国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新のデータによると、コスタリカのジャガイモ生産量は過去60年以上にわたり変動を続けており、2022年には77,784トンを記録しました。生産量は1960年代から増加傾向にありましたが、長期的に見ると、1980年代以降に増減が繰り返される不安定な状況が見られます。特に2018年から2021年にかけて大幅な減少が観測されていますが、2022年には再び上昇傾向を示しました。
コスタリカのジャガイモ生産量推移(1961-2022)
年度 | 生産量(トン) |
---|---|
2022年 | 77,784 |
2021年 | 42,334 |
2020年 | 47,619 |
2019年 | 52,824 |
2018年 | 48,748 |
2017年 | 89,620 |
2016年 | 97,979 |
2015年 | 90,576 |
2014年 | 76,749 |
2013年 | 52,923 |
2012年 | 69,316 |
2011年 | 59,958 |
2010年 | 55,711 |
2009年 | 74,608 |
2008年 | 66,126 |
2007年 | 66,050 |
2006年 | 55,781 |
2005年 | 74,881 |
2004年 | 76,435 |
2003年 | 80,806 |
2002年 | 86,785 |
2001年 | 89,198 |
2000年 | 77,959 |
1999年 | 68,854 |
1998年 | 79,495 |
1997年 | 53,814 |
1996年 | 55,124 |
1995年 | 43,606 |
1994年 | 43,235 |
1993年 | 52,661 |
1992年 | 64,678 |
1991年 | 54,487 |
1990年 | 49,500 |
1989年 | 66,737 |
1988年 | 50,000 |
1987年 | 40,000 |
1986年 | 43,150 |
1985年 | 38,720 |
1984年 | 29,682 |
1983年 | 42,000 |
1982年 | 28,800 |
1981年 | 28,000 |
1980年 | 27,419 |
1979年 | 26,777 |
1978年 | 25,973 |
1977年 | 25,363 |
1976年 | 24,721 |
1975年 | 24,094 |
1974年 | 23,556 |
1973年 | 23,240 |
1972年 | 22,022 |
1971年 | 17,357 |
1970年 | 16,052 |
1969年 | 19,269 |
1968年 | 20,700 |
1967年 | 19,782 |
1966年 | 19,453 |
1965年 | 18,599 |
1964年 | 17,629 |
1963年 | 16,979 |
1962年 | 16,680 |
1961年 | 15,803 |
コスタリカのジャガイモ生産量推移を見ると、1961年にわずか15,803トンだった生産量が1960年代から70年代にかけて徐々に増加しました。一時的な減少を経ながらも1980年代には急増し、特に1989年には66,737トンの大幅な増加を記録しました。しかし、それ以降は周期的な高低を繰り返しながら、生産量は変動を続けています。たとえば、1998年には79,495トンまで生産量が増加したものの、2006年には55,781トンまで減少しました。その後も変動は続き、2015年から2016年にかけて90,576トンから97,979トンへ安定的な増加を実現した反面、2018年から2021年には大幅な落ち込みが見られました。この期間には、2020年の新型コロナウイルスの影響や気候変動による気象条件の変化が主な要因として考えられます。
また、過去60年間の生産量を通じて、コスタリカの農業セクターが外的な影響に対する脆弱性を抱えていることが示唆されています。特に、1980年代以降の周期的増減には、地政学的リスクや政策的要因が複雑に影響を与えています。たとえば、1989年から1990年にかけての急減や近年の生産量低迷には、地域価格の変動や農業従事者の減少、また国内消費の傾向が影響を及ぼしている可能性があります。生産量が安定しない背景には、農地の不足や作物病害の発生、さらには輸送や保管の課題も含まれます。
これを踏まえた課題としては、第一に農業技術の強化が重要です。気候変動への適応のため、耐干ばつ品種の開発や灌漑技術の改善が急務です。また、政府と農業者の連携を強化し、輸送網の改善を含めたインフラ整備を優先する必要があります。近隣国であるメキシコやペルーなど、他のジャガイモ生産国では、生産効率を上げるための農業機械の導入や国際市場の拡大に成功しています。これに比べると、コスタリカでは依然として農法の近代化が課題となっています。
さらに、国際市場の動向に対応するため、輸出量の拡大と販路の多様化が肝心です。現在、コスタリカ国内で消費されるジャガイモが多いと予測されますが、国際マーケットの需要に応じて生産量を調整することで、農業部門の経済的安定を図ることができます。参考として、コロンビアやアルゼンチンでは、地域的な農業共同体の協力を通じて輸出市場を活性化し、生産者の利益を確保しています。
結論として、コスタリカのジャガイモ生産は、国内外の政治的・経済的環境、そして自然災害や気候変動といった多岐にわたる外的要因によって大きく左右されてきました。これを克服するためには、地域間および国際的な協力を基盤とした政策と、農業技術の向上を同時に推進する必要があります。国際連合やFAOの助言を受けながら、持続可能な農業モデルの構築を目指すことが長期的な課題への解決策となるでしょう。