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コスタリカのプランテン・調理用バナナ生産量推移(1961年~2023年)

国連食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによれば、コスタリカのプランテン・調理用バナナの生産量は、1961年には30,100トンであったのに対し、その後長期的な増加傾向を見せ、2013年と2014年には100,000トンに達しました。しかし、2018年以降に顕著な減少がみられ、2023年には78,763トンと、それ以前の平均的な生産量を下回る水準で推移しました。このデータは、天候、国際市場の需要、地政学的リスクなどの複数の要因に左右されるコスタリカの農業の構造的な問題を反映すると考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 78,763
-4.98% ↓
2022年 82,892
16.42% ↑
2021年 71,200
-15.65% ↓
2020年 84,413
25.64% ↑
2019年 67,189
0.29% ↑
2018年 66,998
-39.09% ↓
2017年 110,000 -
2016年 110,000 -
2015年 110,000
10% ↑
2014年 100,000 -
2013年 100,000
25% ↑
2012年 80,000
-11.11% ↓
2011年 90,000 -
2010年 90,000
50% ↑
2009年 60,000
-29.56% ↓
2008年 85,176
-1.42% ↓
2007年 86,400
12.74% ↑
2006年 76,635
69.62% ↑
2005年 45,180
-35.47% ↓
2004年 70,015
6.54% ↑
2003年 65,717
11.28% ↑
2002年 59,056
-27.92% ↓
2001年 81,934
42.81% ↑
2000年 57,373
-18.31% ↓
1999年 70,229
25.59% ↑
1998年 55,920
6.67% ↑
1997年 52,425
7.14% ↑
1996年 48,930
12.65% ↑
1995年 43,435
-0.26% ↓
1994年 43,550
-13.33% ↓
1993年 50,250
7.14% ↑
1992年 46,900
2.94% ↑
1991年 45,560
61.9% ↑
1990年 28,140
5% ↑
1989年 26,800
-68.29% ↓
1988年 84,507
2.8% ↑
1987年 82,209
2.98% ↑
1986年 79,831
1.77% ↑
1985年 78,444
-2.87% ↓
1984年 80,766
-13% ↓
1983年 92,830
-5.14% ↓
1982年 97,862
9.51% ↑
1981年 89,364
-0.76% ↓
1980年 90,044
10.64% ↑
1979年 81,385
6.66% ↑
1978年 76,306
10% ↑
1977年 69,369
6.06% ↑
1976年 65,408
-2.06% ↓
1975年 66,782
-4.6% ↓
1974年 70,000
-15.47% ↓
1973年 82,812
27.4% ↑
1972年 65,000
18.18% ↑
1971年 55,000
-0.18% ↓
1970年 55,100
-4.17% ↓
1969年 57,500
12.3% ↑
1968年 51,200
17.97% ↑
1967年 43,400
6.37% ↑
1966年 40,800
11.17% ↑
1965年 36,700
9.23% ↑
1964年 33,600
4.02% ↑
1963年 32,300
4.87% ↑
1962年 30,800
2.33% ↑
1961年 30,100 -

コスタリカのプランテン、いわゆる調理用バナナ生産量の推移を見ると、1961年から2013年の52年間で長期的に増加していることがわかります。これは、国内外での需要の高まりや、農地の効率的な利用、農法の技術革新が一つの要因となっています。たとえば1960年代には40,000トン未満の生産量であったものが、1970年代後半には80,000トン、そして2010年代には110,000トンに達しました。この期間には市場拡大に向けた輸出促進政策や、バナナ農業の特定地域への集中化が影響していると考えられます。

ただし、この成長トレンドは一貫して安定していたわけではありません。特に1989年には26,800トンまで急減した後、再び回復しています。類似の減少は2018年にも見られ、近年再び生産量が不安定化していることが課題として挙げられます。このような急激な動きは、主に天候の変動や疫病の流行、国際競争環境の変化に起因している可能性があります。特に、プランテンは湿度や日照条件に敏感であり、気候変動による異常気象が収穫量に直接的な影響を及ぼすとされています。

また、地政学的背景も重要です。コスタリカは中米地域に位置し、熱帯気候と肥沃な土壌が農業振興の基盤となっていますが、近年の貿易政策や労働力不足が問題となっています。たとえば、アメリカやヨーロッパ市場への輸出関税の変更や近隣諸国との競争激化が、コスタリカのバナナ生産者にプレッシャーを与えています。2000年代中頃には世界市場が拡大したことが生産量増加の背景にありますが、現在は徐々にその恩恵が薄れつつあります。

また、新型コロナウイルス流行による労働力不足やサプライチェーンの混乱も2020年以降のデータに影響を与えたと推測されます。そのため、生産量は2020年に一時的に84,413トンと回復傾向を見せたものの、その後も乱高下しています。2023年の78,763トンという数字は、最大生産年である2016年の110,000トンと比較すると約28%の減少となっており、全体の生産力そのものが低迷していることは明らかです。

今後の課題として、このような変動要因に対応する農業政策が求められます。具体的には、気候変動への適応策として灌漑施設の整備や耐病性を持つ品種の導入が挙げられます。同時に、国内市場の需要拡大や地域的な農業協力を強化することも一つの解決策となります。他国との比較では、中国やインドはすでに自国消費を目的としたバナナの量産化技術で成果を上げており、コスタリカもこれに倣うことで国内消費だけでなく輸出競争力を強める必要があります。

さらに、国際機関や近隣諸国との協力を高め、労働力不足問題に対処するための移民政策の見直しも求められるでしょう。特に、中米地域では共通の輸出戦略を制定し、輸出先市場での競争力向上を目指すべきです。また、地政学的リスクを最小限に抑えるため、収益の分散化などにも取り組むことが有効です。

結論として、コスタリカの調理用バナナの生産量は過去数十年にわたり増減を繰り返しながらも全体として増加のトレンドにありましたが、近年は不安定性が顕著になっています。気候、国際市場、労働力に関連する課題を克服することで、持続可能な成長につながる可能性があります。そして、多国間での協力や農業技術の発展を通じて、競争力をさらに高め、安定的な農業発展を促すことが重要です。