています。コスタリカもこれらを参考に、環境負荷の少ない生産モデルを構築することで、国際市場での競争力を確保する必要があります。
結論として、コスタリカのヤギ肉生産は過去数十年で大きく成長しましたが、近年の減少傾向を無視することはできません。現在は、持続可能な成長を実現するための転換期といえます。政府は農業政策の見直しを行うとともに、地域住民や民間部門と協力して新たなイノベーションを取り入れる必要があります。このような政策転換により、コスタリカは地域や国際市場での地位をさらに強化できると考えられます。