コスタリカのサトウキビ生産量推移（1961年～2023年）

Food and Agriculture Organization（国際連合食糧農業機関）の最新データによると、コスタリカにおけるサトウキビ生産量は、1961年の約107万トンから2023年の約342万トンへと大幅に増加しました。全体としては増加傾向にあるものの、特に2000年代後半以降は波が見られ、2010年代以降には生産量の減少が続いています。このことは地政学的な影響、経済的政策、環境要素、気候変動などの複合的な要因が影響していると考えられます。近年の減少幅が拡大していることから、今後の課題が浮き彫りとなっています。

コスタリカのサトウキビ生産は、1960年代から1980年代にかけて着実な成長期を迎えました。生産量は着実に増加し、1970年には200万トンを突破しました。その後も成長は続き、1990年代には300万トンを超えました。特に2001年の400万トン突破は大きな節目となり、2006年と2007年には史上最高の460万トン前後に達しました。

しかし、2010年以降、サトウキビ生産量は徐々に減少傾向に入りました。この変動には、いくつかの要因があると考えられます。まず第一に、気候変動による降雨量や平均気温の変動が挙げられます。サトウキビは気温と降水量に敏感な作物であり、適切な条件が整わない場合、農作物全体の収量や品質が大きく影響を受ける可能性があります。特に、熱帯性気候の影響を受けるコスタリカでは、高温条件や異常気象が増加し、生産環境に負の影響を与えていると推察されます。

次に、土地利用の競合と人件費の上昇も無視できません。他産業との競争により、農業用地が縮小する傾向が見られます。また、サトウキビ生産は労働集約的な産業であり、経済成長に伴う賃金上昇が採算性に影響を及ぼしています。特に、近年の世界的な資源価格の上昇や国際競争の激化により、生産コストが増大しています。

地政学的な視点では、国際市場での砂糖価格の変動がコスタリカのサトウキビ生産に大きな影響を与えています。アメリカ、ブラジル、インドなど、主要生産国との競争が激化する中、価格の下落が生産意欲を左右している可能性があります。また、地元の政策変更や補助金体制の見直しなども影響を与えています。

サトウキビ生産量の減少は直接的には国内糖分供給や輸出収益に影響を与えますが、それ以上に多くの雇用機会喪失や農村地帯の活力低下をもたらすリスクもあります。特にコスタリカではサトウキビ産業が地域経済に大きな役割を果たしているため、この傾向が続けば、貧困や地域間の経済格差が拡大する可能性があります。

これを踏まえると、コスタリカ政府および関連機関は、気候変動への対応策を早急に進める必要があります。具体的には、灌漑設備の改善や耐旱性品種の開発、農業研修の充実を通じて、安定した生産基盤を築くことが重要です。また、輸出戦略の多様化を図り、新たな市場の開拓を進めることも利益の安定化に寄与するでしょう。さらに、地域間協力の枠組みを強化し、Latin American Sugar Network（中南米糖産業ネットワーク）のような地域内での協力体制を構築することが必要です。

結論として、コスタリカのサトウキビ生産の推移は、長期的な視点で見ると堅調ながらも、近年は減少傾向が顕著となっています。この課題に直面する中で、気候変動や国際価格変動などのリスクを軽減するための具体策を講じなければなりません。将来的な持続可能性を確保するためには、環境負荷の軽減とともに、競争力の維持・向上に向けた構造的改革が必要です。このような努力によって、コスタリカのサトウキビ産業は再び安定成長の道を歩むことが期待されます。