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コスタリカの羊肉生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによれば、2023年のコスタリカにおける羊肉生産量は16トンであり、過去数十年にわたって漸進的な増加を見せています。特に2000年代以降、ほぼ安定しつつも緩やかな上昇を続けています。一方で、1960年代の初期には5トン程度と非常に低い水準でしたが、1980年代以降10トン付近で推移し、現在の生産水準に至っています。このデータは、コスタリカにおける農業政策や地理的条件、需要動向が生産量にどのように影響を与えたのかを深く理解するための重要な指標です。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 16
1.57% ↑
2022年 15
1.12% ↑
2021年 15
1.2% ↑
2020年 15
0.88% ↑
2019年 15
1.23% ↑
2018年 15
1.17% ↑
2017年 14
0.62% ↑
2016年 14
-0.89% ↓
2015年 15
-4.09% ↓
2014年 15
1% ↑
2013年 15 -
2012年 15
5.26% ↑
2011年 14
5.56% ↑
2010年 14 -
2009年 14
5.88% ↑
2008年 13 -
2007年 13
6.25% ↑
2006年 12 -
2005年 12 -
2004年 12 -
2003年 12
2.56% ↑
2002年 12
4% ↑
2001年 11 -
2000年 11 -
1999年 11 -
1998年 11 -
1997年 11 -
1996年 11
-21.05% ↓
1995年 14
26.67% ↑
1994年 11
525% ↑
1993年 2
-84% ↓
1992年 11 -
1991年 11 -
1990年 11 -
1989年 11 -
1988年 11 -
1987年 11 -
1986年 11 -
1985年 11 -
1984年 11 -
1983年 11 -
1982年 11
7.14% ↑
1981年 11
7.69% ↑
1980年 10
8.33% ↑
1979年 9
9.09% ↑
1978年 8
0.86% ↑
1977年 8 -
1976年 8
0.99% ↑
1975年 8
0.87% ↑
1974年 8
1.01% ↑
1973年 8
1.92% ↑
1972年 8
1.04% ↑
1971年 8
0.92% ↑
1970年 8
2% ↑
1969年 8
1.08% ↑
1968年 7
0.95% ↑
1967年 7
-9.26% ↓
1966年 8
12.5% ↑
1965年 7
14.29% ↑
1964年 6
16.67% ↑
1963年 5
9.09% ↑
1962年 5
3.13% ↑
1961年 5 -

コスタリカの羊肉生産量は、1961年からの62年にわたって観測が続けられてきました。このデータによれば、1961年から1980年頃までは年間生産量が約5~10トンと比較的低水準で推移していました。しかし以降は、穏やかな増加傾向が見られます。特に1990年代後半から2000年代初頭にかけて、わずかな増減を経ながらも緩やかな上昇トレンドが続き、2023年には16トンを記録しました。この段階的な増加は、羊肉の需要の変化や農地利用の最適化、農業技術の改善、さらには外部市場との連携が影響している可能性があります。

コスタリカは中米に位置する小規模国として、地理的および気候的な特性によって農業生産に制約があります。しかし、その一方で、政府が掲げる環境保全政策や持続可能性重視の施策が効果を挙げていると言えます。農地面積が限られる中で、コスタリカは環境に優しい形での農業拡大に取り組んできました。特に羊肉生産においては、大規模輸出向けではなく国内市場の需要に応える形で小規模かつ安定的な生産が行われている点が特徴的です。この点は、世界的な生産国であるオーストラリアやニュージーランド(いずれも羊肉生産量は100万トン以上)と比較すると顕著な違いであり、コスタリカ独自の農業スタイルを反映しています。

ただし、課題も存在します。1961年からのデータを見ると、1993年には生産量が突如2トンに急減し、その後再び11トンの水準に回復しています。このような急激な変動は、疫病や気候異常などの外的要素が関連している可能性があります。また近年で考えると、2020年の新型コロナウイルス感染拡大に伴う国内外の流通や市場の減少が生産にどのような影響を与えたかについても検証が必要です。2022~2023年のわずかな増加は、生産の回復基調を示唆していると言えるでしょう。

また、羊肉の需要そのものがコスタリカ国内でどの程度存在しているかも重要です。他の肉類、特に牛肉や鶏肉が主食として広く受け入れられている一方、羊肉の消費文化は限定的であり、生産量の規模もそれに合わせた形になっていると考えられます。一方で近年、観光業を通じた国際的な料理文化の普及に伴い、地域特産品として羊肉が注目されつつある可能性もあります。この観点は今後の生産動向にも影響を与える可能性があります。

将来に向けて、まず検討すべきは国内市場の需要拡大に向けた意識改革とプロモーションです。たとえば、観光業や飲食業と連携し、地元の羊肉の良さを普及させることで生産拡大のインセンティブを作り出すことが考えられます。また、小規模であっても環境負荷の低いサステナブルな農業を支援し、資金援助や技術導入を促進していくことが重要です。さらに、地域の小規模生産者間での共同経営や販売促進の仕組みを構築することで、生産効率を向上させる取り組みも有効でしょう。

総括すると、コスタリカの羊肉生産は量自体は比較的小規模ですが、その背後には特徴的な農業形態と現地の需要とのバランスが見られます。将来的には、観光資源としての活用や地域間協力を含めた輸出の可能性も見据えながら、小規模かつ持続可能な形での生産拡大を進めるべきだと思われます。また、気候変動の影響や疫病対策にもしっかり対応することで、安定した供給体制を構築することが望まれます。このような取り組みを通じて、コスタリカの農業全体の競争力を高めていくことが重要です。