コスタリカにおけるトマトの生産量は1961年の8,200トンから1998年までの期間におおむね増加傾向を示してきましたが、それ以降は大きな変動を含む不安定な推移が見られます。特に1998年には31,676トンと著しい急増を見せましたが、その後は乱高下を繰り返し、2022年の生産量は58,698トンとなっています。このデータは、コスタリカ国内の農業政策、天候条件、地政学的要因など多岐にわたる要因の影響を受けてきたことを示唆しています。
コスタリカのトマト生産量推移(1961-2022)
年度 | 生産量(トン) |
---|---|
2022年 | 58,698 |
2021年 | 58,979 |
2020年 | 48,905 |
2019年 | 45,564 |
2018年 | 55,307 |
2017年 | 57,238 |
2016年 | 57,238 |
2015年 | 68,000 |
2014年 | 51,200 |
2013年 | 60,150 |
2012年 | 52,556 |
2011年 | 60,895 |
2010年 | 51,615 |
2009年 | 61,708 |
2008年 | 59,450 |
2007年 | 53,580 |
2006年 | 43,500 |
2005年 | 41,354 |
2004年 | 45,000 |
2003年 | 47,000 |
2002年 | 55,578 |
2001年 | 49,746 |
2000年 | 27,319 |
1999年 | 19,150 |
1998年 | 31,676 |
1997年 | 10,054 |
1996年 | 8,424 |
1995年 | 8,319 |
1994年 | 8,395 |
1993年 | 8,665 |
1992年 | 8,864 |
1991年 | 10,454 |
1990年 | 9,000 |
1989年 | 8,500 |
1988年 | 22,300 |
1987年 | 21,600 |
1986年 | 21,100 |
1985年 | 20,500 |
1984年 | 20,500 |
1983年 | 20,000 |
1982年 | 19,500 |
1981年 | 18,500 |
1980年 | 18,000 |
1979年 | 17,500 |
1978年 | 17,000 |
1977年 | 16,500 |
1976年 | 16,000 |
1975年 | 15,500 |
1974年 | 15,000 |
1973年 | 14,500 |
1972年 | 14,000 |
1971年 | 13,000 |
1970年 | 12,700 |
1969年 | 12,200 |
1968年 | 11,500 |
1967年 | 11,200 |
1966年 | 10,600 |
1965年 | 10,000 |
1964年 | 9,600 |
1963年 | 9,000 |
1962年 | 8,600 |
1961年 | 8,200 |
Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が発表したデータによれば、コスタリカのトマト生産量には長期的な増加傾向とともに大幅な年次変動が見受けられます。1960年代から1970年代にかけては、一貫した技術革新や農業インフラの拡充が行われ、生産量の安定した増加を後押ししました。この期間には、農業用地の拡大や効率的な耕作方法の導入が重要な役割を果たしたと考えられます。
しかし、1980年代末に約22,300トンと高水準に達した後、1989年には8,500トンと劇的な減少が記録されています。この急落は当時の経済的、または政策的な変化に起因すると推測されます。その後1991年以降も一時的な増加と減少を繰り返しましたが、1998年には生産量が31,676トンまで跳ね上がるなど、不安定な動向が続きました。さらに、2001年の49,746トン、2008年の59,450トンといったピーク時の後には再び減少が見られ、2014年以降の生産量は振幅を伴いつつおおむね60,000トン前後で推移しています。
これらの大きな変動は、国内および国際的な要因が複雑に絡み合った結果と考えられます。一例として、災害や異常気象による農作物被害、そして輸出政策や価格競争力の変化が挙げられるでしょう。また、1998年以降の乱高下の一因として、国際市場の需要と供給の変化が影響した可能性も否定できません。同時に、地政学的なリスクや輸出国間の競争がトマト市場に影響を与える点にも留意する必要があります。
コスタリカのトマト生産における課題として、まず天候の予測不能性が挙げられます。同国は熱帯気候であり、降雨量や気温の変化が作物の収穫量に大きな影響を及ぼします。このため、灌漑設備の整備や気候変動に対応した農業技術の導入が求められるでしょう。さらに、農業労働者不足や農地の競争的利用といった人的・土地的制約にも対応が必要です。この点では、効率的な農業を促進するため、スマート農業技術の普及が有効な手段として挙げられるかもしれません。
また、他国との比較において、例えばアメリカや中国といった大規模農業国ではトマトの大規模生産が行われています。こうした国々との競争に対してコスタリカが差別化を図るには、高付加価値製品の開発やオーガニック市場への注力が重要です。同時に、貿易協定を通じて主要な輸出先へのアクセスを確保することも課題と言えるでしょう。
将来に向けた具体的な提言としては、気候変動に対するレジリエンスを高める農業技術の普及や、マーケティングを強化して国際市場での競争力を向上させることが考えられます。また、地域レベルの農業協力を通じて、近隣国との情報共有や市場開拓を進めることも有効です。これにより、トマト生産の波動を弱め、持続可能な成長を図ることが可能となるでしょう。
結論として、このデータはコスタリカのトマト生産が一定した成長を達成している一方で、外的要因に大きく左右される状況にあることを示しています。これを踏まえた上で、同国が取るべき対策は、環境変化への対応と輸出市場の強化を両輪とするイノベーションと国際連携の促進です。