国際連合食糧農業機関(FAO)が更新した2024年の最新データによると、コスタリカにおけるイチゴ生産量は1990年代から増減を繰り返しながらも、長期的には上昇傾向を示しています。1990年の1,750トンから2022年には4,972トンとなっており、この間に2倍以上の増加が見られます。しかし、2010年代前半にピークを迎えた後は、再び減少と回復を行き来しています。特に2013年の6,194トンが過去最高となっており、その後の生産量が安定していないことが課題といえます。
コスタリカのイチゴ生産量推移(1961-2022)
年度 | 生産量(トン) |
---|---|
2022年 | 4,972 |
2021年 | 4,916 |
2020年 | 5,063 |
2019年 | 4,416 |
2018年 | 4,300 |
2017年 | 4,300 |
2016年 | 4,669 |
2015年 | 5,440 |
2014年 | 6,194 |
2013年 | 6,190 |
2012年 | 5,710 |
2011年 | 4,690 |
2010年 | 3,720 |
2009年 | 4,620 |
2008年 | 4,020 |
2007年 | 1,900 |
2006年 | 1,900 |
2005年 | 1,900 |
2004年 | 1,700 |
2003年 | 3,160 |
2002年 | 3,160 |
2001年 | 2,500 |
2000年 | 2,500 |
1999年 | 2,500 |
1998年 | 1,500 |
1997年 | 1,500 |
1996年 | 1,500 |
1995年 | 1,500 |
1994年 | 1,250 |
1993年 | 1,000 |
1992年 | 1,000 |
1991年 | 1,250 |
1990年 | 1,750 |
FAOのデータを分析すると、コスタリカのイチゴ生産量は1990年代から現在に至るまで大きな変化を遂げてきました。1990年代初頭の1,250〜1,750トンという低い生産量から、2000年代に入りわずかながらも増加傾向を見せ、2008年の4,020トンで初めて4,000トンを超えました。その後は2013年に6,194トンのピークを記録しますが、これ以降の生産量はやや不安定です。
このような生産量の変動に影響を与える要因として、コスタリカの地政学的・気候的背景が挙げられます。コスタリカは、一年を通じて安定した気候を持つ中米の恵まれた環境にありますが、イチゴは比較的栽培が難しく、技術的な課題や病害虫への対策が生産性に大きく影響します。例えば、2013年以降の減少傾向については、気候変動の影響や、農業技術の問題が原因として推測されます。また、2020年以降には新型コロナウイルスのパンデミックが引き起こした物流の停滞や労働力不足も、イチゴを含む農産物の生産・流通に影響を与えた可能性が高いです。
課題としては、生産量の波が激しい点や、それに伴う市場の不安定さが挙げられます。特に、収穫量が減少した場合には国内市場および輸出市場への供給が途絶え、農家の収入が不安定になるリスクがあります。この問題を軽減するためには、持続可能な農業技術の普及、気候変動への適応策の推進、病害虫管理の徹底などが必要です。例えば、耐病性の高い品種の開発や、効率的な灌漑システムの導入が対策として有望です。
また、リスク分散の観点から、国内消費と輸出市場のバランス調整も重要です。例えば、日本を含む先進国では、質の高い農産物に対する需要が高まっています。コスタリカ産イチゴをこういった市場に売り込むために、品質向上やブランド化を進めることが考えられます。これにより、生産量が一時的に低下した場合でも安定した収益を確保することが可能になります。
さらに、今後の地政学的リスクへの対応も欠かせません。中米地域では、気候変動に加えて自然災害や地域紛争のリスクが農業全体に影響する可能性があります。コスタリカ政府や国際機関は、これらのリスクを考慮した災害リスク管理と農産物の供給チェーンの強化に取り組むべきです。
結論として、コスタリカのイチゴ生産は、長期的には成長しているものの、課題も多い現状です。安定した生産と輸出を実現するためには、農業技術と市場戦略をさらに進化させる必要があります。具体的には、気候変動への適応、農業技術の近代化、そして国際輸出市場での競争力強化を同時に推進することが求められます。これらの取り組みを通じて、コスタリカのイチゴ産業は国の経済発展においてさらに重要な役割を果たしていくことが期待されます。