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コスタリカのアボカド生産量推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)の最新データによると、コスタリカのアボカド生産量は1961年の10,600トンから1973年には23,800トンに増加しました。しかし、1980年代以降、生産量は停滞し、2000年代中期には大幅な減少が見られました。その後、2015年以降は回復基調を示し、2023年には15,387トンと再び上昇傾向が見られます。このような長期にわたるアボカド生産の変動を通じて、コスタリカの農業が直面している課題と対応が浮き彫りになっています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 15,387
24.32% ↑
2022年 12,378
-4.76% ↓
2021年 12,997
-2.18% ↓
2020年 13,286
-23.44% ↓
2019年 17,354
52.55% ↑
2018年 11,376
-8.02% ↓
2017年 12,368 -
2016年 12,368
1.73% ↑
2015年 12,158
925.99% ↑
2014年 1,185
6.28% ↑
2013年 1,115
-33.31% ↓
2012年 1,672
-48.03% ↓
2011年 3,217
-26.37% ↓
2010年 4,370
-22.55% ↓
2009年 5,642
-19.47% ↓
2008年 7,006
-16.94% ↓
2007年 8,434
-28.43% ↓
2006年 11,784
-12.87% ↓
2005年 13,525
-20.68% ↓
2004年 17,051
-7.41% ↓
2003年 18,417
-6.59% ↓
2002年 19,716
-5.78% ↓
2001年 20,926
-4.98% ↓
2000年 22,023
-4.25% ↓
1999年 23,000 -
1998年 23,000
-4.17% ↓
1997年 24,000 -
1996年 24,000
2.13% ↑
1995年 23,500
0.43% ↑
1994年 23,400
0.43% ↑
1993年 23,300
0.43% ↑
1992年 23,200
0.24% ↑
1991年 23,144
0.62% ↑
1990年 23,000
4.55% ↑
1989年 22,000
0.69% ↑
1988年 21,850 -
1987年 21,850 -
1986年 21,850 -
1985年 21,850 -
1984年 21,850
1.33% ↑
1983年 21,563
1.35% ↑
1982年 21,275
-24.02% ↓
1981年 28,000
1.82% ↑
1980年 27,500
1.85% ↑
1979年 27,000
3.85% ↑
1978年 26,000 -
1977年 26,000
1.96% ↑
1976年 25,500
2% ↑
1975年 25,000
4.17% ↑
1974年 24,000
0.84% ↑
1973年 23,800
13.33% ↑
1972年 21,000
16.67% ↑
1971年 18,000
10.43% ↑
1970年 16,300
4.49% ↑
1969年 15,600
5.41% ↑
1968年 14,800
4.96% ↑
1967年 14,100
6.02% ↑
1966年 13,300
3.91% ↑
1965年 12,800
4.92% ↑
1964年 12,200
4.27% ↑
1963年 11,700
6.36% ↑
1962年 11,000
3.77% ↑
1961年 10,600 -

コスタリカのアボカド生産量は、1960年代から1970年代にかけて順調に拡大を続け、1970年代初頭には年間生産量が20,000トンを超える規模に成長しました。この増加は、国内市場の需要拡大とともに、アボカドが輸出品として注目され始めたことが背景にあります。また、農業技術の向上や栽培面積の拡大も、この時期の生産拡大に寄与した要因でしょう。

しかし、1980年代以降、生産量はほとんど横ばいに推移しました。この停滞は、国内外の競争激化、新規投資の減少、生産効率の鈍化などが要因として考えられます。また、さらに2000年代に入ると生産量は急激に低下し、2012年にはわずか1,672トンとピーク時(1973年)の23,800トンから大きく減少しました。この減少は、コスタリカ国内での土地利用の見直しや気候変動の影響、害虫被害の増加、農業従事者の高齢化など、複数の課題が絡み合った結果と考えられます。特に自然災害の頻発がアボカドの栽培に与える悪影響が顕著であり、コスタリカ特有の地理的リスク要因として無視できません。

ところが、2015年以降、生産量は再び持ち直しを見せるようになり、2023年には15,387トンにまで回復しました。この回復には、農業の近代化を目指した政府の政策や、持続可能な生産体制の採用が寄与したことが考えられます。近年、より耐病性のあるアボカド品種の導入や、適応的な農地管理が実施されるようになり、これが生産量の回復につながっていると見られます。

他国との比較では、ペルーやメキシコがアボカドの主要生産国となっており、これらの国はアボカドの輸出に力を入れることで経済的な成功を収めています。一方、コスタリカは国内消費の需要を中心に生産を行っているため、国際競争力は限定的です。この点で、メキシコなどの生産国が持つスケールの利点や輸出専用のインフラ開発といった要素と比較すると、コスタリカは後れを取っています。

課題としては、気候変動や自然災害への耐性の強化、そしてサプライチェーンの効率化が挙げられます。また、国内農業従事者の教育や意識向上、そして地元農家への補助金やインセンティブの導入も、生産能力の増強に向けて必要です。さらに、輸出市場をターゲットとした品質管理やマーケティング技術の向上も重要です。たとえば、日本や韓国のようなアジア市場では、衛生基準を満たせば高付加価値な販売が可能であり、このような市場戦略が求められます。

また、地政学的には気候変動が農業生産に深刻な影響を及ぼす可能性が高く、これはコスタリカの農業全般において将来的なリスク要因となります。そのため、持続可能な農業生産を推進するために、再生可能エネルギーの活用や炭素フットプリントの削減に取り組む必要があります。

結論として、コスタリカのアボカド生産量は、過去数十年の間に大きな波を描いてきましたが、現在は回復基調にあります。この勢いを維持するためには、技術革新や政策改善に加え、気候リスクに対する適応力を強化する必要があります。そして、地域間協力や国際貿易の促進も視野に入れつつ、アボカドをより競争力のある商品とするための努力が欠かせないでしょう。

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