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コスタリカの鶏卵生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、コスタリカにおける鶏卵の生産量は、1961年の7,500トンから2023年の79,843トンへと約10倍以上の増加を遂げています。この間、1970年代から1980年代の緩やかな増加、1990年代の急激な伸び、2000年代後半の一時的な減少、そして2010年代以降の安定した増加が見られます。しかし、2022年から2023年にかけてはわずかに減少しており、鶏卵産業が直面する課題や変動要因が浮き彫りになっています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 79,843
-2% ↓
2022年 81,475
-0.79% ↓
2021年 82,125
8.87% ↑
2020年 75,433
10.2% ↑
2019年 68,450
1.41% ↑
2018年 67,500
0.28% ↑
2017年 67,313
0.37% ↑
2016年 67,067
9.7% ↑
2015年 61,138
1.13% ↑
2014年 60,453 -
2013年 60,450
10.64% ↑
2012年 54,635
1.51% ↑
2011年 53,824
0.52% ↑
2010年 53,546
3.53% ↑
2009年 51,720
-0.91% ↓
2008年 52,195
24.61% ↑
2007年 41,887
-11.28% ↓
2006年 47,211
-1.98% ↓
2005年 48,167
-3.45% ↓
2004年 49,888
5.94% ↑
2003年 47,091
-1.33% ↓
2002年 47,724
2.72% ↑
2001年 46,461
13.44% ↑
2000年 40,958
2.84% ↑
1999年 39,825
-0.94% ↓
1998年 40,201
-12.33% ↓
1997年 45,854
4.52% ↑
1996年 43,872
-14.27% ↓
1995年 51,173
21.59% ↑
1994年 42,086
-0.4% ↓
1993年 42,254
7.08% ↑
1992年 39,459
6.14% ↑
1991年 37,176
14.02% ↑
1990年 32,605
17.95% ↑
1989年 27,642
9.97% ↑
1988年 25,137
12.39% ↑
1987年 22,365
26.91% ↑
1986年 17,623
38.24% ↑
1985年 12,748
-0.18% ↓
1984年 12,771
-8.63% ↓
1983年 13,977
-19.67% ↓
1982年 17,400
2.35% ↑
1981年 17,000
0.24% ↑
1980年 16,960
3.92% ↑
1979年 16,320
-1.98% ↓
1978年 16,650
0.33% ↑
1977年 16,595
2.63% ↑
1976年 16,170
4.35% ↑
1975年 15,496
0.92% ↑
1974年 15,355
1.35% ↑
1973年 15,150
6.42% ↑
1972年 14,236
8% ↑
1971年 13,182
6.75% ↑
1970年 12,348
-1.06% ↓
1969年 12,480
4.82% ↑
1968年 11,906
-2.19% ↓
1967年 12,173
0.43% ↑
1966年 12,121
30.33% ↑
1965年 9,300
5.68% ↑
1964年 8,800
7.32% ↑
1963年 8,200
5.13% ↑
1962年 7,800
4% ↑
1961年 7,500 -

コスタリカの鶏卵生産は、1960年代の低規模な生産レベルから、2023年までの間に国として重要な食品生産部門の一つへと成長を遂げました。1960年代から1970年代にかけては、農業技術の普及や農地の整備が進む中で徐々に生産量が増加しました。一方、1980年代には一時的に生産量の減少が見られます。このような変動は、当時の経済的不安定や農業政策の不確実性、さらに自然災害などの影響が一因となっている可能性が考えられます。

1990年代に入ると、生産量は著しく増加します。この時期は、国内外の需要の増大に対応するための生産設備の拡大や、輸出向けの生産体制の強化が進められたと考えられます。また、飼料の品質向上や育成技術の革新が、1羽当たりの卵産出能力を向上させたことも寄与したでしょう。しかし2000年代後半には一時的に減少が見られ、特に2007年の41,887トンという数字は前後の年と比較して顕著です。この背景には、コスタリカ国内の経済情勢や地政学的リスク、気候条件などが影響した可能性があります。

2010年代以降、特に2016年から2021年にかけての生産量の急増は、持続可能な農業技術や効率的な経営モデルの導入、国際市場での需要増加が大きく影響を及ぼしたと見られます。この成長は、コスタリカが地域の農業経済においてますます重要な地位を占めていることを示しています。ただし、直近の2022年および2023年のデータではわずかに減少が見られ、この変化に対する原因の深掘りが求められます。例えば、生産コストの上昇や気候変動の加速、新型コロナウイルスのパンデミック後の影響などが考えられます。

世界的な視点で見ても、コスタリカの生産量増加傾向は、他の国々と類似する面もあります。例えば、世界最大の鶏卵生産国である中国では、農業技術の近代化によって1990年以降安定的な成長を遂げています。一方、日本やヨーロッパ諸国では、生産増加と消費者の健康意識の高まりから有機飼料使用や動物福祉を考慮した養鶏が進展しています。コスタリカでも、国内外の需要に応じてこのような新たな方向性を検討する余地があるでしょう。

今後の課題として、まず第一に、気候変動による自然災害のリスクがコスタリカの鶏卵生産に与える影響が考えられます。この国は中南米に位置しており、台風や洪水などの自然災害がもたらす被害が生産設備の脆弱さを浮き彫りにしています。政府や農業団体は、環境に適応した堅牢な生産施設の普及や災害リスク管理体制の強化に取り組むべきです。また、鶏卵の生産から流通に至るまでのサプライチェーンの効率化や、輸出相手国の多様化も重要なポイントです。

さらに、近年の地政学的リスクや物流の停滞による輸送コストの上昇が、輸出市場の競争力に影響を及ぼす可能性があります。これに対応するためには、地域間協力体制を強化し、中南米諸国間での市場統合や物流ネットワークの再構築などが求められます。また、動物福祉基準を遵守した生産体制の整備や、高品質で差別化された産品の開発を進めることも国際市場での競争優位性を高める要因となるでしょう。

結論として、コスタリカの鶏卵生産量の成長は国内経済や雇用に重要に寄与してきましたが、気候変動、国際市場の競争、地政学的リスクなどが今後の課題として浮き彫りになっています。この課題に対応するためには、国内政策と国際的な連携を強化し、気候アダプテーション技術や生産の多様化、生産地の分散化などを進めていく必要があります。農業部門の持続可能な発展と、国内外での安定供給を両立させるための包括的な政策が期待されます。