Skip to main content

キューバのキャベツ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表したデータによれば、キューバのキャベツ生産量は1961年の11,000トンから徐々に増加し、1990年代に大きな増加を見せ、2000年代中盤には256,450トンを記録するなどピークを迎えました。しかし、近年では生産量が再び減少傾向にあり、2020年以降は52,000トン付近に停滞しています。この動きから、過去数十年にわたるキューバの農業政策や経済的要因、気候変動など多面的な影響が読み取れます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 54,449
4.03% ↑
2022年 52,342
0.27% ↑
2021年 52,199
0.14% ↑
2020年 52,126
-38.16% ↓
2019年 84,286
-25.27% ↓
2018年 112,787
-33.07% ↓
2017年 168,527
34.98% ↑
2016年 124,856
12.74% ↑
2015年 110,742
13.42% ↑
2014年 97,638
-5.48% ↓
2013年 103,304
-16.21% ↓
2012年 123,283
-24.3% ↓
2011年 162,857
20.96% ↑
2010年 134,640
-16% ↓
2009年 160,285
-14.15% ↓
2008年 186,700
2.39% ↑
2007年 182,343
5.5% ↑
2006年 172,830
-32.61% ↓
2005年 256,450
15.27% ↑
2004年 222,476
20.73% ↑
2003年 184,277
15.66% ↑
2002年 159,327
14.78% ↑
2001年 138,814
-10.46% ↓
2000年 155,025
33.73% ↑
1999年 115,923
65.31% ↑
1998年 70,123
-24.11% ↓
1997年 92,400
-7.56% ↓
1996年 99,956
-22.9% ↓
1995年 129,640
72.85% ↑
1994年 75,000
-25% ↓
1993年 100,000
-9.09% ↓
1992年 110,000
323.08% ↑
1991年 26,000
4% ↑
1990年 25,000
27.39% ↑
1989年 19,625
-50.99% ↓
1988年 40,042
-4.57% ↓
1987年 41,958
-29.72% ↓
1986年 59,700
25.95% ↑
1985年 47,399
-15.47% ↓
1984年 56,074
38.18% ↑
1983年 40,581
-24.45% ↓
1982年 53,715
-23.09% ↓
1981年 69,839
334.97% ↑
1980年 16,056
46.82% ↑
1979年 10,936
-42.87% ↓
1978年 19,143
28.37% ↑
1977年 14,912
-54.37% ↓
1976年 32,680
41.2% ↑
1975年 23,144
6.71% ↑
1974年 21,688
4.69% ↑
1973年 20,716
23.72% ↑
1972年 16,744
-12.55% ↓
1971年 19,148
90.89% ↑
1970年 10,031
-33.73% ↓
1969年 15,136
-0.38% ↓
1968年 15,194
-7.71% ↓
1967年 16,463
18.92% ↑
1966年 13,844
12.41% ↑
1965年 12,316
11.96% ↑
1964年 11,000 -
1963年 11,000 -
1962年 11,000 -
1961年 11,000 -

キューバのキャベツ生産量は1961年の11,000トンという比較的低い数字でスタートし、1970年代に不安定な増減を繰り返しながらも増加基調が確認されました。1980年代には生産量が大きく振れる傾向が強まり、1981年には69,839トンと大きく増えましたが、その後は再び減少しています。1990年代初めには著しい上昇が見られ、1992年には一気に110,000トンという高水準を記録しました。この時期には冷戦終結以降の農業における改革が影響を与えた可能性があります。同じ1990年代後半には、129,640トン(1995年)を突破するなど、国内の農業改革と外部支援体制の影響が見られています。

2000年代に入ると、生産量はさらに増加を見せ、2005年の256,450トンがピークとなりました。しかし、これ以降は生産量が一転して減少傾向に入り、2010年には134,640トン、さらに2019年には84,286トンと急激に減少しています。この下落の傾向は2020年以降も継続しており、ここ数年の生産量は52,000トン前後で低迷しています。

このような変動にはさまざまな要因が関わっていると考えられます。キューバは地理的な特性と政策的な要素から農業の効率性が課題となる地域です。土壌の劣化や気候変動による干ばつが生産に与える影響は深刻であり、特に近年頻発するハリケーンや異常気象がキャベツの栽培を困難にしている可能性があります。また、キューバは米国の経済制裁を受ける中で、農業資材の輸入が制限されており、適切な肥料や機械類の不足が生産効率を低下させていることが示唆されています。

さらに、新型コロナウイルスの影響もキューバの農業全体に影響を与えました。社会のロックダウンや輸出入の停滞が農業供給チェーンを混乱させ、キャベツの生産にも影響が及んだと考えられます。2020年以降に生産量がほぼ横ばいになっていることは、同時期の政策対応と経済的制約を反映している可能性があります。

未来の課題としては、まず気候変動への適応能力の強化が急務です。持続可能な農業技術を導入し、キャベツのような気候依存型作物でも安定生産が可能な仕組みを整える必要があります。また、貿易制限の影響を緩和するために地域間協力の枠組みを構築し、資材や技術の共有を促進することも必要です。さらに、農業従事者への教育プログラムを充実させ、現代的な農法や気候変動対策のノウハウを普及させることが重要です。

結論として、キューバのキャベツ生産量の推移は、同国の農業政策、地政学的環境、気候変動など複合的要因の影響を強く受けていることが分かります。キャベツの安定した供給を図るためには、持続可能な農業改革や国際貿易の枠組みの改善を通じて、これらの影響を軽減する具体的施策を講じる必要があります。国際機関や近隣諸国との協力を深めることも、キューバの農業の未来に大きく貢献するでしょう。