国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、コスタリカのショウガ生産量は、1986年の2,500トンから1995年に20,660トンと急成長を見せましたが、その後、著しい減少と変動を繰り返しています。特に1999年には1,225トンまで急減し、2023年のデータでは3,893トンとなっています。過去数十年にわたり、コスタリカのショウガ生産量は大きな増減を繰り返し、安定性を欠いていることが明らかです。
コスタリカのショウガ生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 3,893 |
-2.69% ↓
|
2022年 | 4,001 |
-27.26% ↓
|
2021年 | 5,500 |
-6.78% ↓
|
2020年 | 5,900 |
65.14% ↑
|
2019年 | 3,573 |
13.96% ↑
|
2018年 | 3,135 |
-19.37% ↓
|
2017年 | 3,888 |
4.85% ↑
|
2016年 | 3,708 |
-8.58% ↓
|
2015年 | 4,056 |
88.83% ↑
|
2014年 | 2,148 |
16.99% ↑
|
2013年 | 1,836 | - |
2012年 | 1,836 |
7.81% ↑
|
2011年 | 1,703 |
0.77% ↑
|
2010年 | 1,690 |
16.63% ↑
|
2009年 | 1,449 |
50.94% ↑
|
2008年 | 960 |
-8.05% ↓
|
2007年 | 1,044 |
-75.31% ↓
|
2006年 | 4,229 |
-1.65% ↓
|
2005年 | 4,300 |
221.86% ↑
|
2004年 | 1,336 |
-12.51% ↓
|
2003年 | 1,527 |
-51.28% ↓
|
2002年 | 3,134 |
-24.72% ↓
|
2001年 | 4,163 |
9.9% ↑
|
2000年 | 3,788 |
209.22% ↑
|
1999年 | 1,225 |
-94.25% ↓
|
1998年 | 21,315 |
37.21% ↑
|
1997年 | 15,535 |
29.53% ↑
|
1996年 | 11,993 |
-41.95% ↓
|
1995年 | 20,660 |
98.65% ↑
|
1994年 | 10,400 |
128.07% ↑
|
1993年 | 4,560 |
-41.44% ↓
|
1992年 | 7,787 | - |
1991年 | 7,787 | - |
1990年 | 7,787 |
73.04% ↑
|
1989年 | 4,500 |
28.57% ↑
|
1988年 | 3,500 |
40% ↑
|
1987年 | 2,500 | - |
1986年 | 2,500 | - |
ショウガは、香辛料や薬用植物として古くから利用されてきた農作物で、世界中で需要があります。特に健康志向の高まりに伴い、ショウガの市場は成長を見せています。しかしながら、コスタリカのショウガ生産量を観察すると、著しい変動が長年にわたって続いている現状が分かります。
データによると、1986年から1990年代前半にかけて生産量は増加し、1995年には20,660トンというピークに達しました。ここでの急成長は、おそらく国内外の需要増加や農地拡張、技術の進展が影響したと考えられます。しかし、1999年には1,225トンまで急減し、その後も1,000~5,000トン台で上下する不安定な生産量が特徴となっています。この不安定さの要因として、国内外の市場変動やショウガ特有の病害、気候変動、そして地政学的背景が影響していると考えられます。
特に、1990年代後半以降の減少は、ショウガの栽培において病害虫被害の拡大が一因である可能性があります。ショウガは高温多湿での栽培が求められる一方、気候変動による極端な気候の出現や病害虫の発生リスクの増加に弱い側面があります。また、1999年以降の低迷は、アジア諸国(特に中国やインド)との競争が激化し、コスタリカのショウガが市場競争で不利になったことも関連すると考えられます。
2020年と2021年には、それまでの低水準から再び生産量が増加し、それぞれ5,900トンおよび5,500トンを記録しています。この増加は、新型コロナウイルスの世界的な流行により健康志向が強まったことが背景にある可能性があります。ショウガは免疫力を高める食品として注目されており、需要の増加が一時的に生産の回復を後押ししたと見られます。しかしながら、その後の2022年、2023年に至ると再び4,000トン前後に低下しており、持続可能な生産体制の確立が課題であることが示されています。
将来的には、以下の課題と対策が重要となるでしょう。一つ目は、気候変動に対する適応策です。例えば、耐病性のある品種の導入や、灌漑技術の改良、気象モニタリングの強化などが挙げられます。二つ目は、国内外の競争に勝つための品質向上です。有機ショウガ栽培や認証制度の導入を進めることで、世界市場での競争力を強化することが可能です。さらに、アジア諸国との競争を背景に、特にヨーロッパやアメリカ市場への輸出拡大を目指すべきです。
加えて、国内農家への支援体制の整備も重要です。教育プログラムや技術指導を通じて、農家レベルでの栽培技術の向上を図るべきです。また、金融的な支援や収入の安定化を目指した保険制度の充実も必要となるでしょう。
地政学的リスクとして、中国やインドの輸出状況や価格競争から影響を受けやすいため、輸入相手国との関係強化が欠かせません。さらに、自然災害やパンデミックといった外的要因も計画に織り込むべきです。
結論として、コスタリカのショウガ生産量はここ数十年で変動を繰り返し、安定的な成長が課題となっています。しかしながら、地理的条件や農業資源の豊かさを活用し、持続可能かつ競争力のある生産体制を構築すれば、コスタリカは再びショウガ市場で重要な役割を担うことが期待されます。この取り組みには、政府、民間、そして国際機関が連携して取り組むことが求められます。