国際連合食糧農業機関の最新データによると、コスタリカにおける豚飼育数は、1961年の137,000頭から2022年の407,235頭へと約3倍に増加しています。データ全体を見ると、長期的には増加傾向を示しつつも、1970年代終盤や1980年代中盤、そして2016年以降に減少傾向が見られる時期があります。また、2019年以降の飼育数は40万頭前後で推移しており、横ばいに近い状況です。特に2015年の482,163頭が過去最高値となり、それ以降は多少の変動がありながらも減少しています。
コスタリカの豚飼育数推移(1961-2022)
年度 | 飼育数(頭) |
---|---|
2022年 | 407,235 |
2021年 | 404,503 |
2020年 | 405,613 |
2019年 | 442,089 |
2018年 | 370,570 |
2017年 | 412,584 |
2016年 | 440,062 |
2015年 | 482,163 |
2014年 | 473,000 |
2013年 | 448,000 |
2012年 | 453,000 |
2011年 | 432,000 |
2010年 | 438,000 |
2009年 | 440,000 |
2008年 | 447,000 |
2007年 | 426,000 |
2006年 | 362,000 |
2005年 | 349,000 |
2004年 | 337,000 |
2003年 | 315,000 |
2002年 | 310,000 |
2001年 | 300,000 |
2000年 | 275,000 |
1999年 | 260,000 |
1998年 | 360,000 |
1997年 | 315,000 |
1996年 | 300,000 |
1995年 | 350,000 |
1994年 | 350,000 |
1993年 | 340,000 |
1992年 | 310,000 |
1991年 | 290,000 |
1990年 | 270,000 |
1989年 | 250,000 |
1988年 | 237,000 |
1987年 | 160,000 |
1986年 | 183,000 |
1985年 | 220,000 |
1984年 | 223,000 |
1983年 | 236,000 |
1982年 | 243,000 |
1981年 | 240,000 |
1980年 | 223,000 |
1979年 | 207,000 |
1978年 | 215,000 |
1977年 | 215,000 |
1976年 | 215,000 |
1975年 | 225,000 |
1974年 | 220,000 |
1973年 | 216,000 |
1972年 | 225,000 |
1971年 | 210,000 |
1970年 | 198,000 |
1969年 | 197,770 |
1968年 | 170,000 |
1967年 | 165,000 |
1966年 | 160,000 |
1965年 | 155,000 |
1964年 | 150,000 |
1963年 | 145,322 |
1962年 | 141,000 |
1961年 | 137,000 |
コスタリカの豚飼育数は、過去60年以上を振り返ると、大きな成長と変動を見せています。1961年時点では137,000頭と小規模な産業でしたが、1970年代を通じて急激に増加し、1980年代には安定期に入りました。1990年代にはさらに大きな成長を遂げ、1993年には340,000頭、2008年には447,000頭と、増加のピークに向かう様子がうかがえます。しかし2010年代後半になると減少傾向が見られ、特に2018年の370,570頭や2020年の405,613頭など、近年の推移では伸び悩みの姿が顕著です。
このような変動は、国内外の経済情勢や消費者需要、養豚における技術・資源の変化と密接に関わっています。例えば、1970年代から1990年代にかけて増加を見た背景には、国内の人口増加や経済の成長が寄与していたと考えられます。一方で、1986年の183,000頭の急減は、当時の経済危機や農業政策の変動、または自然災害の影響が影響した可能性があります。同様に、2015年以降の減少傾向は、需要の変化や、アフリカ豚熱(ASF)のような疫病のリスク、あるいは飼育コストの増加などの要因が影響したと推測できます。
さらに、コスタリカは地政学的にも国際市場へのアクセスが限られており、豚肉の輸出や輸入政策が産業全体に大きなインパクトを与えています。特に自由貿易協定(FTA)の影響により、安価な輸入豚肉が国内市場を圧迫している可能性があります。これは南米諸国やアメリカのような生産大国が持つ競争力によるものです。養豚業の持続可能性にとっては、国内外の競争力をいかに確保するかが大きな課題となっています。
将来に向けては、いくつかの具体的な対策が考えられます。まず、農業技術の高度化や飼料生産の効率化を図ることで、生産コストを削減することが重要です。また、バイオセキュリティの強化を通じて疫病リスクを最小化し、安定的に飼育頭数を維持することも求められます。さらに、国内市場での需要を維持・拡大するために、豚肉の品質基準を高め、消費者に選ばれる製品づくりを推進することが必要です。
地域協力も鍵の一つです。中米諸国間で協力体制を構築することで、市場の拡大や技術移転を進めることが可能となります。国際価格の変動や競争に対応するには、柔軟な政策運営が求められる一方、持続可能な養豚産業のために環境負荷の軽減も考慮しなければなりません。
結論として、コスタリカの豚飼育業は長期的に見て成長を遂げているものの、近年の減少傾向や外部要因からの影響を考慮すると、現在の規模を維持し発展させるには課題が多い状況といえます。国や農業関連機関は、持続可能な生産体制の確立だけでなく、国際市場における競争力を持続するための政策や技術導入などに注力する必要があります。これにより、中長期的な安定と発展の両立が可能となるでしょう。