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キューバの牛乳生産量推移(1961年~2022年)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が2024年7月に更新したデータによると、キューバの牛乳生産量は1961年には35万トンであったものの、1979年までに1,000,000トンに達し、1980年代には安定期を迎えました。しかし、1991年以降は急激な減少傾向が見られ、最新の2022年の生産量は372,306トンに留まっています。このデータは、キューバの経済、社会、農業政策などが全体的に影響を受けていることを示唆します。

年度 生産量(トン) 増減率
2022年 372,306
-1.25% ↓
2021年 377,021
-17.87% ↓
2020年 459,051
-11.26% ↓
2019年 517,300
-11.1% ↓
2018年 581,900
7.54% ↑
2017年 541,100
-12.39% ↓
2016年 617,600
24.34% ↑
2015年 496,717
-15.97% ↓
2014年 591,087
-0.03% ↓
2013年 591,263
-2.57% ↓
2012年 606,875
0.66% ↑
2011年 602,907
-4.68% ↓
2010年 632,538
4.95% ↑
2009年 602,688
10.08% ↑
2008年 547,507
12.43% ↑
2007年 486,980
16.86% ↑
2006年 416,734
17.44% ↑
2005年 354,834
-30.97% ↓
2004年 514,060
-15.58% ↓
2003年 608,957
3.04% ↑
2002年 590,992
-4.96% ↓
2001年 621,825
1.08% ↑
2000年 615,198
-0.55% ↓
1999年 618,595
-5.69% ↓
1998年 655,889
0.75% ↑
1997年 651,018
1.69% ↑
1996年 640,210
0.24% ↑
1995年 638,672
0.46% ↑
1994年 635,740
8.53% ↑
1993年 585,756
-5.9% ↓
1992年 622,460
-24.13% ↓
1991年 820,430
-20.7% ↓
1990年 1,034,525
-8.56% ↓
1989年 1,131,400
0.85% ↑
1988年 1,121,900
-0.58% ↓
1987年 1,128,400
1.59% ↑
1986年 1,110,700
-0.13% ↓
1985年 1,112,100
-1.82% ↓
1984年 1,132,700
-0.53% ↓
1983年 1,138,700
1.08% ↑
1982年 1,126,500
-0.68% ↓
1981年 1,134,200
13.42% ↑
1980年 1,000,000 -
1979年 1,000,000
11.11% ↑
1978年 900,000
3.45% ↑
1977年 870,000
6.1% ↑
1976年 820,000
2.5% ↑
1975年 800,000
0.13% ↑
1974年 799,000
2.3% ↑
1973年 781,000
3.03% ↑
1972年 758,000
12.3% ↑
1971年 675,000
-2.17% ↓
1970年 690,000
6.15% ↑
1969年 650,000
8.33% ↑
1968年 600,000
6.08% ↑
1967年 565,600
22.42% ↑
1966年 462,000
5% ↑
1965年 440,000
4.76% ↑
1964年 420,000
7.69% ↑
1963年 390,000
5.41% ↑
1962年 370,000
5.71% ↑
1961年 350,000 -

キューバの牛乳生産量の推移は、同国の経済的および地政学的変動と深く結びついています。1961年の35万トンから1970年代に向けて持続的な増加が見られ、この成長は社会主義体制下での農業改革や資源分配の改善によるものと考えられます。1979年と1980年の1,000,000トン突破は、生産体制の一応の成功を示す重要な指標でした。しかし、それ以降の変動は、国内と国際環境の変化がどのようにキューバの酪農業に影響を及ぼしたのかを如実に表しています。

1991年以降、生産量は急激に減少し始めました。この時期は「特別時期」として知られる社会的および経済的危機の時代であり、ソビエト連邦崩壊に伴って主要な経済援助が失われたことが原因です。これにより農場への投資が減少し、餌や資材の供給が困難になったことが、牛乳生産量の大幅な低下に繋がりました。その後も、少しずつ生産が回復する兆しを見せながらも、例えば1990年代後半には年間約60万トンまで回復したものの、2000年代以降は再び下落傾向にあります。

近年では、世界的な気候変動の影響も無視できません。干ばつや暴風雨といった極端な気象現象が増加しており、牧草地の管理や水資源の確保が難しくなっています。特に近年の2020年から2022年にかけて生産量が急激に低下しているのは、新型コロナウイルス感染症による物流や労働力不足の影響も背景にあると考えられます。さらに、キューバの経済制裁や輸入制限が酪農業の設備更新を妨げていることも問題です。

これらの課題に対処するためには、いくつかの具体的な対策が考えられます。まず、国内での畜産業改革が求められます。効率的な種の改良や牧草地の管理の向上を進めることで、限られた資源の中でも生産性を向上させる試みが重要です。また、国内外の連携を強化し、技術移転や外国投資を積極的に受け入れるプログラムを設けることで、酪農業の持続可能性を高めることができます。

さらに、キューバ特有の地政学的リスクに対処するためには、地域間協力の枠組みを構築し、資源の効率的な利用を目指すべきです。特に、ラテンアメリカ諸国と連携することで、穀物や酪農資源の輸入体制を整えることが課題解決の鍵となるでしょう。

結論として、キューバの牛乳生産量の推移は、同国の政治、環境、国際関係が農業部門にいかに深く影響を与えているかを顕著に示しています。社会主義体制のもとでの政策転換や国内外の協力を通じて、酪農業の立て直しが急務です。持続可能な農業政策と地域的な協力メカニズムの強化が、未来の安定した生産を実現するために必要不可欠と言えるでしょう。