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コスタリカのカカオ豆生産量推移(1961-2022)

国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年7月に更新した最新データによると、コスタリカのカカオ豆生産量は1960年代に10,000トンを超えるピークを迎えましたが、1970年代以降は長期的な減少傾向に転じ、1990年代後半には1,000トン未満にまで低下しました。2000年代からは抑制された状態が続き、最近では2019年以降、安定的に800トンを維持しています。カカオ生産の推移は、国内外の環境および経済的な変動と密接に関連していることが読み取れます。

年度 生産量(トン)
2022年 800
2021年 800
2020年 800
2019年 800
2018年 550
2017年 545
2016年 650
2015年 600
2014年 700
2013年 700
2012年 700
2011年 690
2010年 665
2009年 650
2008年 593
2007年 555
2006年 450
2005年 343
2004年 708
2003年 708
2002年 708
2001年 708
2000年 708
1999年 888
1998年 849
1997年 800
1996年 2,000
1995年 2,000
1994年 2,000
1993年 2,800
1992年 3,000
1991年 3,400
1990年 3,500
1989年 4,270
1988年 3,976
1987年 3,592
1986年 3,857
1985年 4,451
1984年 4,139
1983年 2,161
1982年 3,545
1981年 5,049
1980年 5,266
1979年 10,365
1978年 10,381
1977年 7,694
1976年 5,855
1975年 6,609
1974年 5,919
1973年 6,600
1972年 5,000
1971年 7,300
1970年 4,200
1969年 4,800
1968年 9,100
1967年 7,200
1966年 9,300
1965年 7,600
1964年 10,200
1963年 10,700
1962年 12,600
1961年 10,600

コスタリカのカカオ豆生産量の歴史を振り返ると、1960年代には10,000トンを超える高い生産水準を誇っていました。これは、肥沃な土壌や熱帯気候の恩恵を受けた結果であり、中央アメリカ地域におけるコスタリカの特有の地理的条件が支えとなっていました。しかし、1970年代以降、生産量は顕著な下降を続け、1980年代には1,000トン規模まで縮小しました。この時期には、カカオの害虫であるカカオポッドボーラーやモンリリア菌(カカオ疫病)が蔓延したことに加え、国際市場での価格変動やコーヒーなど他の作物への転換が進んだことが生産の衰退を加速した要因と考えられます。

1990年代にはさらに深刻な状況となり、生産量は数百トンまで低下しました。この期間、コスタリカではコーヒー産業への集中が進み、カカオ生産の優先順位が下がった背景があります。また、政府による支援策が欠如していたことも一因であったとされています。2000年代以降は生産が底を打ち、2008年から2015年の間にやや増加しましたが、生産量は依然として低水準でした。

近年のデータでは、2019年以降、生産量は800トンを安定的に維持しています。この安定化は、持続可能な農業手法を導入した結果やクオリティ重視のプレミアムカカオ生産への移行が寄与していると見られています。さらに、国際市場での高品質カカオの需要増加も影響している可能性があります。しかしながら、総生産量が1960年代のピークと比較すると非常に低い水準に留まっていることは、多くの課題を浮き彫りにしています。

複数の課題を抱えるコスタリカのカカオ産業には、まずは害虫対策や気候変動に対する柔軟な対応が必要です。特に、生産の安定性を脅かすカカオ疾患を防ぐための研究と技術的な支援の拡充が求められます。さらに、カカオ農家への直接的な経済支援や生産効率向上のための政策が必要です。また、カカオ生産を持続可能にするための地域間協力や、国際的な支援を活用することも効果的です。例えば、環境に配慮した農業支援プログラムの導入や、フェアトレード商品の促進を通じて収益を向上させる取り組みが考えられます。

地政学的には、中米地域全体での農業政策の方向性がカカオ産業に影響を及ぼす可能性が高いと考えられます。例えば、国々間での関税や貿易政策、そして農業補助金の配分は、コスタリカにおけるカカオの競争力に直結します。また、新型コロナウイルスのパンデミックや気候変動が農業従事者に与えた影響も無視できません。これらのリスクに対応するため、災害時の農業復興プランといった迅速な対策が必要です。

結論として、コスタリカのカカオ産業は、過去の栄光を取り戻す可能性を秘めています。科学技術の活用、持続可能な農法の推進、国際市場へのプレミアム製品の展開は、復興と成長の鍵となるでしょう。さらに、地域間協力を深めることで、地政学的リスクや市場の不確実性に対しても柔軟に対応できる基盤を整えることが重要です。国際機関や政府を含む多方面での協力が、コスタリカのカカオ産業を未来に向けて強化する助けとなるはずです。